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個人で「自主音楽レーベル」を立ち上げる方法と運営戦略について

個人で「自主音楽レーベル」を立ち上げる方法と運営戦略について

音楽への情熱を持ち、自分の好きな音楽を世に広めたいと思っているなら、自主音楽レーベルを立ち上げることを検討してみてはいかがでしょうか?

現代のミュージシャンは、様々なウェブサービスやクリエイターツールを使用して独立して音源制作、レコーディング、宣伝、販売することが可能になっています。アーティスト自身がリリースのほぼすべてをコントロールできるようになったことで、メジャーレーベルと独立したインディーズレーベルの地位を変化させたともいえるでしょう。

とはいえ、どのように設立すればいいのか?実際に何をすればいいのか?なぜレーベルを立ち上げることにしたのか?といった多くの要素についてよく知らぬまま飛び込んでしまい、立ち往生してしまうこともあるかもしれません。

そこで今回は、自主音楽レーベルを立ち上げるための基本的な知識についてご紹介します。

レーベルの役割とは?

レコードレーベルの役割は、音楽活動を行う個人またはグループの発掘から、制作、レコーディング、宣伝、販売の手助けをし、アーティストと一般聴衆の間の仲介者的な役割を果たします。

レコードレーベルは、音楽業界で重要な役割を果たしており、アーティストをより幅広い聴衆にリーチし、音楽を商品化するために必要な専門知識や流通の為の経路を提供します。ミュージシャンと音楽市場を結び付け、音楽の制作と配信のさまざまな側面を管理します。

アーティストの発掘

また、レコードレーベルはアーティストの発掘と契約、制作プロデュースと資金提供、リリースのマーケティングと宣伝、ストリーミング配信もしくはCD、レコードの販売など、さまざまな方法で音楽を配布します。

さらに、レコードレーベルによっては、アーティストの育成、ミュージックビデオの制作、ライブツアーの計画など、さまざまな形でアーティストをサポートする役割も担っています。著作権使用料の管理や、アーティストとの契約交渉、著作権やライセンスの問題を処理することもあります。

1. レコードレーベルの立ち上げ

実際にレコードを立ち上げるときには、法的な手続きをしたり、前払い金を支払ったりする必要はなく、レコードレーベルの設立宣言すれば完了となります。各種SNSとWeb サイトを作成して、レーベルのイメージを表すロゴをデザインするくらいでもOKです。

とはいえ、これだと実績もなく自称または非公式なもので、信頼性や法的な保護が欠けていることは留意しておく必要があります。アーティストを抱えて音楽をリリースするなど、事業として前に進みだす頃にはレコードレーベルの運営に関する法的問題を検討する必要があります。この時点で費用が発生することもあります。

レコードレーベルをより専門的に運営するには、著作権およびライセンス契約、アーティストとの契約、ロイヤルティの支払い、音楽業界の法律に従うことなど、いくつかの法的問題を考慮する必要がある場合があります。このような分野は非常に複雑になり、弁護士を雇う必要がある場合は費用が増える可能性があります。

2. レーベルのビジョンを明確にする

まず、どのような音楽をリリースしたいのか、レーベルのビジョンを明確にすることが重要です。色んなジャンルに挑戦して独自の音楽性を発揮するのは素晴らしいことですが、ジャンルやスタイルなど、音楽性に一貫性を持ってリリースすることで、特定の層の音楽ファンに届けやすくなります。

世の中には多くのジャンルやサブジャンルがあるので、最初は一般的なジャンルからスタートして、徐々に狭くニッチな分野を狙うのもありです。例えば「ロック」の中でもパンク、メタル、ジャズ、のように細分化することができるので、どこのジャンルに焦点を当てるのか? ターゲット層は誰なのか?を明確にしておきましょう。

最初から幅広いジャンルを網羅しようとは思わずに、自分の音楽の得意としているものは何かを考え出して、独自性の高いレーベルを作成することをおすすめします。

3. プランを作成する

レーベルを運営するには、プロジェクトごとにスケジュールと予算を計画し、時間通りに実行することが基本となります。レーベルのスタッフは、アルバムのカバーアートの作成やプレスツアーの計画など、特定の目標やタスクに集中していますが、レーベルマネージャーは常に全体を把握して、レーベルの特色を表現できている製品がリリースされているかを見ることです。

プランを作成してプロジェクトを管理することは、すべてのレーベルマネージャーにとって一般的な内容ですが、レーベルの規模によって日々の業務は大きく異なります。小規模な独立系レーベルでは、マーケティング、プロモーション、宣伝、流通、商品計画、ライセンス供与、SNS管理、ツアー計画など、レーベルのリリースのほぼすべてのプロセスに直接関与する場合があります。

4. 市場の調査

世の中の成功したインディーズレーベルは、音楽業界の動きをよく観察して理解しています。自分達がどの音楽ジャンルを代表したいのか。そのジャンルはこれから更に伸びそうなのか、もしくは衰退しているように見えるのか。その音楽ジャンルで既に人気のアーティストはどんな人物なのか?など、あらゆることを知っています。

