ライブ前のサウンドチェックで心掛けておくべき5つのこと
ライブ前のリハーサルの時に各楽器の音バランスをチェックしたり、ライブの流れを確認したりすることはなんとなく分かっているけど、具体的にどうするのが正解なのか分からなくて困っていませんか?
本番で自分のパフォーマンスを最大限に引き出すためにも、正しくサウンドチェックを行い、最高の環境を整えておくことは非常に重要です。
そこで今回はライブ前のサウンドチェックで心掛けておくべき5つのことについて解説していきます。
1. 機材をまとめておく
一般的な対バン形式のライブに出演する場合、リハーサルの時間はセッティングの時間を含めて大体30分くらいであることがほとんどです。
限られた時間をどれだけ有効に使うかが重要で、少しでもリハーサルの時間をサウンドチェックに費やす為にも機材をコンパクトにまとめてセッティングの簡略化を行います。
例えばギタリストの場合は、エフェクター等の足元周りはなるべく1つのボードにまとめてパッチングしておき、シールドの配線関係もできるだけ繋いでおきましょう。
コンパクトにまとめておくことでセッティングがスムーズになるだけでなく、本番中にシールドに足を引っかけてしまったり、トラブルの際にも原因がすぐに分かりやすくなるというメリットもあります。
2. 出音は完成させておく
ライブ本番のときには最終的な出音の責任は全部自分にあります。
「あそこはPAが良くない」とか「常設機材が劣化してる」という方もいますが、どんな場所でも同じサウンドを鳴らせるような工夫も必要です。(本当にひどい場合もありますが・・・)
言い方を変えればセッティングが終わり、PAさんがフェーダーを上げただけで最高の音色が出せるように完成させておくこともギタリスト側の責任です。
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もちろん初心者の頃はライブハウスのアンプを使ったり、正しいバランスが分からずPAさんに頼ってしまうことも仕方のないことですが、今は安価なアンプシミュレーターや便利なデジタル機器も多くあるので、最終的には現場の機材に左右されない音作りを心がけることも重要です。
出音をしっかりと固めておくことで毎回ゼロから音作りをスタートさせることもなくなり、大幅な時間短縮とどこの会場でも出音のクオリティが格段にアップすることは間違いないです。
3. モニターバランスを整える
実際のリハーサルでは自分の立っている位置で最高のプレイができるようにモニターバランスを整えましょう。
背面の自分のアンプ、足元のモニタースピーカー、左右のスピーカーのバランスをみて自分が気持ち良いと感じれる環境を作ります。
返す音の目安としては普段のリハーサルスタジオと同じ状態にして、練習と本番のギャップを無くすことで、違和感無く演奏に集中できるかと思います。
→バンドリハーサルでやっておくべき5つのこと
人によってドラムを強めに返してもらってリズムを取りやすくしたり、ボーカルを返してもらって本番の場の空気感を重要視する人など様々ですが、自分がどんな音を確認してプレイしたいかを考えましょう。
ギタリストの場合、自分の音はなるべく背面のアンプから確認するようにして、モニタースピーカーからの返しを極力減らすようにすることをおすすめします。
キャビシミュ付きのアンプシミュレータやエレアコをラインで送っている場合は、モニタースピーカーに返してもらいましょう。
4. ステージ上の音バランス
ステージ上の音を作ることを「中音を作る」とか言ったりもしますが、ステージ上の音量バランスを整えることも大切です。
基本的には自分の出してる音とモニタースピーカーから返ってきている音を確認しながら整えていくのですが、よくあるのがステージ上の音がぶつかり合ってしまい飽和状態になっているバンドも多いです。
誰かが音量を上げたので自分の音が聴こえにくくなってしまい自分も音量を上げる、次は他の誰かが聴こえにくくなってしまい・・・とどんどん全体のボリュームが上がってしまい飽和状態になります。
全体の音バランスを取るときには基本的にはマイナス方向を意識して、誰かが大きすぎるなと思ったら下げてもらったり、外で聴いているPAさんにバランスを確認するのもありです。
5. 外の音はPAにまかせる
