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イコライザー(EQ)を使って不要な共鳴音を処理する方法

イコライザー処理

イコライザー(EQ)を使って不要な共鳴音を処理する方法

ミキシングの目的はトラックごとのオーディオ周波数を正しく処理することで、すべての周波数をブレンドし、最高のサウンドに仕上げることです。 

その中でも共鳴する周波数は、ミックス内に潜む聴覚毒として正しく処理する必要があります。放置していると全体のミックスを曇らせ、貴重なヘッドルームを占領し、重要なトラックを聴き取りにくくします。

そこで今回は、共振周波数についてと、適切に処理する方法についてご紹介します。

共鳴音とは?

共鳴の問題を解決する方法を説明する前に、まず共鳴とは何かを理解しておく必要があります。

物理学に関する本では共振を「周期的に加えられる力の周波数が、それが作用するシステムの固有周波数と等しいか、それに近いときに発生する振幅の増加の現象」と説明しています。

つまり共鳴は、作成された周波数が部屋、モニターシステム、またはミックス自体の中にある特定のトラックの固有周波数と相互作用するときに発生します。

部屋かモニターシステムが共振の原因である場合は、防音材等を使って適切な遮音と音響処理を使って、これらの問題を物理的に解決する必要があります。

問題がミックスに含まれている場合は、イコライザーを使った処理が必要になります。 

共鳴音の種類

共鳴音

共鳴音にはいくつかの種類があります。

低周波共振(ハムノイズ)

トラックの80Hz以下辺りの低域で不快なハムノイズ音が聞こえる場合、これは低周波数の共振が原因です。このタイプのハムノイズは多くのヘッドルームを消費し、再生する音量に関係なく、全体的に濁ったような音源になってしまいます。

さらにハムノイズの場合、ゲインを上げるとさらに増幅します。大音量でパンチの効いたミックスが必要な場合は、低周波の共鳴音に注意することが不可欠です。

高周波共振(ノッチ周波数

特定の狭い範囲で共鳴するノッチ周波数は8kHz~15kHzの範囲で高周波共振を引き起こします。特定のトラックが耳障りな共鳴音を生成する場合、これが理由である可能性があります。

高周波レゾナンスは、すぐにリスニング疲労を引き起こし、音楽を非常に不快なものにしてしまうことがあります。

共鳴音がミックスに影響を与える理由

オーディオに共鳴音が含まれている場合、正確なミックスを実現するのは難しくなります。不要な共振があることで耳障りな音やこもった音になり、限界を超えて耳に刺さるような高音や、メインボーカルやその他多くの楽器をミックスの奥に引っ込めてしまう可能性があります。

さらに、このような暴走した周波数を処理しないと、トラックのダイナミクスを壊してしまう可能性があり、他の楽器をマスキングしてプロジェクト全体のミックスバランスを崩してしまいます。

トラックから不要な共鳴音を取り除くことは、よりクリアで正確なミックスを生み出すための優れた方法であり、マスタリングエンジニアにとっては、聴き心地が良く、作業がはるかに簡単になるというメリットがあります。 

共鳴音を取り除く方法

不要な共振を除去するための最初のステップは、共鳴音を見つけ出すことです。トラックでイコライザープラグイン(EQ)を使って、狭いQ幅で+10~15dBの大きなブーストを作成することから始めます。

EQ

トラックをソロにして、再生中に周波数スペクトルを左右にスウィープし、不快な音がなっている周波数帯域を特定します。

共鳴する周波数を見つけたら、その場所のゲインを下げていきます。 大体-3dBくらいが目安ですが、耳を使って判断することで最適な数字を判断できます。


大幅にカットしすぎると、本来の楽器の良さを失い、位相がずれたりと、不自然な低品質のサウンドになってしまう可能性があるので注意してください。

ミックス内のすべてのトラックでこのプロセスを繰り返します。バストラックやマスタートラックでもこのプロセスは有効です。 

共鳴音除去に優れたEQプラグイン

最新のEQプラグインではこのような共鳴音をAIで検出し、即座に除去してくれる製品もあります。

smart:EQ 3

Softubeからリリースされている「smart:EQ 3」は音色の不均衡を自動的に修正するAIフィルターが搭載されており、数秒で周波数バランスを修正してくれます。

AIテクノロジーを利用したイコライザーは、不快なレゾナンスや不要なノッチをクリーンアップし、バランスの取れたサウンドを提案します。


SplitEQ

画期的なイコライザーソフトウェアとして人気のある「SplitEQ」は、あらゆる音楽ソースに対してのオーディオ信号の拡張、修復、リバランス、に優れています。

特に厄介な問題や共鳴を修正するための優れたツールであると同時に、トランジェントとトーンに別々に適用することで、EQ、コンプレッサー、トランジェントシェイパー、ディエッサー、マルチバンドコンプレッサー、ダイナミックEQの組み合わせによって新しいサウンドを提供してくれます。


まとめ

ベテランのプロエンジニアでも独立タイプの個人プロデューサーでも、ミックスの不要な共鳴をクリーンアップすることは重要です。

正しく共鳴音を処理することで、大音量でパンチのある、まとまりあるサウンドを入手することができます。

自分で見つけることが困難な場合には高品質なイコライザープラグインを導入することも検討してみてはいかがでしょうか。

以上、「イコライザー(EQ)を使って不要な共鳴音を処理する方法」でした。

 
EQハイパスフィルターの使い方と注意点

ミックス品質向上の為に学んでおきたい音響心理学


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