ボーカルレコーディングの落とし穴!失敗しないための5つのポイント
最近では音楽制作ソフトウェアの進歩もあり、個人でボーカルレコーディングをする方も多いのではないでしょうか?これまでよりも自分でレコーディングを行うことは簡単になってきてはいますが、ボーカルレコーディングは音楽制作の中でも最も重要なステップであることは変わりありません。
ボーカルレコーディングには、初心者からプロまで誰もが陥りやすい落とし穴が存在します。これらの失敗を避けるためのポイントを理解し、改善していけば、プロのようなクオリティのボーカルトラックを手に入れることが可能です。
そこで今回は、ボーカルレコーディングにおける失敗しないための5つの重要なポイントについてご紹介します。
レコーディング環境を整える
実際にレコーディングを開始する前に、シンプルな環境の中でも可能な限り最高のサウンドをPCに取り込むために、部屋の環境をチェックして、マイクの位置を考慮し、不要なノイズを最小限に抑えて、録音に入り込まないようにすることが必要です。
ボーカルレコーディングのやり方と綺麗に録るコツ
ボーカルレコーディングにおいて、マイクにできるだけクリーンなサウンドをキャプチャすることが最も重要なので、ボーカリストの後ろの壁に毛布を掛けたり、予算に余裕があるのならコンパクトなマイクシールドを導入するのが非常に効果的です。
環境ノイズに注意する
エアコン、扇風機、環境音、またはコンピュータの冷却ファン等のレコーディングの際にノイズの原因となる可能性のある音を最小限に抑えるようにします。
特にコンピューターのファンが大きい場合は、延長ケーブルをいくつか購入して、マシンを部屋の外に移動するか、少なくともマイクからできるだけ離して移動することを検討する必要があります。
機材の設定を整える
マイク、オーディオインターフェイス、DAWに入力されるゲイン量をチェックして、適切な入力レベルになるように調節します。
次にDAWのバッファサイズを設定します。数値を小さくするほどレコーディング中に「レイテンシー」と呼ばれる音の遅延を最小限に抑えることができますが、PC能力を必要とします。CPUの性能を考えてレイテンシーの問題とCPU限界を超えてグリッチする可能性を考えて、最適なバッファサイズに設定しましょう。
あとは、歌いやすいように最適なモニターレベルの調節や、レコーディングセクションの開始前にピアノを鳴らして歌い始めのピッチ補助を付けたり、音程が不安定になりがちな部分にガイドメロディーを制作したりと、自分の歌いやすいような環境作りをしましょう。
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マイクの「近接効果」に注意
SM58のようなダイナミックマイクを使用してレコーディングする場合、マイクに近づくほど低音域が増幅される「近接効果」が発生します。
レコーディングにダイナミックマイクを使う場合は、距離によって音質が大きく変化するので、理想の音質になる距離を測ることと、レコーディング中は口とマイクの距離を変えないようにすることが大切です。
近接効果を上手く利用することで、ボーカルの録音において暖かみや存在感を与えることができる一方で、極端に近づけるとボーカルの音が過剰に低音寄りになり、不自然になることがあります。適切な近接効果の利用には、マイクの種類や個々の声質に合わせて微調整することが重要です。
コンデンサーマイクであればダイナミックマイクよりも近接効果が少なく、より自然な周波数特性を持っているため、適切な距離を保つことが一般的です。
クリッピングしていないかチェック
実際に録音する際には音声信号がクリップしないようにするために、まずはインターフェイスの入力レベルを設定します。(ボーカリストが誤ってマイクに近づきすぎたり、感情的に声を張り上げるような場面を想定して、信号レベルのピークを約-6~-10dBFSにすることをおすすめします。)
ボーカルを録音する前に、インターフェイスのマイク入力チャンネルに注意しながら、曲の最も大きな部分を試しに本番と同じ勢いで歌ってみましょう。ここで赤色になった場合はクリッピングが発生しているので、インターフェイスのゲインを下げる必要があります。
クリップノイズが発生すると後から削除できないので、ヘッドルームを十分に確保したボーカルを録音して、あとからポストゲインでブーストすることをおすすめします。
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「歯擦音」を放置しない
歯擦音とは、声の「さしすせそ」音によって発生する「シュー」というノイズのことです。
普段の日常的な会話では気にはなりませんが、マイク録音された歌声の場合、特に高音域において耳障りなノイズとなることがあります。
この為、デジタルオーディオの世界では、このような過剰な「歯擦音」を処理し、ボーカルの音をより滑らかで心地よくするためにディエッサー処理が施されます。
歯擦音を処理する為にディエッサーを単体で導入するのもいいですが、Pro-Q3のような高品質なダイナミックEQ、またはマルチバンドコンプレッサーを使用することでディエッサーと同じ効果を得ることができるのでおすすめです。
まとめ
ボーカルレコーディングは、最も視聴者の意識が集中する重要なトラックなので、個人クリエイターであっても、プロのような高品質なボーカルトラックが求められます。
レコーディング環境を整え、環境ノイズを排除し、機材の設定を適切に行い、マイクの近接効果に注意することで、クリーンでクリアなボーカル録音を実現することができます。
また、クリッピングを防ぐためにヘッドルームを確保し、ディエッサー処理によって歯擦音を除去することより魅力的なボーカルトラックが手に入ります。
以上、「ボーカルレコーディングの落とし穴!失敗しないための5つのポイント」でした。