【エレキギター】作曲に役立つ音楽理論 (パワーコード編)
エレキギターを練習するときに、自分の好きなアーティストのコピーをしたりすることが多いと思いますが、プロの楽曲を弾いていると「パワーコード」が多いことに気づくかと思います。
「パワーコード」もちろん知ってはいるけど、普通のオープンコードとどう違うの?
今回はなぜロックの楽曲にパワーコードが多く使われているのか?
について深堀してお話していきます。
ここから「度数」や「トライアド」といった用語が出てきます。パワーコードの前にコードの基本的なことを勉強したい方はこちらの記事を合わせてどうぞ。
ギターコードの基礎知識
そもそもパワーコードとは?
これからエレキギター始めるという方の為に、パワーコードについて。
パワーコード (Power Chord) とは、コードにおけるヴォイシングの一種である。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
メジャーコードもしくはマイナーコードの第3音を省略し、それにより音の濁りが少なくなるため純粋かつ力強い音を醸し出す事が出来る。また、オクターブを加える場合もある。通常はヴォイシングの一種であるため、譜面上では表記されることはほとんどないが極まれに使う事があり、その場合は例えばルートがCであるとすると、C5と表記する。
コードのルート音と5度の2つの音で鳴らすコードのことです。
コードの押さえ方もとても簡単になるので、使用頻度は一番多いです。
なぜロックでよく使われるのか?
一番大きい要因としてはロック特有の「ギターを激しく歪ませる」ことにあります。
ディストーションぐらい歪ませた場合、トライアドや7thで弾くと響きが複雑になりすぎて聴き苦しい音になるので、シンプルな響きの「ルート+5度」のパワーコードが使用されます。
どうして複雑な響きになるのか
更に深堀りしていきます。
音をエフェクターで歪ませると奇数倍音がより強調されたサウンドになるのですが、このことが大きく関係しています。
例えば、
歪みギターでC(ド)を弾いた場合
Cの基音 : 523Hz
Cの3倍音 : 1.56kHz
Cの5倍音 : 2.61kHz
Cの7倍音 : 3.66kHz
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歪みを深くするほど、基音以外の倍音がどんどん協調された音になります。
基音だけだと綺麗に響くはずの和音も、この強調された奇数倍音がぶつかることで音が濁ります。
Cコードを「ルート音→5度→3度」の順番に鳴らすので実際に聴いてみてください。
※響きが分かりやすいように倍音の少ない「サイン波」を使用しています。
どうですか?
歪み有りの場合、最後の3度の音を足した瞬間にかなり不快な響きになったと思います。
これが奇数倍音が協調されたことによる音のぶつかりです。
ギターの場合偶数倍音も入り混じっているので、ここまで不快な響きだけが協調されることは無いですが、基本的には歪ませると響きがどんどん複雑になります。
なので基音はできるだけシンプルな響きである「ルート+5度」の音が良いということです。
3度の音を省略することがロック
パワーコードはトライアドから3度の音を省略したコードです。
この3度の音というのはコードにとっては実はものすごく重要な音で、メジャーコードとマイナーコードを区別する音です。
つまり3度を省くということはコードの響きを不明確にし、メロディーやスケール次第で明るくも暗くもできるコードになるわけで、ある意味好都合というか、これがロックたる由縁なのです。
激しいのに哀愁が漂っていたり、明るいのに暗く切ない歌詞やメロディーだったりと、自由です。
ロックやパワーコードを使用する楽曲は基本的にダイアトニックコードで進行しているので、曲全体ではメジャーマイナーの判別はできますが、部分的にみると結構曖昧だったりします。
他の楽器やメロディーでしか調性を判別できないので、メジャーキーなのにマイナーペンタスケール一発でギターソロが弾けたりするのもパワーコードの曖昧さゆえにだったりするのです。
まとめ
ロックにぴったりなパワーコード。
使い勝手はいいですが、パワーコード主体だとどうしてもシンプルな楽曲になりがちなので、上物(リードギターやシンセサイザー)等でのアレンジが重要になってきます。
パワーコード+オクターブ上のルートや、7thやテンションノートを使って部分的緊張感を取り入れると、より効果的です。