シンセサイザーの仕組みを理解する!DTM入門者向けガイド
シンセサイザーは、現代の音楽制作において欠かせないツールの一つです。シンセサイザーは一見するとつまみが多くて難しく見えますが、その構造は意外と単純です。
DTMでソフトウェアシンセサイザーを使用する場合には、機種ごとに使い方を理解するよりも、シンセサイザーそのものの動作原理を理解することが重要となります。
シンセサイザーの仕組みを理解するためのガイドをご紹介します。特に、DTM(デスクトップミュージック)を始めたばかりの入門者の方々にとって役立つ、シンセサイザーの具体的な構造についてお話しします。
そもそもシンセサイザーってなに?
シンセサイザーは、簡単にいうと電子的な手法を用いて音を生成する楽器です。大きく分けてハードウェアとソフトウェアタイプがあり、デジタルの特性を活かしたあらゆる種類の音色を再現できる柔軟性を持っています。
シンセサイザーは、モジュールの組み合わせや設定を調整することで、さまざまな音色を作り出すことができます。例えば、明るいピアノ音や重厚なベース音、シンセポップのようなキャッチーな音色など、幅広い表現が可能です。
音楽制作やパフォーマンスにおいて重要な役割を果たしており、様々なジャンルの音楽で広く使用されています。その魅力的な音色や自由度の高さから、多くのミュージシャンやDTMプロデューサーに愛用されています。
シンセサイザーの基本構造
シンセサイザーの基本的な構造は、オシレーター、フィルター、エンベロープ、アンプなどのモジュールから成り立っています。
- オシレーター
基本的な波形を生成 - フィルター
音の周波数特性を調整 - エンベロープ
時間軸による音量変化 - アンプ
音量の調整
初期のアナログシンセサイザーは様々なパーツがモジュールと呼ばれる部分に分かれており、これをパッチケーブルで繋ぐことで楽器として組み立てていくものでした。
そこから効率性が増し、オシレーター、フィルター、エンベロープ、アンプといった重要なパーツのみが残り、パーツとパーツをケーブルで繋ぐ必要のない、現在のシンセサイザーのような形になりました。
シンセサイザーの音作りの3つの要素として音程、音色、音量があり、オシレーターを使い基本波形を決めて、フィルターで倍音成分を調節して音色を整えます、そしてADSRエンべロープで時間軸による音量変化を加えれば完成です。
基本的にはどのシンセサイザーもこの音程、音色、音量の概念で作られており、機種によってはオシレーターが2つ付いていたり、エフェクターが多数搭載されていていたりとより高度な音作りが可能です。
オシレーター
オシレーターはVCO(Voltage Controlled Oscillator)といい、電子制御可能な発振器のことです。デジタルシンセサイザーの場合はOscillatorの頭文字であるOSCと書かれている場合が多いです。
電圧を使って音の制御を行うことから同じくフィルター部分はVCF、アンプ部分はVCAと呼ぶこともあります。
正確に言うと現代のDTMで使うようなデジタルシンセサイザーは電圧で音を制御している訳ではないのですが、由来として使われています。
音の波形について
シンセサイザーは演奏者が鍵盤を押すとまずオシレーターに信号が届き、基本の波形であるノコギリ波、三角波、サイン波、短形波、パルス波、ノイズから出力する波形を選びます。
ここの波形がいわば音の素材となるので、この部分の音質クオリティがシンセの個体ごとの音の良し悪しに直結しています。ここので音が良くないと後のフィルターやエフェクトを使って加工をしても限界があります。
それぞれの波形ごとに含まれる倍音が異なり、特にノコギリ波(Saw)には最も多くの倍音が含まれているのでノコギリ波を基準として、フィルター等で音を削っていく形で音作りをすることが多くなります。
音程に関してはオシレーターから発せられる音波の周期によって決まります。
この音の波が1秒間に何回振動するかを「周波数」といい、例えば1秒間=440回の場合、440Hzなのでチューニング時の基準値であるA=ラの音となるわけです。
この音程の高い低いは鍵盤によって使い分け、スイッチでオクターブ切り替えのような機能もあります。
フィルター
シンセサイザーの音作りにおいて重要となるのがこのフィルター機能です。
オシレーターで作られた波形はこのフィルターに送られ、音の高域や低域を削り取ることで倍音量を調節し、音色を変化させます。
このカットオフの調整があることでシンセサイザーは無限の音作りが可能であると言われているほど、シンセサイザーのサウンドメイクにおいては重要なポイントなので、プリセットではなく、オリジナルサウンドを作りたい場合にはしっかりと使いこなせるようになっておきましょう。
- ハイパス(ローカット)
- ローパス(ハイカット)
- ピーク
- バンドパス
- ノッチ
基本的にはこの5種類ですが、機種によってはさらに複雑なフィルターが搭載されているものもあります。
フィルターに付いているカットオフでカットする量を調節し、レゾナンスでカットした周辺の周波数をブーストすることで、エッジ感のあるサウンドになります。
さらにフィルターにオートメーションをかけることでより多彩なサウンドメイクが可能です。
アンプ
単に最終的な音量を調節する為の目的と、ADSRエンベロープと呼ばれるパラメーターを使った時間軸による音量調節が可能となります。
一般的なアンプといえば単にボリュームの増大に使われることがほとんどですが、シンセサイザーの場合には様々な音の立ち上がりや、音の減衰をコントロールする必要があります。
そこで使用されるのがADSRエンベロープです。ADSRとはアタック、ディケイ、サスティーン、リリースの4つの頭文字をとったもので、音の立ち上がりや持続音の調節ができます。
ADSRエンベロープの具体的な内容については別の記事でも紹介しているので合わせてご覧ください。
→【ADSR】エンベロープを使いこなそう
エンベロープを理解することで、Pluckのような瞬間的なエネルギーのある音やPadのようなアンビエントな雰囲気の音を自在に操れるようになります。
まとめ
シンセサイザーの基本的な発声構造である
- オシレーター
- フィルター
- アンプ(ADSRエンベロープ)
について解説しました。
オシレーターで音の元となる波形を生み出し、フィルターで倍音をコントロールし、アンプを使って音量を調節することで最終的な出音となります。
シンセサイザーにエフェクターが搭載されている機種がほとんどなので、必要であればそれらを使用してさらに音質を向上させます。
→シンセサイザーに搭載されているエフェクトの種類と使い方について【DTM】
最近のデジタルシンセサイザーだと、この他にも多くの機能が搭載されていることで更に多彩な音作りが可能となっていますが、基本的な3つの仕組みについては同じなので応用が効きます。
以上、「シンセサイザーの仕組みを覚えよう!【DTM】」でした。