Marshall(マーシャル)アンプの音作りについて
どこのスタジオ、ライブスタジオでも必ず常設されている王道アンプ「Marshall」マーシャル。
RolandのJCと並んでかなり使用頻度の高いギターアンプではないでしょうか。
最近は所有アンプを持ち込むギタリストも多いですが、もしマーシャルで自分の納得いく音作りができれば、現場の機材だけでまかなえるので非常に便利です。
筆者もマーシャルアンプを愛用しており、かれこれ15年ぐらいは使い続けています。バンド活動当時、ライブで各所を回る時も機材車には常に「Marshall JVM 210H」を積んでいました。
今回は使いこなせれば色々と便利なマーシャルアンプの音作りについて説明していきます。
アンプヘッドの種類
マーシャルにもいくつか種類があります。
現場でよく見かけるのが
・JCM 800
・JCM 900
・JCM 2000 Dual Super Lead (ごくまれにTSL)
・JVM 210H (ごくまれに410H)
です。
年代順に並べたのですが、それぞれの違いをわかりやすくいうと「ハイゲイン化」です。最近のタイプ程よく歪むと思ってもらえれば、基本的にはどの種類のアンプもサウンドに大きな違いはありません。
もし全然違うよ!と思うことがあれば何か他の要因、例えば真空管がへたっているとかキャビネット、マイキング等々・・・が原因であることが多いです。
アンプ種類を常設されてる割合でいうと
JVM→JCM 2000→JCM 900→JCM 800
ですかね。最近はJVMが勢力を伸ばしてきて、都内の綺麗めのライブハウスやスタジオだとほとんどJVMですね。ちなみにキャビネットはほぼほぼ1960Aなので特に気にしなくても大丈夫です。
歪みの特性
マーシャル全体の歪み特性としては、他のメーカーのアンプと比べると荒い部類に入ります。激しめのロックとは非常に相性がいいです。
歪ませ過ぎると、ハイ飛びがかなりきつくなってくるので、TREBLEやPRESENCEつまみで高音域を調整しながら音作りすると良い感じです。
歪みの量に関してはJCM900以降はアンプ単体でも十分歪むので問題ないのですが、歪みエフェクターを持ってなかったりすると、JCM800だと結構ドキっとします。
JVMは十分歪むので問題ないのですが、逆にOverDriveチャンネルのオレンジモード以降にすると、
歪みすぎてハウリングが凄いのでノイズゲート系のエフェクターを持っていない方は、グリーンモードぐらいに抑えたほうがいいです。
音質調整
常設アンプのスタンダードな割に、正直音作りに関しては難しい部類に入るのかなと思っています。
特にマーシャルは他のアンプと比べて高音が暴れやすいので、音を作るときは実際に客席に降りてみたり、アンプの前でしゃがんで、耳をスピーカーと同じ高さにして (高音は直線的に飛びます) 調節することをおすすめします。
ライブやスタジオだとアンプの横とか、立った状態でアンプの近くにいることが多いので、つい上げすぎてしまいがちです。
つまみの正しい使い方について
基本的にBASS, MIDDLE, TREBLEのつまみで調整する際に、極端なつまみ設定を嫌う人が多いように思います。
まず、勘違いしてはいけないのが
「BASSのつまみを0にした場合、低音がまったく出ていない状態ではない。」
ということです。
低音が0~10段階あるわけではなくて、例えばつまみを5から2にした場合
「3メモリ分低音を削った」という考え方が正解です。
例えば、ギターは「ピックアップ、シールド、エフェクター」等たくさんの要因で音は作られています。もし「低音の良く出るギター、低音の良く出るピックアップ、低音の良く出るシールド」を組み合わせた場合は「低音のつまみを0にする」という場面もあるということです。
極端な設定はなんか良くない気がするので「BASSは3ぐらいにしとこう」と判断してしまうこと。これはよくないということです。
音量調節
マーシャルにはプリアンプとパワーアンプの二つのボリューム調整する為のつまみがついています。
