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エレキギターを綺麗に録音する方法

2021年11月1日

エレキギター

エレキギターを綺麗に録音する方法

現在エレキギターを録音する方法として、アンプからマイクを使って収音する方法や、物理モデリングプリアンプ(アンプシミュレーター)まで、さまざまな方法があります。

エレクトリックギターのサウンドはギター本体、ピックアップ、アンプ、スピーカー、エフェクターのような様々な要素に依存します。さらにマイキングテクニックを使うことでマイクによる音質変化も考慮する必要がありますが、効果的なライン入力によるDIテクニックや両方を組み合わせるといった方法もあります。

アナログとデジタル

ギターの録音で最も理想的なやり方としては、本当に良い環境と状態にあるアンプをマイクキングすることですが、大掛かりな機材や設備を利用できない状況であったり、個人クリエイターにとっては中々ハードルが高いです。

これが実現しない場合はアンプシミュレーターのようなモデリングシステムを導入することを検討してみましょう。

テクノロジーの進化により、モデリング技術もかなりの精度で再現することが可能となっているので、多くのギタリストやエンジニアはDAW上で機能するプラグインソフトを使用して、アンプとスピーカーをモデリング処理する方法も主流になってきています。

アンプをマイク録り

アンプ

アンプをマイキングできる環境での録音方法は以下の通りです。

アンプサウンドをキャプチャする方法として、多くのエンジニアはダイナミックマイクを使用してクローズドタイプ(背面が閉じている)キャビネットを好みます。

一般的には英国のレコーディングエンジニアはカーディオイドのダイナミックモデルを使用する傾向がありますが、アメリカのエンジニアはコンデンサーマイクを好んで使用する傾向にあります。ダイナミックマイクは滑らかなハイエンドが豊富に生成されるサウンドを持ち、コンデンサーマイクは解像度の高いよりクリアなサウンドが手に入ります。


スピーカーは前面から直接音が聞こえますが、パネルの振動によってボックスの背面と側面からもかなりのレベルの音が放出されています。また、背面が開いたキャビネットはボックスの前面から出る音と同じくらい多くの音を放出しています。

マイキング

マイクをスピーカー前面のどの位置に配置するかで、キャプチャするサウンドに大きな影響があります。 

通常はマイクをグリルから1cm~3cm離して、スピーカーの中央と端の中間を指すようにします。マイクを数センチ動かすだけで音が変わります。 

マイキング

原則として、コーンの中心を狙うほど明るい音が得られますが、マイクをコーンの端に向かって動かすと徐々にマイルドな音色になります。マイクをアンプから遠ざけるとサウンドにエアー感が加わります。

スピーカーコーン

アンプのEQノブで調節する前に、マイクポジションによる音作りを色々試してみましょう。

さらに、追加でリアルなアンプサウンドをキャプチャする方法として、アンプを大きな部屋に設置し、なるべく大音量で鳴らし、マイクを数メートル話して壁や床の反射音と一緒に録音する方法もあります。

これにより複数の音が重なり合った微妙なフィルタリング効果が発生し、実際の空間にいるようなリアルなギターの音をキャプチャすることができます。

アンプに近づけたオンマイクと部屋鳴りを拾う為に少し距離をとったオフマイクの2つのサウンドを上手く混ぜ合わせることで、高品質なギターサウンドをキャプチャすることが可能になります。

以下の3つの方法がよく使われます。

クローズドマイク

マイクをスピーカーの近くに配置することで、最も簡単かつクリーンな音質で録れます。

ダイナミックマイクは音圧の高い音源を収音するのに適しているので、物理的にも可能な限りスピーカーに近づけて配置することができます。

アンビエントマイキング

マイクをスピーカーから離して配置することで、アンプだけでなく部屋の音の反射をより多く含んだサウンドを録音できます。

マイクはコンデンサーマイクの使用をおすすめします。感度が高いので、スピーカーから距離が離れていてもサウンド品質が十分に保たれます。

グリルから約30cmほど離して、マイクをスピーカーのどの部分に向けるかによって音色が変化するので、実際に確認しながら配置してみましょう。

クローズド&アンビエントのブレンド

クローズマイクとアンビエントマイクを上手くブレンドすることで、2つのポジションの良い部分をキャプチャすることができます

マイクを2本設置する場合は位相の問題が発生する可能性があります。これを回避する為に、3:1ルールを適用することで位相トラブルを最小限に抑えることができます。

アンビエントマイクをクローズドマイクの3倍の距離に配置してみましょう。


背面の音を録る

キャビネットの裏側で開いているタイプの場合は、背面からのマイキングを試してみる価値があります。

前面からのマイキングよりも暖かく、まろやかなフレーバーが生成されます。もちろんキャビネットの前面と背面の両方を同時に収音することも可能ですが、位相反転するか微妙に波形をずらす等して音を確認することを忘れないでください。

