バンドのライブパフォーマンスをより良くする為の10のヒント
会場にいるオーディエンスに感動を与えられるようなカッコいいライブパフォーマンスや、一体感のある空気感を演出したいと思っているけど、ライブ終わりに声をかけられることもなく、いまいちライブの手ごたえを感じないというバンドさんも多いのではないでしょうか。
バンドサウンドをより良くするためには、個々のスキル以上にメンバー全員との兼ね合いや、自分たちの音をしっかりとモニタリングすることが重要になってきます。
今回はバンドサウンドをより良くする為のいくつかのヒントをご紹介します。
1. 練習量が足りていない
練習は当たり前のように思えるかもしれませんが、そもそもの練習量や、長く練習していても練習の質が悪く、成長に繋がっていないということも考えられます。
週に1回集まって数時間スタジオに入ることで十分だと思ってしまいがちですが、プロフェッショナルの練習量としては少し物足りないといえます。
どうしても時間が取れない場合には、個々のパートが自宅でしっかりと仕上げておき、スタジオリハーサルの数時間をより有意義に利用することが重要になってきます。
バンドサウンドを良くする為にスタジオ練習で意識しておくべき内容は以下の通りです。
- 意見を言い合える:素晴らしいライブバンドになる為には、時には厳しい意見を言い合える関係性が必要になる場合もあります。演奏に違和感を感じているのに揉めるのが嫌でスルーしてしまったりするような関係値では成長が止まってしまいます。
- 本番さながらのリハーサル:あまりにも多くのバンドがこれを実行せずに、実際のライブステージで練習とのギャップが生まれてしまいます。本番では練習の70%くらいしか発揮できないと考えて、リハーサルの段階でテンション、ステージパフォーマンス、MC等も含めて本番と同じ環境を意識します。
- 練習メニューを決める : スタジオ内での時間を効率的に使うためにも、練習メニューをあらかじめ決めておき、タイムテーブル式にクリアしていくことが理想です。持ち曲を全体で数回合わせた後、特にやることもなく、だらだらと時間が経過していくのはもったいないです。
2. 場数を踏む
ライブ活動を始めたばかりの頃は、自分がイメージしている最高のライブパフォーマンスが発揮できなくて当然です。
緊張やプレッシャーから必ずと言っていいほどミスを犯してしまうことになり、ライブ終わりに頭を抱えるようなライブパフォーマンスに嫌になってしまうこともあるかもしれません。
とはいえ、誰でも場数を踏むことで経験値が溜まっていき、次第に堂々とした立ち振る舞いも身に付いてきます。今は納得いかなかったとしても、次回のライブを改善する機会だと思ってたくさんライブを行うことも大切です。
3. サウンドチェック正しく行う
ライブ本番前に行われるサウンドチェックは、オーディエンスが聴くライブサウンドと自分が聴くモニターサウンドの両方を最高の状態に近づける為に行います。
サウンドチェックを最大限に活用するためのヒントをいくつか紹介します。
- 実際の音量でチェック : サウンドチェック中はPAが音量レベルを適切に設定できるように、実際に演奏する予定の音量で演奏、歌うようにしてください。
- モニターサウンドを確認 : サウンドチェックの目的は、オーディエンスにとって素晴らしいサウンドを作るだけでなく、バンドにとっても素晴らしいサウンドを作ることです。モニターの音量が大きすぎたり小さすぎたりするとライブパフォーマンスに直接影響します。
- オールインで確認 : PAはすべての楽器のバランスを取りたいと思っています。本番中にすべての楽器がどのように聞こえるかを実際に感じることができるように、同期を含めたすべての素材が鳴っている箇所で確認します。
4. ギター、ベースのバランスに気を配る
ライブ会場での適切な音量バランスが分からないという方も多いと思います。
一般的には音量調節が難しいドラムに合わせてアンプの音量を合わせるか、PAの方に「ギターとベースの音量バランスどうですか?」と聞いてしまってもいいです。
音質に関しては、例えばギター単体で聞くと最高のサウンドであっても、バンドアンサンブルに混ざるとレンジが広すぎて、他の楽器やボーカルと被ってしまうことがあります。
実際にはバンド全体の楽器バランスに気を配って、トーンを調整することが重要です。
5. 自分の声に合ったマイクを試してみる
ボーカルはほとんどの人が最も意識を向けるパートであるため、楽器全体の中でも最も重要なパートといえます。
各音楽メーカーから様々な機種のマイクが販売されており、マイクの指向性や特徴もそれぞれで違いがあるので、自分の声に合ったマイクを探すというのも試してみる価値があります。
とはいえ、一般的にライブハウスに常設されているSM58を使用することのメリットもあるので、持参マイクを持ち込むかどうかは慎重に検討する必要があります。
