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DTM

MS処理(ミッドサイド)の効果を利用して幅広いミックスに仕上げる

2020年9月20日

MS処理

MS処理(ミッドサイド)の効果を利用して幅広いミックスに仕上げる

MS処理は正しく行うことで引き締まったローエンドやトラックの分離感、ワイドなミックス音像を手に入れることができます。

通常のミキシングに比べると高度な技術が必要なため、間違えたやり方をすると逆にミックスが混乱する原因にもなりかねません。

今回はMS処理の持つ効果と、正しく行う方法についてお話します。

MS処理とは?

通常、音楽を作る場合には右と左に分かれたステレオ空間の中で作業を行っていきます。

MS処理の概念は、センターであるMid成分とその両サイドに分かれたSide成分に分けて作業を行うことで、さらに高度なミキシング処理を行えるようにすることです。

MS処理



MS処理で得られる効果

MS処理を行うことで得られる効果は主に次の3つです。

  1. ローエンドを引き締める
  2. トラックの分離感を高める
  3. ステレオ空間を左右に広げる

順に解説していきます。

1. ローエンドを引き締める

ミキシングセオリーとして、低音はセンターで高音になるにつれて左右に広げていくというものがあります。

ベースやギター、シンセサイザー等、の幅広い周波数帯域を持つ楽器のサイドに流れ込んだ低音周波数をフィルタリングすることで、低音成分を中心に集めることができます。

2. トラックの分離感を高める

ミッドとサイドで分けた楽器のサイド成分のみをブーストすることで、センターで鳴っている重要度の高い楽器(ボーカルやキック、ギターソロ等)をマスキングすることなく、音量を上げることが可能です。

3. ステレオ空間を左右に広げる

ミッド成分を抑え込んで、サイド成分をブーストすることでリスナーのフォーカスがサイド成分に集中するので、音像が左右に広がったように感じる効果があります。

耳に付きやすい高音成分をブーストするという方法もあります。→ステレオ音像を大きく広げる為のミキシングテクニック

ミックス時に使えるMS処理

ミキシングのMS処理

ボーカルスペースを確保する

例えば、ミックス内にギタートラックやシンセトラックがあり、ボーカルと被ってしまっている状況があったとします。

通常はボーカルを優先し、800Hz~4kHzをEQを使いカットしますが、ギターやシンセにとっても「おいしい帯域」であることは変わりありません。

そういった場合にMS処理を行うことで、ボーカルとマスキングしているミッド成分の800Hz~4kHzをカットすることで、センターにボーカルスペースを確保することができ、サイド成分では楽器のおいしい部分を鳴らすことができます。


タイトなローエンドにする

キックやベースのような低音楽器はモノラルで配置されることが多いです。

場合によってはステレオ処理することもありますが、基本的にはローエンドの帯域にステレオ成分があることで音に締まりがなくなるので、よりタイトにするためにも80~100Hz以下のサイド成分はカットしてしまうのも効果的です。→ローエンドミックスの為の重要な5つのヒント


濁りを取り除く

ステレオだと問題ないのに、モノラル環境で聴くとミックスが濁って聴こえるという場合は、サイドに音を詰め込み過ぎている可能性があります。

サイドの低音をカットしてみるか、左右に広げた高音を少し圧縮してみたりすることで、スッキリとした全体像が得られるかもしれません。

マスタリング時に使えるMS処理

マスタリングのms処理

ローエンドの処理

ミキシングの時に行った作業と同じように、マスタートラックのサイド成分80~100Hz以下にハイパスフィルターを適用して、左右に流れ込んだ不要なローエンドを処理することが有効です。

こうすることでより低音成分を明確にし、トラック全体を支える重厚感のあるローエンドが手に入ります。

反対にサイドの高周波帯域(8k~14kHz)をシェルビングブーストすることで、ミックス全体にエアー感を追加し、クリアに仕上げます。

センター成分を抑える

もう一つは、声や楽器がいくつも重なって持ち上がったセンター成分を圧縮する方法です。

ミックス時に使った、サイドをブーストしてステレオ音像を広げるのと効果はほとんど同じですが、マスタリング時にはより繊細な扱いが必要です。

マスタリング時に使う場合は、サイドをブーストするよりもセンターをほんの少しだけコンプレッサーで圧縮したほうがミックスバランスが崩れにくいです。

こうすることで、音圧の底上げやステレオ空間を左右に広く使うことが可能になります。

MS処理が簡単にできるプラグイン

少し前はMS処理をするために複雑な手順を踏む必要がありましたが、今はトラックにインサートするだけで簡単にMS処理ができるようになるプラグインも多く販売されています。

CenterOne

center one

CenterOneはMS処理よりも高度なアルゴリズムを採用しており、CLR(センター・レフト・ライト)ごとに処理することができます。

プラグイン出力に対応しているので個別にEQやコンプレッサーを挿すことが出来るので、さらに高度な処理も可能です。

CenterOne

WAVES CENTER


プラグイン販売の大手Waves社から販売されている「Waves Center」

左のフェーダーはセンター、右のフェーダーはサイドの音量というような非常に簡単な操作でMS処理を行えるので、手軽にMS処理の効果を味わいたい方におすすめの製品です。

WAVES CENTER


FabFilter Pro-Q 3

FabFilterの「Pro-Q3 EQ」プラグインは最も人気のあるイコライザーソフトウェアとして多くのエンジニアから高い評価を得ているEQプラグインの1つです。

同じくFabfilterの「Pro-C」というコンプレッサーもMS処理に対応しているので、DAW純正のプラグインにMS処理機能が付いていない場合は、Fabfilter製品を検討してみてはいかがでしょうか。

FabFilter Pro-Q3

iZotope Ozone 9

ozone 9

大人気マスタリングソフト「Ozone 9」

プラグイン内のEQとコンプレッサーにMSに分ける機能が付いているので、マスタリング時のMS処理はこのソフトで完結します。

マスタリングソフトだけあって、かかり具合が非常に滑らかなので、MS処理によって大きくミックスバランスを崩したくない方にもおすすめです。

iZotope Ozone 9

まとめ

少しハードルの高いミキシング技術ではありますが、プラグインソフトの進化で今までより簡単に行えるようになりました。

正しく処理することができれば、さらに音源の品質向上に繋がりますが、やりすぎるとせっかく作り上げたミックスバランスが崩れてしまうのでほどほどにしておきましょう。


以上、「MS処理(ミッドサイド)の効果を利用して幅広いミックスに仕上げる」でした。


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