位相

表と裏の音声をそのまま使用すると高い確率で位相がぶつかりあい、音量が下がったり、音のパンチが無くなってこもったようなサウンドになる可能性があります。

厳密に言えば、どちらかのマイク音声を他のマイクに対して反転させる必要がありますが、常に良い結果をもたらすとは限らないので注意が必要です。

複数マイクを使った提案としては、先述したキャビネットから数メートル離れたアンビエント目的のマイクを使用するか、2つのマイクを使用したサウンドを左右にパンニングして組み合わせる方法があります。


離れたマイクにはコンデンサーマイクを使用することで、より高品質なエアー感が得られるのでおすすめです。

DIボックスを使用する

DIボックス

DIボックスを使用すると、ギターからの信号を2本に分割してキャプチャすることができます。DIボックスから、1つをアンプマイク用に送信し、もう1つはオーディオインターフェイスに送信することでドライな信号を同時にPCにキャプチャすることができます。 

それらを別々のトラックに保存しておくことで、ギターからの信号をアンプや歪みエフェクター等を通過したウェット信号と、無加工状態のドライ信号の2つを1テイクで得ることができ、後からサウンドを修正したい場合に「リアンプ」といった手法を取ることが可能になります。

リアンプ

リアンプとは録音済みのギタートラックを取り出し、ギターアンプに送り返して再録音する手法のことです。リアンプを行うことで、元のアンプサウンドに不満があり、後で修正したい場合に特に便利です。

オーディオインターフェースを通過した信号はギターアンプが受信する為に設計されている信号よりも高いレベルで送信するため、効果的にリアンプするには「リアンプボックス」が必要になります。

アンプシミュレーター

アンプシミュレーター

ここまでマイクを使ってアンプから出たギターの音をキャプチャする方法について解説してきましたが、もちろんこの方法はすべての人にとって実用的であるとはいえません。

主に自宅で音源制作しているクリエイターであったり、大掛かりなシステムを組めない場合にはアンプシミュレーターによるモデリングシステムの導入を検討することをおすすめします。

デジタルによるモデリングシステムを利用することで、先ほどお話したリアンプの工程も簡単に行えるようになったりと、エレキギターレコーディングにおいて多くのメリットがあります。

一般的にアンプシミュレーターにはソフトウェアタイプとハードウェアタイプの2種類があり、それぞれギターの演奏スタイルやレコーディング環境に合わせることでより効果的に利用できます。

ソフトウェア

ソフトウェア

ソフトウェアタイプのアンプシミュレーターの利点の1つは、すべてをコンピューター内で完結できることにあります。コンピューターの性能が許す限り、様々な工程を同時に実行できます。

ギターを録音した後にアンプモデルやマイクを変更したり、細かい設定を自由に変更することも可能です。ほとんどのソフトウェアはインターフェイスから入ってくる音をドライトラックとして録音するように設定されているのでリアンプ工程もワンクリックで行えます。


モデリングアンプを通して聴こえてるギターの音は、録音されたファイルではなく再生時にアンプシミュレートされたサウンドが再生されているので、いつでも柔軟な変更が可能であることを意味します。

【2021年版】最高のアンプシミュレーターソフトおすすめ5選

ハードウェア

ハードウェア

ハードウェアタイプを使用することのメリットは、コンピューターに負担をかけることが無い点とスタジオやライブのような場所でも自宅で作り込んだサウンドを気軽に持ち運びできる点です。

Helix、Kemper、Axe-Fx等、多くのハードウェアユニットがオーディオインターフェイスとしても機能することで、コンピューターを持ち運ばずにデジタルの利便性を存分に発揮することが可能です。

最新のマルチエフェクターにも多くのモデリングアンプ、エフェクター、キャビ、マイクが備わっているので、アンプシミュレーターとほぼ同等の機能を持っているといえます。5万円以下で購入できる製品も多いので、モデリングシステムの入り口として非常におすすめです。


