アコースティックギターの録音時に注意すべき5つのこと
シンガーソングライターの方やYouTubeでの歌ってみたや弾き語り系の伴奏楽器として、アコースティックギターの使用率は非常に高いです。
「歌はコンデンサーマイクでこだわって録音しているけど、ギターに関してはよくわからないから、ただマイクを立てて声と一緒に録音している・・・」という方に向けて、今回はアコースティックギターの録音の際に役立つ5つのことと題してお話していきます。
録音で一番重要なこと
まず本題の前にはじめにお伝えしたいのが、アコースティックギターレコーディングの為のテクニックはいくつかありますが、最も重要な要素は「プレイヤー」であるということです。
これはボーカルやピアノレコーディング等の他のアナログ音源を使用する場合にも言えることですが、どんなに高度なミキシングテクニックを使っても、優れたテクニックを持ったプレイヤーの音質にはかないません。
その次に重要なことが楽器本体、マイクと続き、それぞれが持つ音質が最終的な録音の音質を決めます。
1.プレイ環境を整える
アコースティックギターにとって重要なことがプレイヤーならば、まずは最高の演奏をする為の環境をしっかりと整えましょう。
椅子を弾きやすい高さに合わせ、可能ならば肘置きが上下するタイプや、取り外しできるものを選び、ギターのスペースを確保します。
次にマイクスタンドはなるべくブーム型の製品を使用し、しっかりとマイクが垂れ落ちないように固定します。
ブリッジ側にもマイクを設置するときは、ストロークの腕が当たらないように十分なスペースを確保しましょう。
当たり前のように思いますが、袖のボタンやネックレス、指輪等のアクセサリー関係もしっかりと取り外し、関係ない音を拾わないように注意します。
せっかく録ったテイクを無駄にしない為にも、あらかじめ確認しておきましょう。
2.ピックアップ?マイク?
アコースティックギターの収音方法として、エレキギターのようにピックアップを使用するやり方と、マイクを立てて収音するやり方の2種類があります。
基本的にはピックアップは動きのあるライブで、マイク録りはレコーディングの場合にというのが一般的ですが、ライン録りの音が好きなギタリストならピックアップ方式を採用してレコーディングすることも多いです。
両方のサウンド特性には差があるので、しっかり聴き比べてから好みの収音方法を選びましょう。
必要であれば両方をミックスするという選択肢もあります。
3.マイクの種類
マイクで録音する場合には、スモールダイヤフラム型のコンデンサーマイクがオススメです。
詳しい内容はこちらの記事で紹介しているので合わせてご覧ください。
これらのマイクを使用することで非常にハイファイで立体感のある音での収音が可能で、まるで耳元でギター演奏しているかのように繊細です。
コンデンサーほど繊細な音ではないですが、ライブハウスではダイナミック型のShure「SM57」もよく使用されています。
アコースティックの収音以外にも使用用途が広く、マイクの耐久性やコスト面で優れているので、初心者の方の1台目としてオススメです。
4.マイクポジション
マイクの設置方法(マイキング)にも様々なパターンがあり、マイクの特性を考慮しつつ最適なマイキングポジションを探しましょう。
シングルマイクの場合、最も一般的なのがネックとボディのつなぎ目周辺にマイクを置き、ピッキングポイントに向かってマイクを向けるポジションです。
ピッキングニュアンスを拾い、明るめのサウンドキャラクターが特徴です。
もう一つはプレイヤーの右手に近いブリッジ側に配置するポジションです。
煌びやかさを抑えて、ネック側よりも丸く甘いサウンドが特徴です。
マイクを2本配置する場合はこの2つのポジションをミックスするのがオススメです。
5.カーディオイドの近接効果
カーディオイドとはマイクの種類とその効果についてで説明したように、マイクの持つ収音の指向性パターンのことです。
この心臓の形をしたカーディオイドパターンには「近接効果」と呼ばれるマイクが音源に近づくにつれて低音を増強させる特性を持っています。
カーディオイドタイプのコンデンサーマイクや「SM57」を使用する場合はマイクの距離にも十分注意を払う必要があります。
ピッキングニュアンスを含めたより繊細なサウンドを収音したい場合は、一般的にエアーマイクとして使用する「無指向性」のマイクをアコースティックギターに使用することで、近接効果を気にせずにギリギリまでマイクを近づけることができ、ギター本体とエアー感をすべて録音することができます。
もしも部屋鳴りが大きすぎて気になる場合は、マイクの後ろのスペースに吸音材を置くなどして対策をしましょう。
まとめ
最高の音質で録音された熟練のプレイヤーのアコースティックギター音源は、単体でもリスナーに感動を与えるほどのポテンシャルがあります。
まずはしっかりと最高の演奏テイクが録れるように練習を欠かさず、良いレコーディング環境作りに注力してみましょう。
以上、アコースティックギターの録音時に注意すべき5つのことでした。