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DTM

マスタリングのやり方と基礎知識

マスタリングのやり方

マスタリングのやり方と基礎知識

以前、マスタリングとは何か?基本的な5つのステップでマスタリングについての基本的な内容と、大まかな5つの工程についてお話しました。

今回は曲をミックスして後、セルフマスタリングを施してリリースしたいシンガーソングライターやDIYプロデューサーのように個人で制作をしている方に向けて、より具体的なマスタリングのやり方についてお話します。

1. 最終的な着地点をイメージする

ミックスの段階から言えることですが、楽曲の最終的な仕上がりをイメージしておくことは非常に重要です。

ジャンルによって最適な音質バランスや音圧は変わってくるので、作業中に最終的な着地点を見失わない為にもリファレンスとなるトラックを用意します。

多くの場合、テンポ、アレンジ、音質が似ているプロの楽曲をリファレンストラックとして用意し、いつでも比較できるように近くに置いておきます。

※Ozone9のように定番のマスタリングソフトには便利なリファレンス機能が搭載されてる製品もあります。

ozone 9 リファレンストラック


マスター音源が各種ストリーミングプラットフォームでの競争に勝つ為には、あなたとプロの楽曲が同じプレイリスト内に入っていても違和感の無いレベルか?ということを意識する必要があります。

特に初心者の頃は正しいバランスが分かっていないことが多いので、常に自分とプロの楽曲を聴き比べしながら、理想の音質に近づけていくことが重要です。

2. 適切なラウンドネス値

ラウドネス値

一昔前までは限界までラウドネス値(音圧)を高めた音源が好まれていましたが、ストリーミング主流となった現在は、配信先に合わせてラウドネス値を正しく設定する必要があります。

マスタリングでの音圧の測り方について【LUFS】でもお話したように、Spotify、YouTube、Apple Musicのような主要なストリーミング配信サービスではラウドネスノーマライゼーションという機能が付いています。

ラウドネスノーマライゼーションは分かりやすくいうと「どんなに音圧を上げても一定の音量まで下げますよー。」という機能のことで、これを理解していないと楽曲のダイナミクスとトランジェントを失うことになるので注意が必要です。

正しいラウドネス値は?

ラウンドネスの値はLUFSと呼ばれる単位で表されます。

LUFSはテレビや音楽ストリーミングサービスでのオーディオ信号のノーマライズに使用される標準のラウドネス測定値です。

Youlean loudness meter 2」という無料プラグインを使えば簡単に音圧を測れるのでオススメです。

Youlean loudness meter 2


正しいLUFSの値は配信サービスごとに異なり-12~-16LUFSの範囲であることが多く、一般的に-14LUFSに合わせてマスタリングされます。

BeatportやAirbitのようなビートストアや、SoundCloudではノーマライズが適用されないこともあるので、音圧を上げた音源の方が有利なプラットフォームもあります。

音圧を上げる為の3つの要素について【DTM】

3. コンプレッサー

マスタリング コンプレッサー

必要に応じてトラック全体にコンプレッサーを使って圧縮をかけます。

トラック全体のダイナミクス(音量差)を制御して、楽曲全体を「くっつける」ことで一体感が出ます。

・レシオ2:1~3:1ぐらいの緩やかな圧縮比で、ゲインリダクションが2~3dB、アタックタイムを10~30msの中で調節すると良いです。

・アタックタイムが速すぎると楽曲全体のパンチが無くなるので、BPMに合わせて調節しましょう。

・リリースタイムはオート機能を使うのが一番無難ですが、もし搭載されていない場合には150msぐらいから初めて、耳を使って微調節します。


マルチバンドコンプレッサー

マスタリング マルチバンドコンプレッサー

マルチバンドコンプはトラック全体を圧縮するのではなく、特定の周波数範囲のみを圧縮することができるので、曲全体で一貫性のないトーンを修正する場合に最適です。

基本的な使い方は通常のコンプレッサーと同じです。レシオ、ゲインリダクション、アタック、リリース、を使って、作用させたい周波数の範囲を指定して使います。


4. イコライザー

マスタリング イコライザー


イコライザーを使って楽曲の最終的なトーンとリファレンスとのバランスを整えます。

一度に複数の楽器の処理が得意なリニアフェイズEQを使うことで、非常にクリーンな仕上がりになります。

マスタリング時のEQ処理はQ幅を広げたワイドなカット&ブースト、シェルフ処理を意識して、±3dB以上の変化を加えないようにすると自然なトーンが手に入ります。

もし3dB以上の処理が必要な場合は、ミックス段階にまで戻ってやり直した方が良い結果が得られやすいです。

ダイナミックEQ

ダイナミックEQは入力音のボリュームによって、EQの効果幅が自動的に変化するイコライザーです。

コンプレッサーと同じようにスレッショルド値が設定できることで、トラック内で瞬間的に飛び出した部分を抑え込みたい場合に有効です。

ダイナミックEQを使用することで、マルチバンドコンプよりもよりピンポイントに狙いを定めて音質調整が可能です。


5. サチュレーション

マスタリング サチュレーション

サチュレーションとは微量の「歪み」のことです。サチュレーションを加えることで、トラック全体に倍音を付加し、暖かさとエネルギーを追加します。

やり過ぎると音像とダイナミクスが失われるので、耳で聴いて分からないぐらいうっすらかけるのがコツです。

特にEDMのようなデジタル主体の音楽や、Lo-Fi系の独特のアナログ感のあるジャンルでは大きな効果を発揮しますが、ミックスの段階で歪みを加えている音源だと逆効果になってしまうので、必要に応じて適用するようにしましょう。

6. エクスポート

エクスポート

マスタリングが完了し、最後の書き出しの段階です。

基本的にはロスレスタイプのWaveファイルで書き出すことが多いとは思いますが、容量の軽いmp3で書き出すこともあります。

24Bitで制作して16Bitやmp3で書き出す際には必ずディザリングが必要になります。

DAWのビットレート設定について【DTM】

異なる解像度でトラックをバウンスしているときの余分なデジタルノイズが発生するのを防ぐのに役立ちます。

まとめ

マスタリングの流れと基礎知識についてお話しました。

最近はミックスの一環としてマスタリングを行うことも増えてきているので、今回紹介した内容をミックスの段階でやってしまうプロデューサーも多くなってきました。

定番マスタリングソフトのiZotope Ozoneシリーズのようなオールインワンタイプのマスタリングエフェクトをマスタートラックに挿して行うと、最終的な仕上がりと音量バランスを確認しながらミックスを行うこともできるので、非常に便利なのでオススメです。

以上、「マスタリングのやり方と基礎知識」でした。


Ozoneを使ったマスタリングのやり方【iZotope Ozone】

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