ベースの音作りに関する5つのヒント【DTM】
アンサンブルやミキシングにおいてベースを正しく配置するのは難しいです。
ベースプラグインやシンセサイザーのサウンドプリセットを使用すれば、簡単に素晴らしいサウンドを入手することは可能ですが、プロジェクトに最適なベースサウンドにする為に、帯域を絞ったり、サイン波で補強する必要性も出てきます。
そこで今回はベースサウンドを素晴らしいものにする為の、音作りに関する効果的なテクニックについてお話します。
1. リミッターで制限する
ミックス内において、低音はなるべく音のダイナミクス(音の強弱)を少なくし、均一なレベル感で鳴らすことが重要です。
ベースは音程の上がり下がりやローパスフィルターで高周波がカットされた時に音量感が変化しやすい楽器でもあるので、解消する為に高いレシオ値のコンプで圧縮したり、リミッターを使用して音量が均一になるように圧縮します。
一概には言えませんが、大体-4~-6dB程圧縮すると良いです。
主にEDM系のシンセベースやサブベースに対してよく使用されるテクニックです。
ピック弾きで演奏するアコースティックベースで圧縮をかけすぎるとアタック感が無くなり、多くのパワーを失うので、コンプレッサーを使用することをおすすめします。
2. 歪みを加える
歪みはエレキギターに使用されるような、オーバードライブやディストーションと呼ばれる激しい歪みから、サチュレーションのような微量の歪みまで幅広いです。
ベースに歪みを加えることで、倍音が豊富になり、サウンドにエネルギーとパンチを与えることが可能です。
ベースに歪みを加える理由
ダブステップのようなジャンルでは、より攻撃的にするためにディストーションを使用したり、ヒップホップの808ベースと呼ばれる、非常に低い周波数帯域の楽器を鳴らすときに、倍音を加えてローミッド、ミッド辺りをブーストすることで聴覚的に認識しやすくなる効果もあります。
また、現在のシンセサイザーはノイズの無い非常にクリアなサウンドですが、ジャンルによっては綺麗すぎるがゆえの冷たさを感じる場合があります。
そういった場合にサチュレーションを使って、古き良きアナログ時代のアンプ、プリアンプ、テープマシンの負荷のかかった状態を再現するために、サウンドを暖かく、心地よいものに仕上げてくれます。
3. ステレオベース
ベースのような低音楽器は基本的にはミックス内のセンターに配置するのがセオリー。
低音をワイドに広げると位相の問題が発生したり、そもそも低い音は指向性が低い(どの方向から鳴っているのか分からない)のでワイドに広げることはあまり良くないとされています。
→ミックス&マスタリングでやりがちな6つの間違い
ベースにステレオ感を与える方法
ベース全体の周波数帯域の中でも、低音は中央に配置して、ミッドやハイミッドにかけてワイドに広げるという方法もベースが主体となるジャンルでは良く使用されるテクニック。
一番簡単な方法としてはFL Studio標準搭載のMaximusのような帯域ごとにステレオ幅を変更できるマルチバンドコンプを使えば簡単です。
80~100Hz以下をセンターに、100~500Hzをやや広げて、500Hz以上をワイドに広げると音像の広いベースサウンドが手に入ります。
4. ハイパスフィルター
低音にハイパスフィルターをかけるのは議論が分かれるポイントでもありますが、より洗礼されたローエンドを手に入れたいのなら、個人的にはカットするべきだと考えています。
→ローエンドミックスの為の重要な5つのヒント
理由としては、若い健康的な耳を持った方でも、人間の可聴範囲の下限は15~20Hzで、この範囲の超低音域を鳴らせるリスニング環境というのが、非常に限られているということです。
さらに、低域程多くのエネルギーを消費するので、可能域外の音はカットしてしまった方が全体の底上げと、30~60Hz辺りの低音の鳴り方が変化します。
実際にEQでこの範囲だけにピンポイントに絞って、ハイパス無しの場合と聴き比べてもらうと分かるかと思いますが、かなりローエンドの響きが変わります。
EDMのようなジャンルの場合は、20~25Hzの間から、ロックのような場合はだともう少し上の30Hzぐらいからハイパスをかけるようにしています。
20Hz周辺の超低音域はクラブやフェスのような環境だと感じやすく、耳で聴くというよりは体が揺さぶられるような圧迫された感覚です。
5. サブベースを追加する
サブベースは一般的なベース帯域の更に1オクターブ下で鳴っている超低音域な音です。
シンセサイザーを使って1オクターブ下にサイン波を鳴らすだけなので、簡単にローエンドを強化するテクニックとして頻繁に使われています。
サブベースをレイヤーする方法
やり方としては、シンセサイザーのオシレーターを単音のサイン波にして20~60Hzぐらいの範囲の音域で鳴らします。
その際にメインベースの20~60Hzぐらいを少しカットして、不必要に低音が膨らみ過ぎないようにしましょう。
必要に応じてサチュレーションを追加することで、低音をより強化することもできます。
キックの低音との被りを避ける為に、必ずサブベースにもサイドチェインも忘れずに適用させましょう。
まとめ
ベースの音作りに関する5つのヒントについてお話しました。
- リミッターで制限する
- 歪みを加える
- ステレオベース
- ハイパスフィルター
- サブベースを追加する
基本的には圧縮をかけて音を安定させて、サブベースや歪みを加えて強化し、フィルターで整えるといった具合です。
低音はミックス内でも非常に重要度が高いので、トラックにいまいち迫力が出ないという方は、是非試してみてください。
以上、「ベースの音作りに関する5つのヒント【DTM】」でした。