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ギターのモノラル録音を壮大なステレオサウンドに変える方法【DTM】

モノラルをステレオに

ギターのモノラル録音を壮大なステレオサウンドに変える方法【DTM】

自分でレコーディングしたギターサウンド、なんだか薄っぺらくて迫力不足に感じていませんか?その原因は、音源が「モノラル」のままになっていることが原因かもしれません。

この記事では、たった1本のモノラルギタートラックを、左右に広がる壮大なステレオサウンドに変身させる、プロも実践するテクニックをご紹介します。DAW(作曲ソフト)やプラグインエフェクトを使えば、誰でも簡単に試すことができます。

モノラルとステレオは何が違う?

モノラルとステレオの違いをギタリスト目線でざっくり言うと、以下のようになります。

  • モノラル=ギターアンプ1台を正面から聴いているイメージ。音が中央から聴こえる。
  • ステレオ=ギターアンプ2台を左右に置いて聴いているイメージ。左右から違う音が聴こえ、広がりや立体感が生まれる。

です。

そのため、録音したモノラルのギタートラックを単純に複製して左右にパン(定位を振る)を振っても、それは「音量が大きくなっただけのモノラルサウンド」にしかなりません。

本当の意味でステレオサウンドにするには、複製したトラックの片方に何らかの変化を加え、左右のスピーカーから「異なる音」が出ている状態を作り出す必要があります。

そのための具体的な方法を4つ、ご紹介しましょう。

1. 王道にして最強!ダブリング(2回演奏する)

ギタリストにとって、最もナチュラルでパワフルなステレオサウンドを得るための王道テクニックが、この「ダブリング」です。やり方はシンプルで、全く同じフレーズを2回レコーディングし、片方を左100、もう片方を右100にパンニングするだけ。

ダブリングのイメージ

人間の演奏は、どれだけ正確に弾いても微妙なタイミングのズレやピッキングのニュアンスが異なります。その「揺らぎ」こそが、他のどんな方法でも真似できない、生々しくワイドなステレオ感を生み出すのです。

特に、ディストーションをかけたパワーコードのリフでこのテクニックを使うと、音の壁が迫ってくるような圧倒的な迫力が得られます。多くのロックやメタルで聴かれる、あの分厚いギターサウンドの正体は、このダブリングであることがほとんどです。

2. 手軽にワイド感を演出!タイミングをずらす(ハース効果)

「もう一回同じフレーズを弾くのは大変…」という場合に便利なのが、この方法です。録音したギタートラックを複製し、片方の波形をほんの少しだけ後ろにずらすことで、擬似的にステレオの広がりを生み出します。

これは「ハース効果」という人間の聴覚特性を利用したテクニックで、40ミリ秒(ms)以内のズレであれば、脳は2つの音を「1つの広がりのある音」として認識します。

ハース効果

特に、カッティングや歯切れの良いアルペジオなど、アタック感がはっきりしたフレーズに使うと、効果的に立体感をプラスできます。

ハース効果の作り方

DAW上でトラックを複製し、片方のオーディオクリップを5〜30ms程度、手で後ろにずらしてみましょう。

トラックをずらす

または、ディレイプラグインを使っても再現できます。ディレイタイムを5〜30msに設定し、フィードバックを0%、Mix(またはWet)を100%にして、原音(Dry)とディレイ音(Wet)を左右に振り分ける方法も有効です。

ディレイでハース効果

設定が難しい場合は、「MicroShift」のようなプラグインを使えば、ノブ一つで簡単に最適な効果が得られるのでおすすめです。

3. 音に厚みと揺らぎを加える!ピッチをずらす

タイミングだけでなく、左右の音程をわずかにずらすことでも、豊かなステレオ効果を得られます。これはギタリストにはお馴染みの「コーラス」や「デチューン」エフェクトの原理と同じです。

トラックを複製し、片方のピッチをDAWの機能で変更します。ずらす範囲は3~10セント程度のごくわずかな範囲で試してみてください。これ以上ずらすと音痴に聴こえてしまうので注意が必要です。

ピッチ変更
お使いのDAWの機能でピッチを微調整

このテクニックは、サウンドに独特の「うねり」が加わり、音に厚みとリッチな響きをもたらします。多くのコーラスペダルやマルチエフェクターに搭載されている「Detune」機能は、まさにこの効果を狙ったものです。

※この方法は、モノラル環境で再生した際に特定の周波数が打ち消し合う「位相キャンセル」が起こりやすいので、最後にモノラルで確認することをおすすめします。

4. 飛び道具としても有効!モジュレーションをかける

コーラス、フランジャー、フェイザーといったモジュレーション系エフェクトをモノラルトラックにかけるだけでも、手軽にステレオの広がりを得ることができます。

これらのエフェクトは内部で音を複製して揺らす処理を行っているため、モノラル音源にかけるだけで左右に広がるサウンドになるのです。特にクリーントーンのアルペジオに薄くコーラスをかけるのは、80年代から続く定番テクニックで、サウンドにキラキラとした美しい広がりを与えてくれます。

コーラスエフェクト

他の方法に比べてエフェクト感が強く出るため、ジャンルや曲調を選びますが、飛び道具として使うと面白い効果が得られるでしょう。

注意点として、低音域が豊かなギターサウンド(ドロップチューニングのリフなど)に深くかけると、音がぼやけてしまうことがあります。その場合は、プラグインの前段にEQを挿して100Hz以下の低音域をカットしてからかけると、スッキリとしたサウンドが得られます。

まとめ

モノラルのギター録音を、壮大なステレオサウンドに変える方法は以下の通りです。

  • ダブリング(2回演奏する):最も自然でパワフル。特に歪みリフに最適。
  • タイミングをずらす:手軽にワイド感をプラス。カッティングやアルペジオに。
  • ピッチをずらす:音に厚みとリッチな響きを追加。コーラスのような効果。
  • モジュレーションをかける:飛び道具として。クリーントーンに彩りを。

StereoSavageのようなステレオイメージャー・プラグインも多く販売されていますが、その内部処理は、今回ご紹介したようなテクニックが応用されていることがほとんどです。

まずはこれらの基本的な手法を試し、自分のギターサウンドがどう変化するのかを体験してみてください。きっと、あなたのギターサウンドが一段と魅力的に聴こえるはずです。

以上、「ギターのモノラル録音を壮大なステレオサウンドに変える方法【DTM】」でした。


モノラル音源をステレオに広げる為のプラグインソフトおすすめ5選

ベースにステレオ感を与えてワイドに広げる3つの方法

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