アコースティックギターの4つの録音方法 | マイク&ピックアップの設置
アコースティックギターのレコーディング現場では、迫力のあるリアルなサウンドを得る為に、さまざまな手法が用いられます。
大掛かりな機材が必要なわけではなく、基本的にはマイクを数本とピックアップ、そして部屋の環境を整備するだけでも、プロ品質の素晴らしいアコースティックトラックを作成できることが可能です。
今回は、実際に録音現場でよく使用されている、アコースティックギターの4つの録音方法についてご紹介します。
1. 1本のマイクで録る
人が演奏する生のアコースティックギターは、広い音域と広いダイナミックレンジ(音量の幅)が特徴的な楽器で、さまざまな音量レベルと周波数応答を収音することになります。
この為、マイクを1本だけ使って収音するときにはコンデンサーマイクを使用するのが最適です。
マイクの設置方法
マイクの設置方法(マイキング)には様々なパターンがあり、マイクの特性を考慮しつつ最適なマイキングポジションを探しましょう。
シングルマイクの場合、最も一般的なのがネックとボディのつなぎ目周辺にマイクを置き、ピッキングポイントに向かってマイクを向けるポジションです。こうすることでピッキングニュアンスを拾いやすくなり、明るめのサウンドキャラクターになります。
マイクを本体の約30cm前方に配置し、ボディとネックの接合部に向けます。マイクをここに配置すると、ピッキングの手の邪魔にならなくなり、サウンドホールからの過度の濁ったローエンドを回避できます。
その他にも、部屋の環境がサウンドに大きな影響を与えるので注意しましょう。
例えば、平面で硬い反射面がたくさんある空間 (バスルームなど) では明るく空気感のある生々しいサウンドが得られますが、カーペット、ソファ、カーテンのある部屋では多くの反射が吸収され、ドライでパンチの効いたアコースティック トーンが得られます。
→アコースティックギターの録音時に注意すべき5つのこと
2. 2本のマイクを間隔を開けて設置(AB方式)
アコースティックギター録音の2つ目の方法は、間隔を置いて2本のマイクを配置する方法です。
2本のマイクを離して設置することで、ステレオ感のある広いサウンドをキャプチャすることができ、マイクの種類や設置方法を変えることで、様々な効果を得ることができます。
同じ距離感で左右に広げる
片方のマイクをブリッジとサウンドホールの間に置き、もう片方をフレットボードに向けます。ミキシング時にそれぞれのトラックを左右にパンニングして、音像の広いステレオ効果を実現します。
→アコースティックギターを上手にミックスする為の5つのヒント【DTM】
片方を離す
ダイナミックマイクをサウンドホールに出来るだけ近く、ボディと垂直向きにセットして、もう一つをコンデンサーマイクにしてダイナミックマイクの後ろ1.5メートルくらいに離してセットします。
こうすることで、ギター本体のダイナミックなサウンドと、部屋鳴りを含んだアンビエンスを分けて取得できます。
3. 2本のマイクをクロスさせて設置(XY方式)
この方法では同じマイクのペアを使用して、それぞれが拾う信号が等しくなるように、同じ距離感でマイクの先端がクロスするように配置します。
位相のトラブルを最小限に抑えるために、2本のマイクが等距離になるように、14フレット辺りの前面に配置しましょう。こうすることで左右の広がりがありつつ、センターの音像もハッキリしたサウンドを取得することができます。
マイク2本用意するのが難しい場合は、90°XY方式のステレオマイク搭載のハンディレコーダーも販売されているので、そちらを検討してみてはいかがでしょうか。
4. マイクとピックアップを混ぜる
エレクトリックアコースティックタイプのようなピックアップが搭載されているギターの場合、ピックアップのサウンドとマイクのアンビエンスをブレンドすることで、2つの異なるトーンからそれぞれの良い部分のみをピックアップすることができます。
EQを使ったミキシングで2つのトーンを混ぜ合わせるので、録音段階ではEQを「フラット」にしておくことをおすすめします。マイク側は上記のどれかの方法を使用して、別のトラックにマイク信号を録音しましょう。
録音が完了したら、2つのトラックをパンニングしたり、EQを使って修正を加えるなどして、できるだけ互いに補完し合うようにすることで、より豊かなトーンを入手することができます。
まとめ
アコースティックギターの代表的な4つの録音方法についてご紹介しました。
- 1本のマイクで録る
- 2本のマイクを間隔を開けて設置
- 2本のマイクをクロスさせて設置
- マイクとピックアップを混ぜる
どれも実際にレコーディング現場で使用されている方法です。
それほど大規模な機材を必要とするわけでもないので、個人で活動しているミュージシャンであっても、自宅で簡単に実行することができます。
ワンランク上のアコースティックギターサウンドを手に入れたいときには、是非参考にしてみてください。
以上、「アコースティックギターの4つの録音方法 | マイク&ピックアップの設置」でした。