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サウンドメイクに必要な"音"の基本周波数と倍音の基礎知識

サウンドメイクに必要な"音"の基本周波数と倍音の基礎知識

ミュージシャンやオーディオエンジニアを目指している方なら、基本周波数と倍音による高調波がもたらす効果を理解することで、トーンやサウンドメイクについての基礎的な知識を学ぶことができます。

基本周波数と倍音についての理解を深めることで、EQの正しい処理方法や、サチュレーションによる効果、周波数マスキングを避けてクリアで耳障りのないハイエンドを得たりと、ミックス&マスタリングに役立つことばかりです。

基本周波数とは?

まず、普段耳にする様々な「音」は、基本となる周波数と、複雑に絡み合う倍音成分によって構成されています。例えばギターで「ド」の音を鳴らした場合、「ド」以外の色んな音が混ざり合ってギターらしいサウンドを構成しています。

基本周波数は、簡単にいうと音程を決定する重要な要素です。これは、人の声、トランペット、キーボード、ベース、その他の楽器で演奏している場合でも当てはまります。

自然界の中では、基本周波数だけで構成されている音は存在しませんが、シンセサイザーのようなデジタル楽器であれば鳴らすことが可能です。

基本周波数のみのサイン波

倍音が含まれていない音色の場合、すべてがこのような無機質なトーンになります。

倍音とは?

基本周波数よりもピッチが高い音色は倍音、高調波と呼ばれます。先述したように、自然界のほぼすべての音には「基音」と呼ばれる基本となる周波数の他に2倍、3倍…と整数倍の周波数の振動がいくつも生じています。

基本周波数と倍音は数学的な関係があり、倍音が含まれることによって音色の変化であったり、色んなサウンドテクスチャーが生み出されています。

奇数倍音を含んだ三角波
奇数と偶数倍音を含んだノコギリ波

このように倍音の構成や強度によって音色が変化します。通常は、シンセサイザーの波形のように規則正しく倍音が生成されることはなく、もっと複雑に入り混じることで色々な音色が生成されています。

人の声に含まれる倍音成分

スマホの通知音、車のクラクション、鳥の鳴き声など、色んな音色を持った音がありますが、基本的にはこの基本周波数と倍音の構成によって成り立っています。

基本周波数と倍音の関係性

倍音は数学的な関係があるといいましたが、より詳しく見てみましょう。数字をわかりやすくするために、100 Hzの基本周波数を使って解説していきます。

倍音成分は基本周波数の整数倍で発生するため、基音を100Hzとした場合倍音は、100Hz×2=200Hz、100Hz×3=300Hz、100Hz×4=400Hzというように無限に発生します。先ほどの奇数と偶数の倍音を含むノコギリ波を見てみるとよくわかります。

ミキシングエンジニアにとって、この基本周波数と倍音の関係性を理解しておくことは非常に重要です。EQで帯域をカットする場合に、楽器の基本的な周波数と倍音成分の構成を理解していれば、どこをどれくらいブースト/カットすればいいのかの判断にも役立ちます。

また、特定のトラックの基本周波数は、ほぼ確実に別の楽器の倍音とぶつかり合っているので、各楽器の音色にどのように影響しているのかを判断して、どの周波数を優先すべきかということがわかるようになるはずです。

倍音成分を効果的に使う

倍音成分は効果的に使うことで、様々な音響効果を発揮します。基本的に倍音成分は"歪み"により発生し、歪みと一言にいっても、サチュレーション、オーバードライブ、ディストーション、またはクリッピングノイズ等、歪み量や用途によって様々な呼び名があります。

エレキギターをそのままアンプに繋いで弾くとクリーンなトーンですが、ディストーションエフェクターを使うと「ジャキーン!」といったロックなサウンドに変化するのは、まさに激しい倍音成分が付与されたことによる音質変化です。

クリーンギター
歪みギター
デジタルサウンドにアナログ感を付与する

また、倍音成分はデジタルサウンドにアナログ成分を付与する目的でも使用されることがよくあります。

高品質な音源サンプルやシンセサイザーのようなデジタル楽器のみで音源制作を完結させると「冷たさ」を感じ、どこか物足りないようなトラックに仕上がってしまうことがあります。

マスタリングの段階でプロジェクト全体にサチュレーションを加えたり、トラックに高周波を追加することで、生の質感やエアー感を演出することができます。

自作楽曲によりプロフェッショナルな質感を加える為の「歪み」効果について(DTM)

まとめ

基本周波数と倍音は、音の質感を生み出す基礎となる要素であり、さまざまな音色やトーンを形成します。これらの概念を理解することで、EQやサチュレーションなどのエフェクトを効果的に使用し、音楽のミックスやマスタリングで役立ちます。

また、倍音を生み出す歪み成分を理解することで、自分で理想的なサウンドを作り出したり、トラックにアナログ感を付与したいときにも効果的です。

以上、「オーディオエンジニアに必要なサウンドの基本周波数と倍音の基礎知識」でした。


【超簡単!】シンセサイザーのサウンドはたった3つの要素で出来ている?シンセサイザーの音作りの流れ

音楽制作における4つの「サウンドテクスチャ」について

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