- SM58は万能マイク : 常設マイクといえど業界標準だけあって、SM58の基本性能は高く、どんな歌い手であってもある程度の品質は保証されます。
- PAさんが慣れている : PAさんはライブハウスの音を一番熟知しています。高品質なマイクよりもPAさんが扱いなれたSM58を使用することで、最適なミックス効果が得られやすいです。
また、どんなマイクであっても正しくマイクを扱うことも重要になります。
マイクによっては近接効果を考慮する必要があり、マイクを口から1インチほど離さないと不必要に低音が膨れ上がる特性があります。
近接効果に注意しながらも、なるべくマイクとの距離を一定に保つことでダイナミクスが安定し、ボーカル品質が格段に向上します。
6. イヤーモニターを検討する
定期的にライブ演奏する場合は、会場によってはモニター環境が合わないところがある可能性があり、会場の大きさや形、モニタースピーカーの配置によって、ステージ上の音作りが満足いかない場合が出てきます。
そういった不具合を回避する為にも、ライブ用の高品質なイヤーモニターセットに投資する価値があります。
イヤーモニターは演奏している会場のサイズや形状に関係なく、一貫性のあるクリアなモニターミックスを提供してくれます。
→イヤーモニターを使いこなす為の5つのヒント
7. メトロノームの同期を試す
ジャンルにもよりますが、プロフェッショナルなツアーバンドのほとんどが、メトロノームをライブ演奏と同期させて聴いています。
メトロノームに合わせて演奏すると、リズムの縦ラインがタイトになり、中音のグルーヴ感をキャッチする為に神経をする減らすことも無くなります。
必ずしも全員がメトロノームをモニターする必要はなく、場合によっては、ドラマーだけがモニターして、他の楽器はドラムに合わせるという形もよくみられます。
どういったスタンスがバンドにとって一番良いか試行錯誤してみましょう。
8. セットリストを確認します
ライブの流れを記載したセットリストを正しく作成できるかどうかで、一連のライブパフォーマンスの良し悪しに大きく影響します。
セットリストとはライブ当日の流れをまとめたリストで、通常はリハーサル前に専用の用紙に記入してライブハウスに提出します。
実際にライブで行う楽曲の曲順、楽曲雰囲気、曲の長さ、MCのタイミング、音響・照明リクエスト等の情報を書き込んで、スタッフと共有しておくことで、ライブショー全体がよりスムーズに進行されます。
セットリストを作成するためのヒントをいくつか紹介します。
- ストーリーを意識する : 各曲の雰囲気、テンポ、歌詞の内容を考慮して、ライブ全体の流れでオーディエンスにどのような感情をイメージさせたいのかを決めます。(通常は似たような雰囲気の曲をグループ化することをおすすめします。たとえばアッパーな速い曲を固めて、そのあとにスローテンポの曲等)
- 曲の移り変わりを考える:例えば持ち曲に同じキーがある場合、曲間でそれらを互いに繋ぎ合わせることでドラマチックな展開ができます。
- 照明を凝る: プレイヤーは普段あまり意識しませんが、照明がオーディエンスに与える効果は絶大です。ライブ演出の妥協をしたくない場合、専属の照明スタッフを雇うことも検討してみましょう。
9. ライブ中はミスを気にしない
どんなにリハーサルを重ねていても、人間なのでどうしてもミスは起こってしまうものです。
ここで大切なのはライブ中にミスをしても堂々としていればオーディエンスはミスに気付かないという点です。周りのメンバーも誰かがミスをしたからといって、ライブ中に指摘したり、表情に出さないようにしていればミスとしてカウントされません。
オーディエンスはミスをしたことをマイナスとは捉えることはなく、ミスも含めてエンターテイメントとして楽しんでくれているので、反省するのはステージを降りてからにしましょう。
10. ライブを動画撮影する
今はスマホ一つで高画質の映像が簡単にとれるので、ライブ映像を撮影して後で見返せるようにしておきます。
改めてバンドで集まった時にメンバー全員でライブ映像を見ながら、良い部分や改善すべきポイント等を見つけてライブパフォーマンスを修正していきましょう。
例えば、ライブ中は気付かないような曲と曲の間の微妙な沈黙や、ステージングの華やかさ等、一歩引いて客観的に見ることで色々なことに気付けます。
まとめ
バンドのライブパフォーマンスをより良くする為のいくつかのヒントについて説明しました。
オーディエンス全員に感動を与えられるようなカッコいい演奏や、会場全体で一体感のある空気感を演出するのは簡単なことではありませんが、練習や話し合いを重ねながら少しずづ理想の形に近づけていくのもバンドの楽しさの一つです。
バンドのジャンルやスタンスによって最適な方法は様々なので、自分のバンドと照らし合わせてみて、参考にできそうな部分は取り入れてみてください。
以上、「バンドのライブパフォーマンスをより良くする為の10のヒント」でした。