レーベルとして特定のアーティストを売り出していくのなら、常にSNSや音楽ニュースをチェックして、今の音楽業界の動向に意識を向けておくことが大切です。日頃からチェックしておくことで、他の人よりも早く、将来の才能を発見するということにも繋がる可能性があります。

5. アーティストとの契約

インディーズ レーベルを立ち上げるときのありがちな誘惑の1つとして、長い間日の目を浴びていない仲の良い友人と契約したり、打ち合わせの段階で情が湧いてしまい、確証が持てないまま契約してしまうことです。

もちろんそれで上手くいくこともあるかもしれませんが、最終的には多くの時間を予算を消費して、友人との関係値も悪くなってしまうことがほとんどでしょう。レーベル運営は仕事であるため、時には厳格な対応が必要となります。

アーティストと契約するときには、正式に書面での契約を交わし、期間、録音やリリースに関する内容、レーベルとアーティストの取り分など、ミュージシャンに関わる多くの責任を管理して引き継ぐ必要があります。

6. 初期投資とランニングコスト

レコードレーベルは、最初から大きな収益が得られるモデルではないので、別の方法で資金を得る必要があるかもしれません。とはいえ、有名になった多くのインディーズレーベルが、最初から優れたビジネスプランや多額の投資を行っていたわけではありません。気に入ったの無名バンドのアルバムを1枚制作して、デジタル配信するなどして、そこからどうなるか様子を見ることもできます。

継続して運営する為には追加の費用も発生します。例えば、固定費となるオフィス、ネット回線の他、制作費、宣伝費のような様々な経費が含まれます。コストをかけたくない場合は、自宅をオフィスとして使用したり、最初はデジタルのみの製品を作成したりするなど色んな方法があります。

7. 予算を設定する

リリースにどれだけ予算を費やすことができるかを計画し、予算内で収まるようにプロジェクトを進める必要があります。音楽制作のトータル支出は、レコーディング、ミックス、マスタリング、プロモーション、リリースなど、さまざまな要素で決まります。アーティストと相談しながら、現実的にどれくらい販売できるのかを決めて、収益が期待できるか判断します。

制作を自分達で行うDIYアプローチを考えている場合は、予算をかなり低く見積もることができます。特にヒップホップやEDMのようなデジタルな音楽ジャンルでは、1台のコンピューターでレコーディングからマスタリングまで完結することができるので人気があります。

こうすることで音源制作に多くの資金を費やすことなく、代わりにPRなど他のところに予算をかけることができます。もちろん音源を自主制作を使用する場合は、品質が一定のプロレベルに達していることを確認する必要があります。

8. リリース戦略

シングルまたはアルバムをリリースする場合には、ライブツアーを含めたスケジュールを組みながら、リリース後のPR考慮して、どのように発表するのかも非常に重要となります。

製品を販売する3ヶ月前までには準備しておく必要があります。音源が用意出来たら、デモ音源のリンクを知り合いやメディアに送信したり、アルバムのリリースの前に単発曲のデジタルバージョンを先行リリースしたり、MVのティーザーを発表したりと、色々な戦略があります。

最近では、リリース前の宣伝としてSNSやWebマーケティングの知識が必須となります。メジャーレーベルでも専属のスタッフを配置するくらいSNSを上手く活用することは大きな価値があります。効果的にSNSでの発表、予約注文、写真、ダウンロード、ミュージックビデオなどを設定することで、宣伝効果だけでなく、音楽ファンの関心を集める要素にもなります。

9. 宣伝する

アーティストやレーベルブランドの宣伝方法には、たくさんの選択肢があります。通常は、ウェブサイトやラジオ、テレビ、ライブ公演、各種ストリーミングプラットフォーム、SNS、プレイリスト、YouTube等、を使って宣伝を行い、必要であればTikTok、Facebook、YouTube広告に予算をかけて多くのリーチを狙うことも可能です。

今は一昔前に比べると色んな宣伝方法がありますが、自分たちのアーティストのイメージや、レーベルとしてのブランドイメージに合ったやり方を模索するのが重要となります。SNSを活用するにしてもプラットフォームごとの特色を理解して、そこに合った方法で拡散することが大切です。


まとめ

自主音楽レーベルを立ち上げることは、挑戦的な取り組みですが、自分の広めたい音楽が明確にある場合はやりがいのある経験となるでしょう。

色んなウェブサービスやディストリビューションを活用することで、個人でも制作から流通までを行うこともそう難しくはありません。上記の手順を参考に、自分のレーベルを立ち上げ、音楽への情熱を世に広める手助けになれば幸いです。

以上、「個人で「自主音楽レーベル」を立ち上げる方法と運営戦略について」でした。


現代のミュージシャンは音楽レーベルと契約するべきか?

個人ミュージシャンが自分で音楽をリリースするまでの流れ【作曲準備編】

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