ミキシング処理

ミキシング処理

録音したギターをミキシング段階でさらに細かく微調整して洗練されたサウンドに仕上げます。

よくある勘違いは、録音された音をさらに良い音にしようといくつかのエフェクトを追加して、多くの時間をかけるギタリストもいますが、基本的にはキャプチャされたサウンド品質を上げることはできません。

録音の段階で最終的なサウンド品質はほぼ決まっているので、ミキシングの段階で納得いくサウンドが入手できていないようなら録音からやりなおすことをおすすめします。


ミキシングの目的は他の楽器との住み分けをする為にEQで不要な周波数帯域をカットしたり、コンプレッサーでダイナミクス量をコントロールすることで、アンサンブルの中で綺麗に鳴るようにする為の工程です。

理想のサウンドに近づける

理想のサウンド

基本的なサウンド品質は録り音でほぼ決まるといいましたが、DAW内で使用することができるエフェクト類は一般的なコンパクトエフェクターやアンプシミュレーターに備わっているものより細かく調整できるものがほとんどです。

ミキシングで音自体の品質を向上させることは難しいですが、理想とするギターサウンドに近いものにすることがギタートラックにミキシングを施すもう一つの目的です。

EQを使用する場合は、目的とする周波数領域を細かく指定して修正することが可能です。例えば100Hz~250Hzの間で濁りの原因が発生する傾向にあるため、これ修正する為にパラメトリックEQを使用してピンポイントでの処理を施します。

さらに、コンプレッサーを使用してダイナミクスを制御するだけでなく、サステインを増やすこともできます。オーバードライブに頼るのではなく、DAW付属のコンプレッサーによってより繊細な圧縮を適用することで、ギタートラックがアンサンブル内でより効果的に機能することがあります。


これら以外にも様々なギターに対するミキシングテクニックが存在するので、別記事のエレキギターの7つのミキシングテクニックを参考にしながら、キャプチャした音をより自分の理想とするサウンドに近づけましょう。

ギターレコーディングに役立つ豆知識

ここからは、アンプ録音するときに覚えておくと役立つ豆知識をいくつかご紹介します。

マイキングする場所にマークを付ける

最高のサウンドが録れるポジションが見つかったら、テープで目印を付けておくことで、次回からの録音がスムーズになります。

光で照らす

マイキング時にスピーカーコーンの位置が分からない時は、グリルをスマホライト等で照らすことで、コーンの正確な位置を確認することができます。

ゲインを上げ過ぎない

ゲインノブの上げ過ぎに注意してください。1本では綺麗に聴こえるギタートーンでも、ギターを何層にも重ねる場合は歪みが重なりすぎてぐちゃぐちゃになります。

複数トラック重ねる予定のときは、あらかじめ低めのゲイン設定にしておきましょう。

小さいアンプを使う

真空管タイプのアンプから最高のサウンドを得るためには、ある程度音量を上げる必要があります。

100ワットのアンプだと騒音のクレームが入ることは間違いないので、あまり大きな音が出せない環境の場合はワット数の低いアンプを試してみてください。

ダブリング

ギタートラックを左右に広げる一般的なテクニックとして、同じテイクを2回録音してから、片方を左100、もう片方を右100にパンニングするという方法があります。

エレキギターミキシング上達の5つのテクニック

まとめ

エレキギターを綺麗に録音する方法についてお話しました。

スタジオを利用できる場合にはマイキングによるサウンドキャプチャは非常に優れた方法ですが、場合によってはシミュレーターのモデリングアンプやIR(インパルス・レスポンス)による音の特性を記録したオーディオファイルを利用した方が綺麗なサウンドを入手できることもあります。

「生アンプのサウンドこそ最高の音」と主張する伝統的なギタリストも多くいますが、これは必ずしも正しいとは限りません。

モデリングされたノイズレスなクリアなサウンドを「デジタル特有の冷たい音」とするか、アナログ特有のノイズを含んだサウンドを「暖かいウォームなサウンド」と表現するかはギタリストごとの好みによる部分も大きいとは思います。


アナログにしろデジタルにしろそれぞれの良さがあるので、どちらを選択するかは表現したい音楽に合わせたり、場合によっては両方をミックスしたりして状況に合わせた録音方法を選択しましょう。

以上、「エレキギターを綺麗に録音する方法」でした。


【超簡単!】エレキギターバッキングのミックス方法

リードギターの音作りに役立つ5つのヒント


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