ステレオとモノラルの違い | ミキシングするときはどっちを使う?
ミキシング中に音源ソースのステレオとモノラルの違いを理解して、正しく配置できていますか?
モノラルサウンドとステレオ サウンドの違いは、簡単に言うと録音と再生に使用されるチャンネルの数で、もちろん出力に使用する機器の影響も受けます。
制作の場合、ギター、ボーカル、シンセサイザー等、音源ごとにステレオ、モノラルを把握しながらトラックを正しく配置する必要があります。
モノラル信号の特徴
モノラル信号は単一の音源や1つのマイクで録音され、その後1つのチャンネルでオーディオトラックに出力されたオーディオデータです。
モノラル録音された音源は、出力先がイヤホンやステレオスピーカーのペアであっても左右から同じ信号が送られます。
左右均等のオーディオ信号なので、仮にスピーカーを左と右に大きく配置したとしても音は目の前のセンターで鳴っているように聴こえます。同じ信号が両方のスピーカーから同時に来ているためです。
ステレオ音源の特徴
ステレオ信号は左チャンネルと右チャンネルに別々の情報が含まれています。
左チャンネルから聴こえる音源は、実際には右チャンネルとはわずかにピッチ、タイミング、位相等が異なり、左右が逆でも同様です。
このほんの少しの違いであっても、人の耳が左と右から違う情報がきていると認識することで、ステレオオーディオは幅と広がりを持たせることができます。
モノラル録音とステレオ録音
続いてモノラルとステレオ録音違いについてです。
録音に関して言うと、基本的にはレコーディングで収音されるほとんどの音源はモノラル信号になります。ボーカル、エレキギターやベース、キーボードなど、ソースを収音するために単一のマイクをセットアップする為です。
オーケストラアンサンブル、ドラム、ピアノ、アコースティックギター等をレコーディングする場合に、エンジニアは複数のマイクで収音し、パンを振ることで音源に幅と広がりをもたせます。
→ステレオ音像を大きく広げる為のミキシングテクニック。
モノラル音源をステレオ変換する方法
単一のマイクを使用する場合や、モノラルの音源であってもステレオに変換する方法はあります。
1. 2回録音する
1つのマイクしか持っていないとしても、同じ演奏を2回レコーディングして、各音源を左右に大きくパンニングすることで微妙な演奏の違いでステレオ幅を生むことが可能です。
一般的にはリズムギターをこのようにダブルトラックして使用することが多いです。
→エレキギターミキシング上達の5つのテクニック
2. ハース効果を利用する
40ms(1秒の4/100)以内の2つの音が鳴っている時、人間は一つの音と認識します。これを利用して、左右にPANした同じ音を少しズラすことでステレオ感を演出します。
ハース効果について詳しく知りたい方はハース効果を利用してミックスをワイドに広げるをご覧ください。
モノラルミキシングのメリット
多くの人はステレオ環境でミキシングを行っていると思いますが、世界のトップエンジニアもモノラルでミックスを確認することは非常に重要だと言っています。
1. 音量バランスの確認
モノラルミックスの最大のメリットは音量バランスを適切に判断するのに役立つということです。
ステレオフィールドで楽器を左右に広げると、音量を調節したい音源への意識がばらけてしまい、全体に対しての最適な音量感が分からなくなる可能性があります。
音像をモノラルすることで、実際のバランス感覚をつかみやすくなります。
2. マスキングを見つける
マスキングは楽器同士の音被りのことで、音が被ると音像が濁ってしまいます。
周波数帯域で音が被ってしまっているのに、ステレオ幅を持たせているが為にマスキングに気付けない場合があります。
例えばセンターでボーカルが鳴っていて、左100右100にギターを振っていた場合、ミッドレンジで音が被っていたとしてもイヤホンやヘッドホンのような左右の音が干渉しないようなステレオ環境で聴くとクリアに聴こえていると錯覚しやすいです。
3. 位相をチェック
特にモノラル音源をステレオイメージャーのような拡張プラグインを使用している場合に、位相のずれをチェックできることです。
基本的にはモノラルで聴くことで、位相のトラブルに気付きやすくなるので役立ちます。
まとめ
ステレオ、モノラルのどちらか一方の環境でミキシングを進めるよりも、状況に合わせて両方を使い分けることで、より良い音源トラックが手に入ります。
実際にはモノラル環境でリスニングすることも減ってきましたが、最終的な目標はどんなリスニング環境でもベストな音質を目指すというところを意識しながらミキシングすることが大切です。
以上、「ステレオとモノラルの違い | ミキシングするときはどっちを使う?」でした。