右側はプリアンプ部分の音量なので、ある程度ブーストさせたほうが張りがでて良い音になります。
同時にBASS, MIDDLE, TREBLEのイコライザーの設定が反映されやすくなります。
左のMASTERボリュームは純粋に音量のみを上げてくれるつまみです。右のプリアンプ部分のセッティングをパワーアンプでそのまま増幅してくれています。
実際はどちらで音量を上げようがそこまで気にするほどの音質の差は感じないので、「MASTER」は真ん中ぐらいにしといて各チャンネルの「VOLUME」を使って音量調節をして、音作りが出来上がったら全体の音量の微調整をもう一度「MASTER」でする。というのがベターです。
JCMシリーズの場合はプリアンプ部分の音量は「GAIN」としてまとめられているので、クリーンサウンドを作る場合にはプリアンプ部分の「GAIN」をあまり上げずに、パワーアンプのMASTER音量で音量を上げていくと歪みを発生させることなく、音量を上げることができます。
マーシャルアンプを使った音作り例
ここからは、マーシャルアンプを使った音作りのいくつかのパターンをご紹介します。
【迷ったらコレ!】オールフラット設定
BASS、MIDDLE、TREBLEをすべてフラットに設定することでアンプ本来のサウンドが出力されます。(右に最大回した状態がスタンダードな機種もあります。)
この状態からスタートして、環境に合わせてカット/ブーストして音質を整えていくと、音の間隔がつかみやすいのでおすすめです。
【迷ったらコレ!】ローカット設定
バンドのようなアンサンブルの中で演奏する場合は、低音の領域にはキックやベースといった楽器がいるのでローカットするだけでもスッキリとした印象のサウンドになります。
200Hz前後は色んな楽器がひしめき合う帯域なので、ギター単体で演奏するとき以外は注意が必要です。
【迷ったらコレ!】ドンシャリ設定
低音(ドン)と高音(シャリ)を強調した「ドンシャリ」設定はロックミュージックとの相性抜群です。
中音をカットすることで自然とボーカルとの音被りを防ぐ効果もあるので、バンドアンサンブルの中での伴奏パートを弾く場合はドンシャリが最適です。
【迷ったらコレ!】かまぼこ設定
ドンシャリとは反対に、低音と高音を削って中音をブーストした形がかまぼこに似ていることから、そのまま「かまぼこ」設定と呼ばれています。
この設定はリードやソロのようなギターパートを強調したい場合に最適です。
ジャンルごとの最適なセッティング
ここからはジャンルに合わせた、おすすめのつまみセッティングをいくつかご紹介します。
ポップのつまみ設定
ポップス系によく合うセッティングで、カッティング奏法との相性も良いです。
低音はベースにまかせてしまって、ボーカルに合わせて中音をややカット気味に、ギターのおいしい高音帯域を強調します。
ロックのつまみ設定
ロック系であれば、先ほども紹介した「ドンシャリ」サウンドがマッチします。
歪ませたギターとの相性も良く、ズンズンとしたブリッジミュート奏法とエッジの効いたリフにも合います。
メタルのつまみ設定
メタル系の場合はドンシャリ設定をさらに極端にしたものがよく合います。
ゲインを上げると中高音が一緒にブーストされるので、ゲイン量に合わせて高音をコントロールするのがポイントです。
ジャズのつまみ設定
ジャズの場合は高音を抑えたメロウなトーンが好まれています。
ボーカルの有無によって中音の量をコントロールして、ソロギターの場合は中~高音にかけてブーストすることでおいしい帯域を使うことができます。
まとめ
マーシャルの音作りについては以上となります。
最近アンプ側で音を作る人はほとんどいないですが、やはりマーシャル本来の音がいまだに好きです。
Helix等のアンプシミュレーターは便利ですが、たまにアンプ直で音を出したときに、「あーこれこれ。」ってなります。
みなさんもたまには「直アン」してみましょう。
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