ミュージシャンの為のバンド練習に役立つ12のこと | 効率の良い練習方法
「毎週音楽スタジオに入ってバンド練習をしているけど、あまり上達を感じない…。忙しくてバンド練習に費やす時間が限られているので、できるだけ効率的に練習をしたい。」という悩みを抱えているバンドマンも多いのではないでしょうか。
バンド全体の演奏力を向上させたり、全体のパフォーマンスをさらに磨きたいと思っているなら、限られた練習時間の中で、どれだけ効率的で有意義なバンド練習に時間を費やせるかがポイントです。
スタジオ練習はメンバー同士がスケージュールを合わせて、練習の為に過ごす貴重な時間です。そのほとんどを雑談に使ってしまったり、持ち曲を全体で合わせるだけで、毎週同じことをただ繰り返しているように感じている方は、今回の内容を参考にして実際に改善、実践してみることをおすすめします。
1. リハーサルの目的を決める
何のために音楽スタジオをレンタルしてリハーサルをしているのかをバンドメンバー全員で明確にしておきましょう。
バンドとしての演奏力を向上させたいのか、パフォーマンスや演出を凝りたいのか、来月にライブの予定があるのか、新曲のリハーサルなのか。まずはバンド練習の目的をはっきりとさせることで、練習でやるべきことが分かります。
もしかすると、上記の内容すべてがバンド練習する理由かもしれませんが、貴重な練習時間を最大限に活用するために、優先順序を決めて、今やるべきことを一つ一つクリアする方法がおすすめです。
2. 時間を守る
バンドのような複数人のグループで活動するなら、時間を守るというのはとても重要なことです。
一人が遅刻することで練習開始を待たなければならないような状況は、他の人の練習時間を奪うことにもなるので、練習開始までにはメンバー全員が揃っているようにします。
好きな人とのデート、仕事、重要なテストの日には遅刻しないのに、バンド練習に遅刻するのはどうしてですか?メンバーは時間を無駄にしたことよりも、仲間の意識の低さに嫌気がさすこともあります。
他のメンバーのモチベーションを下げないためにも、なるべく時間通りに動くようにしましょう。
3. リーダーを決める
バンド運営は全員が対等であるがために、目的にたどり着くのが難しい場面が多々あります。
個々のメンバーに明確な役割を決めていないと、それぞれが代わりに他の誰かがやってくれることを期待して誰も実行しないという、チームにとって良くない状況が生まれる可能性があります。
バンドでは、スタジオの予約一つですら揉めることがよくあります。リハーサルのためのスケジュールと練習準備を担当する人を任命して、その他の役割をメンバーに任せることで、物事がより明確になり、メンバー同士の衝突や、無意味な議論を避けることができます。
リーダーを任命するときには責任感が強く、普段からあまり感情的にならない人を選ぶといいでしょう。
3. 練習のための準備
ライブの打ち上げでバンド練習の効率が悪いと不満を漏らしているバンドをよく見ますが、実際に練習内容をしっかりと計画、構築できているバンドは少ないように思います。
リハーサルを始める前に、当日の練習内容を改めて確認、メンバー間でシェアしておき、必要であれば練習のタイムテーブル、メモや歌詞、コード表を手元に置いて、必要なときに確認できるようにしておきます。
優れたバンドリーダーは、次のスタジオで何を練習するのかについてグループ内で確認し、当日のスタジオでの行動計画について話し合いの場を設けます。
スタジオ練習のタイムテーブルの一例
- 搬入、セットアップする(15分)
- ウォームアップ(10分)
- ライブ曲のリハーサル(30分)
- ビデオ映像を確認し、改善のためのアイデアについて話し合う(10分)
- 休憩(10分)
- 再びライブ曲のリハーサル(30分)
- リハーサル後の確認と改善箇所をまとめる(10分)
- 搬出(10分)
4. 機材チェックリストを作る
スタジオ練習するときに意外と多いミスが「機材忘れ」です。
ケーブルやピック、ドラムスティック等、スタジオで貸し出しで代替えできるものならまだいいですが、同期のためのPC/Macやオーディオインターフェイス、または練習に必要な音楽データの欠陥など、練習スケジュールを大幅に変更しなければならないような忘れ物もたまにあります。
うっかり忘れないように、前日にはすべて荷物につめて、部屋の一か所にまとめておくようにしましょう。
5. 搬入とセットアップ
意外と時間を食うのが、機材の「搬入とセットアップ」です。
小規模な3ピースバンドならそれほど気にならないかもしれませんが、エレクトロ系の電子機器を使うバンドや、大掛かりな機材を組んでいるバンドの場合は搬入&セットアップを効率的に行うことで、時間を節約することができます。
よくみるのはボーカリストや早めにセッティングが終わったメンバーが、雑談したり、いつまでもサウンドチェックをしたりして時間を持て余しているパターンです。
他の機材のセットアップ方法についても学んでおいて、自分のセッティングが終わったら他のメンバーを手伝えるように備えておきましょう。
6. サウンドチェック
セットアップが終わったら、実際にワンコーラスほど演奏してみて、全体の音量バランスや音質をチェック作業を行います。
特に楽器(バッキングトラック)の音量バランスを正しくとることはバンドアンサンブルにおいて非常に重要です。自分の声やサウンドを一番に聴きたいと思うかもしれませんが、バンドはチームプレイであり、ソロ活動ではないことを忘れないようにしましょう。
スタジオ内では自分の楽器が大きく聴こえてしまったり、立ち位置によって聴こえ方が大きく変化するので、なるべく誰か一人が代表して(一般的にはボーカル)音量バランスを聴き取って指示を出すのがいいです。
