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マスタリングにおけるEQの役割:トラックを仕上げる5つのテクニック

2023年8月1日

マスタリングEQ

マスタリングにおけるEQの役割:トラックを仕上げる5つのテクニック

マスタリングは、トラック全体の最終的な仕上げ工程です。この段階で失敗してしまうと、これまでのミックスに費やした時間が台無しになる可能性もあります。

これまでは豊富な経験と知識が必要なため、専門のプロフェッショナルが行う工程でしたが、Ozoneシリーズを始めとした、高性能なマスタリングソフトウェアの登場で、個人のクリエイターであっても十分にマスタリングを行うことができるようになりました。

マスタリング時のEQ処理について

マスタリングEQ

マスタリングで行うEQ処理は、音作りやミキシングで行うEQ処理とは少し異なり、楽曲全体の音質を整えることが目的です。そのため、特定の楽器や音域を強調したり、大幅にカットすることは滅多にありません。

もしも大幅なカットやブーストが必要だと感じる場合は、ミキシングの段階にもどってバランス調整からやり直すことをおすすめします。

マスタリングEQはミックス全体のバランスを調節して、さまざまな音楽プラットフォーム、フォーマット、再生システムで、可能な限り最高の音質で鳴らせるように理想的な音のバランスを達成するために使用されます。

今回は、マスタリングにおけるEQの役割といくつかのテクニックをご紹介します。

1. 正確なモニタリングシステムを使用する

スピーカー

音響的に処理されていない部屋で安価なスピーカーを使ってマスタリングを試みるのは、プロフェッショナルなエンジニアであっても難しいものです。

マスタリングに適したスピーカーヘッドホンを使用することで、より正確なモニタリングができるようになります。一般的なリスニング用の製品だと、音が歪んで聴こえたり低音再生が弱かったりと、不具合が生じてしまう可能性があります。

部屋の共鳴低周波数(ノード)がある場合、低音がロールオフされてサウンドが薄くなり、全体的なパンチが失われてしまいます。音響的にニュートラルなモニターを使い、部屋に基本的な音響処理(低音トラップ、ディフューザーなど)を設置することも重要です。


2. 音のバランスを修正する

アナライザー

マスタリングセッションの最初のステップは、目を閉じて聴くことです。特定の周波数よりかは、全体的な周波数を聴くように意識して、低音、中音、高音の相対的なバランスを確認します。

音のバランスを聞き分けるのに自信がない場合は、FabFilter Pro-Q3のような音の周波数を目視しながらイコライジングできるEQであれば、より正確にバランス調整ができるのでおすすめです。

ミックス全体が濁っているように感じるのか、薄くて平べったいのか、高音が耳につくのか、それぞれの楽器が鮮明に聴こえているかなどを注意深く判断します。これらの問題はマスタリングEQで対処できます。

もしミックスが濁っていたり、鮮明さに欠けているように聴こえる場合、ミックス内の要素が低中音域に集中している可能性があります。150〜350 Hzの範囲の低中域を減衰させることで、ミックス全体の濁りを解消することができます。


3. カット方向に使用する

マスタリング

マスタリング時のイコライジングは、基本的にはマイナス方向に使用する方が良い結果を得られやすいです。

周波数帯域のエネルギーを減少させる、マイナス方向へのイコライゼーションは、一般的にブーストよりも耳に心地よいサウンドをもたらしてくれます。特定の周波数領域を強調したい場合には、その帯域に隣接する周波数をカット(減衰)する方が効果的です。

低音を減らすと、中音と高音が強調されたように聞こえます。逆に、高音域だけを減らすと、ミックスの低音域が強調されたように感じることができます。

4. 1.5dB内の小さい範囲で調節する

1.5dB内の少ない量で調節

マスタリング工程は非常に繊細な作業です。プロのマスタリングエンジニアは、周波数領域を1.5dB以上カットorブーストすることはほとんどありません。

ほんの少しの変更でもトラック全体に大きな影響を与えることを理解しています。まだ僅かな変化に気付けないとしても、なるべくプロフェッショナルと同じ原則に従うべきです。

基本的には1dB以下の範囲内の微調整で作業し、調整が全体のサウンドにどのように影響するかを注意深く感じ取るようにしましょう。冒頭にも述べたように「2~3 dBを超える修正が必要なら、ミックス段階で何か問題があるかもしれない。」ということは覚えておきましょう。

5. センターとサイドのバランスを取る

MS処理

マスタリングEQを使用する場合は、できれば右と左の両サイドとセンターの中央までを処理できる(MS処理)イコライザーの導入をおすすめします。

SSL Native X-EQ 2のようなステレオ領域のミッドとサイドを独立して調整できるプラグインであれば、イコライジングを使用してステレオイメージを広げたり狭めたりできます。

基本的に、サイドイメージの高音成分を増やすことで、より広いステレオイメージが得られます。これにより、信号に不要な位相変化を生じさせることなく、広いステレオ幅を得るための優れた方法です。

まとめ

マスタリングにおけるEQは、トラックを仕上げるための重要なテクニックです。専門的なプロフェッショナルであっても慎重に行われるこの工程は、音楽全体のバランスを整えるために必須の工程です。

正確なモニタリングシステムを使用し、大幅なカットやブーストは避け、1.5dB以下の範囲で微調整するようにしましょう。また、センターとサイドのバランスを取ることで、広いステレオイメージを得ることができます。

適切なEQ処理によって、クリエイターの意図したサウンドを実現し、最終製品のクオリティを向上させることができるでしょう。

以上、「マスタリングにおけるEQの役割:トラックを仕上げる5つのテクニック」でした。


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