アボイドノートを避けよう【作曲に役立つ音楽理論】
今回は「アボイドノート(回避音)」について解説します。
作曲していると、スケールから外れていないのに響きがなんか気持ち悪い気がする・・・
ボーカルに「このメロディなんか歌いづらいんだけど・・・」
と言われた経験はないですか?
もしかするとアボイドノートが関係しているかもしれません。
アボイドノートとは?
アボイドノートとは、わかりやすく言うと
「コードの響きを濁らすのでなるべく使わないほうがいい音」のことです。
音がぶつかるとかって言われたりもします。
メロディとコードには相性があり、Cメジャーダイアトニックのコードを使用して、Cメジャースケールを使っているのに響きが不安定になる場合があります。
具体的なアボイドノートのポイントなのですが
「コードの構成音に対して、半音上の関係になるスケール音」
これが避けるべき音なのです。
アボイドノートの響き
試しにこちらを聴いてみてください。
どうですか?気持ち悪く感じる人と、感じない人に分かれると思います。
ちなみに2か所アボイドノートを使ってるのですが、1つは割と簡単だと思いますが、もう一つはなかなか難しいかと思われます。
正解はこちら。
1小節目の4拍目と3小節目の1拍目がアボイドノートで、回避するべき音です。
理論的にはコードに対して短二度(半音)のメロディーで不協和音になるので、(CコードのEに対してFの音と、G7コードのBに対してCの音)
もしスケール内の音を使ってるのに響きが気持ち悪いと感じたらアボイドノートを疑ってみましょう。
必ず避けるべき音なのか?
たまにアボイドノート=使ってはいけない音、と認識している方がいますが、絶対使ってはいけないというわけではなく、条件によっては使っても問題ないこともあります。
1.伴奏のコードが目立たない
先ほど聴いたパターンでいうと、1小節4拍目の音は多くの人があまり違和感を感じなかったかと思います。
コードを白玉で鳴らしており(一発ジャーン)アボイドノートのFが鳴るころにはコードの音がほぼ消えかかっているからです。
逆に3小節目のCの音はコードと同時に発声しているので、違和感を感じる人が多いと思います。
2.パワーコードを使用している
Cメジャーパワーコードの場合3度のEの音を省略しているので半音でぶつかることはなく、Csus4コードとなります。
パワーコードについては分からない方はこちらをどうぞ。
もしジャンルがロック系なら、アボイドノートはそこまで気にする必要はないです。
3.コードボイシングを工夫する
そもそも音のハーモニー(響き)というものは、低い音ほどシビアで、高い音ほど曖昧になってくる傾向にあります。
なので低い音でぶつけると不協和音になりますが、高い音だとそれほど気にならなくなり、スパイス程度でおさまる場面もよくあります。
これぐらい広げて、高い音でぶつけるとテンションノートよりも冷たさや緊張感がでて効果的です。
ちなみに低い音域でやるとこんな感じ。
とはいえ、ここまでロングトーンでぶつけるのはあまりよろしくないので、短めの音にしたほうが無難です。
4.歪みを加える
歪みを加えることによって、響きをより複雑にして音の濁りを解消することができます。
都会的でクールな響きなので、EDMとかのダンス系でよく使われていたりします。
※音量注意
CコードのアボイドノートはFというのは間違い。
よく教本や音楽講師の方が「CコードのアボイドノートはF」と教えていますが、間違いではないのですが厳密にいえば間違いでもあります。
正解は
「キーがCメジャーの場合、CコードのアボイドノートはF」です。
先生の言葉をそのまま鵜呑みにして違うキーでも「Cコードの時はFを使っちゃいけない。」と考えてしまわないように気を付けましょう。
例えばキーがGメジャーの場合
CコードはサブドミナントのⅣなのでアボイドノートは存在しないです。
※キーやケーデンスについて詳しく解説した記事もあるので合わせてご覧ください。
・キーの正しい決め方【作曲に役立つ音楽理論】
・ コード進行の基礎、ケーデンス(カデンツ)について【作曲に役立つ音楽理論】
今回のアボイドノートの場合だけではなく、他の理論に関しても多くの教則本では「Cメジャー」を基準として説明されていることが非常に多いので、誤解のないように。
まとめ
音感が優れている方や普段から音楽をよく聴く方からするとアボイドノートは「気持ちの悪い音」ですが、そうじゃない方にとってはアクセント程度であったり、そもそも気にならなかったりします。
自分の感性を萎めてしまわぬよう、「アボイドノートだから使わない!」という風にならないように、個人的にはもっと音楽は自由なものだと考えています。
自分の音楽ジャンルやサウンドも考慮して、避けるべきか取り入れるべきかを判断しましょう。
・ダイアトニックコードとは?【作曲に役立つ音楽理論】
・ツー・ファイブを使ったリハーモナイズについて【作曲に役立つ音楽理論】