慣れるまでは正しい音量感や音バランスを確認するのは難しいかと思うので、無料で使えるスペクトラムアナライザーのようなソフトウェアを使ってサウンドチェックすることをおすすめします。
→ライブ前のサウンドチェックで心掛けておくべき5つのこと
7. 個別でリハーサルする
バンド演奏のミスが目立ったり、全体がずれて聞こえたりする場合は、セクションごとやパート事に分けて練習することを検討してみましょう。
フルバンドとしての全体で鳴らすリハーサルはもちろん効果的ですが、セクションごとの細かいミスや個々の楽器のアレンジ要素を把握することが難しくなります。
これを改善する為に、個々のセクションを繰り返し演奏したり、楽器隊を個別にリハーサルすることです。
例えば、
- リズムを担当するドラマー&ベーシストだけで演奏
- ボーカルとバッキングギターとリードギターの3人で
- ミスが目立つセクションを繰り返し練習
音楽的要素をグループごとに分類して、個々のアレンジ要素をリハーサルすることで、各メンバーが楽曲の要素を把握し、各パートがより効果的なアレンジを組み込むことができるようになります。
7. 練習をビデオで録る
バンド練習の風景をビデオに撮ることは、サウンドとステージングの両方を改善するための最も効率的な方法の1つです。
自分がバンドで演奏しているときに客観的に観客視点から自分が本当にどのように見えているのか、どのようなサウンドを鳴らしているのかを認識することはとても難しいです。
観客の立場になり、パフォーマンスの音響的、視覚的な欠点の両方を見つけることが簡単になり、必要であればリハーサルの途中で映像を確認して、メンバーと話し合いを行うことでライブパフォーマンスの改善に繋がります。
→バンドのライブパフォーマンスをより良くする為の10のヒント
8. なるべく小さい音量で練習する
スタジオでは大音量が出せることが醍醐味ですが、上手いバンドほど小さい音量で練習している傾向があります。
スタジオ内の音量を下げることで、各楽器の音の解像度が上がるため、ミスに気付きやすくなったり、ボーカリストが歌いやすくなったりと、メリットがたくさんあります。
音量を決める基準として、生音であるドラマーや生身のボーカリストの声量に合わせて調節することで、無理なく正しい音量調節ができるようになります。
特にパワフルなドラマーのシンバル類は他のすべての楽器に干渉しやすいので、ミュート用のラバーを装着してみることも検討してみましょう。
9. 休憩時間をとりすぎない
集中力が切れてきたら休憩を取って一度リフレッシュすることは大切ですが、休憩を切り上げるタイミングを失ってダラダラと話し込まないように注意しましょう。
最近ハマっている音楽や、気になっているバンドの話になると、ついつい入り込んでしまうのはよくあることです。時間を決めて、気持ちを切り替えて練習を再開しましょう。
10. メトロノーム練習を取り入れる
バンド全体の演奏力の向上にはメンバー全員がタイトなリズム感を手に入れる必要があり、その為の最も効率的な方法の1つとして、メトロノームを使用した練習方法が効果的です。
正しいテンポに設定されたメトロノームを注意深く聞きながら練習することで、ライブパフォーマンスのリズム、タイミング、品質がさらに向上します。
音楽スタジオではメトロノームを貸し出ししていたり、部屋に設置されていることがほとんどなので、ミキサーに繋いで、全員で一つのメトロノームを共有しながら演奏してみましょう。
普段はメトロノームなしでも正しいテンポで安定した演奏ができていると思うかもしれませんが、実際にメトロノームを鳴らしながら録音した演奏を聞きかえすと、意外とリズムがずれていることに気付きます。
→ギターのリズム感を養う為のメトロノームの使い方
11. 話し合いの場を設ける
練習に限らず活動のさまざまなポイントでミーティングを行い、各メンバーが互いに建設的な議論とフィードバックが得られるように話し合いの場を設けましょう。
バンド練習に関しても、メンバー全員が話し合いに参加できるように意見を仰ぎ、疑問や問題点を報告できるような環境を作ることが目標です。
話し合いのタイミングは以下のポイントがおすすめです。
- 休憩中
- ビデオ映像を確認しながら
- リハーサル後
バンドリーダーは話し合いが感情的にならないように、個人の問題解決よりもバンドとして前進できるようにの全体を優先するようにしてください。
12. 間違いを指摘する
誰かの間違いを指摘することは最も難しいことではありますが、メンバーと感情的にならずにミスを言い合える関係値になると、一気にバンドとして成長します。
練習中に演奏を止めて指摘するのもいいですし、練習の空気があまりに重くなりすぎる場合は、スマホにメモしておいて、スタジオ終わりにメンバー同士で指摘しあう時間を設けるのもありです。
気兼ねなく間違いを指摘し合えるようになるまでは、ある程度の関係値を構築する必要がありますが、もし他の何千ものバンドを抜かしてトップバンドを目指しているのであれば、間違いなく必要なプロセスです。
まとめ
毎週同じ練習の繰り返しで、何をやればいいのか分からなくなったら、今回の内容を参考にしてみてください。
個人的にミュージシャンには楽観的な人が多い印象があるので、今回の内容が堅苦しく感じてしまう方も多いことかと思います。もちろん楽観的なことは悪いことではありませんが、チーム内に最低一人はしっかりと舵取りをするメンバーが必要です。
プロとして活動しているバンドの中には、外部からブレインの役割を持った人材をチームに迎え入れるバンドもあるくらい、重要なポジションです。
今回の内容がすべてのバンドに当てはまるわけではありませんが、それぞれのメンバーのスタイルや考え方を尊重して、より効率的にスタジオ内の時間を過ごしましょう。
以上、「ミュージシャンの為のバンド練習に役立つ12のこと | 効率の良い練習方法」でした。