DI(ダイレクトボックス)とは?その役割と必要性について
ライブハウスやスタジオでプレイするとき「DIボックス」と呼ばれる四角い箱を目にしたことがあるはずです。
特にベースプレイヤーは利用する機会が多く、なんとなくいつも使っているけど、具体的にどういう効果があって、なぜDIボックスを経由した方が良いのかということを知らずに使っているプレイヤーも多いかと思います。
そこで今回はDIボックスとは何か?必要なときはいつなのか?ということについて解説していきます。
DIボックスとは?
DIは「ダイレクト・インサート(直接入力)」のことで、マイクを使用せずにオーディオ信号を直接キャプチャすること指します。(ダイレクトインジェクション、ダイレクトインプット、ダイレクトインターフェイスと呼ばれたりもします。)
DIボックスの使用用途としては主にインピーダンス変換と信号バランシング2つの機能を利用して、エレキギターやベースから出力される信号をなるべくノイズの少ない状態のままミキサー等に送ることが可能になります。
インピーダンス変換
インピーダンスとは、回路に存在する電流に対する抵抗の量を測定する電気的値のことで、主にエレキギターやエレキベースのような電子楽器から出力されるハイインピーダンス信号をそのまま出力すると、ノイズが発生したり、高域が減衰するというった問題が発生します。
それを解消する為にDIを通すことでインピーダンスを変換してノイズの少ない楽器本来のサウンドを送信することが可能になります。
とはいえ、通常スタジオ等ではほとんどのオーディオ機器がローインピーダンスとハイインピーダンスを持つように設計されている為、そこまでインピーダンスについて心配する必要はありません。
例えばシンセサイザーはローインピーダンスレベルを出力するように設計されていますが、インターフェイスは高レベルのインピーダンスを受け入れることができます。
電子楽器に利用することが多い
上記のことはハイインピーダンスを生成するピックアップを備えたエレキギターのような楽器には当てはまりません。
ハイインピーダンスの楽器をミキサーやレコーダーに直接接続することはあまり良くなく、仮にエレキギターをインターフェイスに直接接続すると、ギターの出力インピーダンスが高すぎるため、信号が「ロードダウン」されることで、ギター本来の高音域が大幅に損なわれる可能性があります。
こういう場合にギターとインターフェイスの間にDIボックスを利用することで、DIボックスがギター信号をハイインピーダンスからローインピーダンスに変換し、信号の劣化を防ぐことができます。
最近の主要なオーディオインターフェイスではDIボックスを繋がなくても直接接続できるように「Hi-Z」または「instrument」と書かれた入力が搭載されている機種も多いので、そういった機種を選択することでDIボックス無しでもギター本来のサウンドを収録できることが可能になっています。
信号バランス
一般的なギターシールドのようなアンバランスケーブルは、長く配線するほど外部からの干渉を受けやすくなります。
例えばライブのステージ上からPA卓までの長い距離を繋ぐ必要があるような場合には、マイクに使用するキャノンケーブルのようなバランスケーブルを使用してノイズなどの外部からの干渉を防ぐ必要があります。
DIボックスにはアンバランス信号をバランス信号に変換する機能も備わっているので、こういった場面で役に立ちます。
あとよくみかけるのは、エレキベースをライブで使用する際に、ベース本来の音をマイクのみで収音するのは難しい為、ベース本体から直接ラインで送った信号も使用することも多いので、ベースにDIボックスを使うのはこの為です。
DIボックスが必要な場面
- ハイインピーダンスの楽器で演奏、録音している場合。(楽器をミキサーやマイクプリアンプに接続している場合)
- アンバランス信号を5メートル以上の長距離で使用する場合
- 楽器からの信号を分割したい場合(アンプからマイク録りする音と楽器から直接信号を受け取りたい場合)
- ハムノイズが起こっている場合
上記の場面でDIボックスを利用することで、楽器本来の綺麗な音をキャプチャすることができます。
まとめ
今回はDIボックスの役割や必要性についてお話しました。
DIボックスにもパッシブやアクティブの種類があり、パッシブは電力を必要としませんが、アクティブはファンタム電源やバッテリーから電源を供給する必要があります。
アクティブ、パッシブ共に特徴があるので、演奏スタイルや録音環境に合わせて選択しましょう。
以上、「DI(ダイレクトボックス)とは?その役割と必要性について」でした。