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EQハイパスフィルターの使い方と注意点

EQハイパスフィルター

EQハイパスフィルターの使い方と注意点

ハイパスフィルターはEQ(イコライザー)で使われる形状の一つで、指定した周波数より低域側をまとめてカットするフィルターです。

ローエンドの濁りをクリーンアップし、楽器同士の住み分けを行ったりと、正しく使用することでミックス全体の品質が格段に向上します。

ただし、誤った使い方をするとボディの厚さがなくなり、結果的により多くの問題が発生する可能性もあります。 

今回はハイパスフィルターでよく使用される使い方と、その効果についてご話します。

1. ハイパスフィルターで不要なローエンドを取り除く

ローエンド

最も基本的な使い方として不要なローエンドを取り除くという役割があります。

EQ(イコライザー)を使って不要な音をカットしよう

ほとんどの音源ソース、特にマイク録りした音源には80~100Hz以下に不要なノイズが含まれている可能性が高いです。

メインとなる楽器の大きな周波数スペクトルで隠されていることが多く、慎重に耳を使って聴き取らないと見落とされがちなポイントでもあります。 

さらに20~40Hzのサブベース領域に到達すると、聴覚的にも聴き取れる限界の音域になるため、ノイズや不要な音の塊に気付けなくて、多くのヘッドルームが犠牲になってしまっていることもあるので注意が必要です。  


2. ハイパスフィルターでリード楽器の存在感を高める

ボーカルトラックやギターソロ等、楽曲のリード要素がクリアに聴こえるということは最も重要な要素の一つです。

例えばボーカルトラックの場合は、ミックス内の中心ポジションに配置する為には約100Hz以下のすべての周波数帯域が濁りの原因になり、他の低音楽器と干渉を起こす可能性が高いです。

もちろん男性ボーカルの場合や、低音域に特徴があるボーカルの場合にはハイパスフィルターの数値に注意する必要があります。ボーカルにとって必要な低域なのか、不要なノイズ要素なのかの判断は耳を使って慎重に確かめるようにしましょう。


3. ハイパスフィルターで低音楽器のスペースを確保する

キックとベース

ミキシングにおいて、キックとベースが持つ低音は非常に重要な要素の一つです。キックやベースで楽曲全体に上手くインパクトを与えられていない場合には、他の楽器が持つ低音成分を取り除く必要がある可能性があります。

通常は150〜350Hzのローミッド帯域が問題となっている可能性が高く、音楽に重厚さとパワーを与える為に重要な音域です。しかし、キックやベースの中高域成分とギター、シンセサイザー、ピアノ等の低域成分がすべてこの範囲に収束し、飽和することでマディーミックス(濁った音源)の原因になります。


クリアでエネルギッシュな低音の厚みが欲しい場合は、個々の楽器のローミッド成分を削り取り、キックとベースの為のスペースを作成します。

キックとベースは間違いなく低中音域で最も重要な役割を果たしているため、常にはっきりと聴こえている必要があります。低域に対して重要度の低い楽器からローミッド周波数を削ることで、ミックス全体に良い結果をもたらします。 

4. ハイパスフィルターでマスタリング

マスタリング

最終的なマスタリング時にもハイパスフィルターが使われることが多いです。

一般的には20~30Hz周辺からカットして使用しますが、この辺りに関してはエンジニアやクリエイターコミュニティではいつも議論の的になっています。

「人間の耳は20Hz以下は聴き取れないからカットしたほうがいいに決まっている」

「普段のリスニング環境では聴こえないが、クラブやライブハウスのような環境では重要な帯域」

といったように様々な意見が飛び交っています。

EDMや808ベースを使用するヒップホップのようなジャンルではより低い数値からカット(もしくはカットしない)ようにして、アコースティックやポップ系のジャンルだと不要な帯域としてカットしてしまっても問題ないかと思います。

いずれにしても、20Hz辺りから少しつづロールオフ周波数を上げていき、透明感のある音から厚みがあるマットな音になる瞬間があります。自分がどういった音色を求めているかによってハイパスフィルターの使い分けをすることが最適です。

5. ハイパスフィルターの注意点

ハイパスフィルターの注意点

ハイパスフィルターは簡単に使えるうえ、サウンドに分かりやすく影響を与えるため、最も使用頻度の高いツールの1つとして人気があります。

とはいえ、中音域と高音域に配置した楽器からワンクリックですべての低音を取り除くことができ、その過程でミックスの深さと厚みの為に必要な要素を意図せずに削除してしまうことも多くあります。

さらには、必要以上に急こう配のカーブを使用すると、カットオフポイントの周りにリンギングや歪み、位相のずれをもたらす可能性があります。これはコンプレッサーをたくさん使用して音が詰まっている状態のときに特に起こりやすいです。

ミックス全体の仕上がりはEQとフィルタリングだけに由来するものではありません。 ハイパスフィルターを使用する前に音量やパンニング、その他多くのエフェクター類も考慮にいれて、すべてを削り落とす必要性があるのかを検討してみる価値があります。 


まとめ

ハイパスフィルターはEQ(イコライザー)ミックス全体の濁りをクリーンアップし、マスキングを回避したりと、正しく使用することでミックス全体の品質が格段に向上します。

ただし、指定した帯域より下をまとめてカットしてしまうので、本来楽器にとって重要な音域まで削ってしまう可能性もあるので、耳で聴きながら慎重に判断しましょう。

以上、「EQハイパスフィルターの使い方と注意点」でした。


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