中の音はバンド側が責任をもって作るべきですが、逆に外の音はPAさんにすべて任せてしまったほうが結果的に良くなりやすいです。
ライブハウスのPAさんは毎日何バンドもサウンドチェックを行っており、そのライブハウスの箱の鳴りや機材を含めたベストな音量バランスを熟知しています。
音の指向(こんな感じの音にしてほしい等)を伝えることは大事ですが、細かい部分までバンド側が思う理想のサウンドに近づけるのはリハーサルの限られた時間では難しいです。
外音に納得できなかったとしても「どんな音を出してくれているか」を確認しておいて、バンドに合ったサウンドを鳴らしてくれるライブハウスを探すというのも大切なことです。
実際のサウンドチェックの流れ
実際に対バン形式のライブイベントで行われる、20~30分のサウンドチェックの実際の流れをみてみましょう。基本的にはPAさん主導で進んでいきます。
1. セッティング
リハーサルの時間をなるべく多く確保する為にも、素早くセッティングを済ませましょう。
準備が終わったパートは他のパートの準備を手伝えるように、連携を取れるようにしておくとスムーズです。
2. 各楽器の出音チェック
演奏するバンドのすべての楽器の出音をチェックする作業です。ここでは音量や音色、耳障りな周波数帯域が飛び出していないか等を確認します。
3. 全体の音出し
各楽器のチェックが終わったら、次はバンド全体で音出しをします。サウンドの方向性を決定して、アンサンブルの中で音と音がぶつかりすぎていないか等をチェックします。
4. 演出の確認
短い時間でライブパフォーマンスのすべてを確認するのは難しいので、重要な箇所のみを演者とスタッフで共有します。例えば、入場のタイミング、MC終わりの曲入り、バラード曲で空間系を強めたりと、演出の要望があれば伝えましょう。
5. 照明の確認
余裕があれば照明の確認も行いましょう。特に要望がない場合でも、ライブステージに合わせて照明さんが良い感じにしてくれるので安心してください。
サウンドチェックで気を付けること
普段通りのサウンドを出していれば特に問題ないですが、サウンドチェックで気を付けることをいくつかまとめておきます。
準備編
サウンドチェックは時間との闘いです。サウンドチェックは基本的にはPAさんが進行してくれますが、進行してくれるのをいつまでも待っていると、PAさん側もまだ準備しているのかどうかというのがわかりません。
準備が終わっているのにいつまでも音を出して時間をロスしているバンドさんも多いので、準備が完了したら音を止めて、準備が終わったことを伝えましょう。
ドラム編
ドラムのサウンドチェックは音の余韻まで確認しています。一発一発の音が途切れるまで叩くようにするとPAさんが確認しやすいです。例えばスネアの場合「ターン…ターン…ターン…タカタカ…ターン…」のようにたまに連打を入れるとなお良しです。
ベース編
まずはドライ(エフェクトのかかっていない)音から確認して、そのあとにドライブトーンや、特殊なスラップ奏法などで確認するのがベストです。
低音をメインに、楽曲中で使うハイフレットまでを満遍なく弾くようにしましょう。
ギター編
ギターは音色が多いので、「メインのバッキングです。」「ギターソロのブーストです。」のようにどの場面の音かを伝えると良いです。
音量が上がる音色や、特定の周波数が飛び出るようなモジュレーション系のエフェクトは必ずチェックしておきましょう。
ボーカル編
ボーカルのサウンドチェック時は、なるべく本番を想定した声量と声色で歌うようにします。
最初は恥ずかしいとは思いますが「アー、アー」と小さな声で発声してもあまり意味がないので、サビのワンフレーズをアカペラで歌うようなイメージで発声してみましょう。
まとめ
ライブ前のサウンドチェックで心掛けておくべき5つのことについてお話しました。
- 機材をまとめておく
- 出音は完成させておく
- モニターバランスを整える
- ステージ上のバランス
- 外の音はPAにまかせる
短い本番前リハーサルをいかに効率よく使えるかが本番のライブパフォーマンスに直結します。
当日に楽曲の練習をしたり自身の無い部分の確認をするにはもったいないので、普段のスタジオ練習で完璧にしておいて、中音や照明、部分的な演出に気を配れる余裕を持って当日を迎えるようにしましょう。
→バンド練習でやるべき5つのこと
以上、「ライブ前のサウンドチェックで心掛けておくべき5つのこと」でした。