スネアの抜ける音作り【EDM】
スネアもキックドラムと同様、リズムにおいてバックビートを生み出す重要な楽器です。
キックよりもはっきりと耳に届きやすい周波数帯域なので、音質やしっかりと抜けのあるサウンドメイクを心がけることが大切です。
— Makoto Fukami🎸TRIVISION STUDIO (@makoto_LTH) March 4, 2020
楽曲の中でスネアがなんだかこもって聴こえたり、ボリュームを上げても抜けてこないということはありませんか?
今回はそういった悩みを持った方にむけて、オールジャンル使えるスネアの抜ける音作りについて詳しく解説していきます。
1.サンプル選び
前回の キックドラムにパンチを与えるミキシングテクニック【EDM】 記事同様サンプル選びは重要です。妥協せずにイメージに合う音を探しましょう。
最終的なサウンド品質向上の為に元の音となる「サンプル選び」は非常に重要です。
元となる素材の音が良くないと、どれだけミキシング工程で加工しようと良い音にはならないので、ジャンルや楽曲の雰囲気、音程などに気を付けながら最適なサンプル選びを心掛けます。
良いサンプルを選ぶことで音質の向上だけでなく、大幅にミックス時間の短縮が可能なので、慎重に選びましょう。
2.レイヤー
複数の音を重ねて、1つのサンプルだと足りない部分を補います。
例えばスコーンと高音にかけて抜けるスネアサンプルと、ローミッドの「ドスッ」とした胴鳴りが強調されているスネアを掛け合わせることで、目的のサウンドに近づけることができます。
場合によってはクラップや金物等のスネア以外の音を重ねてもおもしろいです。
重ねる音源に決まりは無く、色々試してみると思わぬ発見があったりもするので、自分だけのオリジナルサンプル音源を作ってみましょう。
今回は「スネア+クラップ」を使って進めていこうと思います。
3.EQやコンプ を使ってサウンドメイク
EQ
まずはEQを使って、スネアに不必要な帯域を削っていきます。
メインとなる音域をブーストしたり、不要な低音などはローカットフィルターをかけてごっそりカットしてしまいます。他にもピーキング処理で重要ではない音域を他の楽器に譲るという考えも重要です。
・ハイパスで不要な低音を全カットし、500Hz辺りの不要な音もカットしていきます。
・クラップの音を強調したいので、1kHz周辺を持ち上げます。
・ハイが若干耳につく感じがしたので、4kHzより上をほんの少しだけ削ってます。
コンプレッサー
次にコンプを使って音を圧縮してパンチを加えます。
コンプのセッティングは音源によって変化するので、一概には言えませんが、
- レシオ : 5:1
- アタック : 3~5ms
- ゲインリダクション : 3~5dB
ぐらいを目安に求めるサウンドに合わせて、コンプレッサーを使って潰していきます。
スネアは瞬間的なエネルギーが重要な楽器なので、なるべく音の出始めを潰しすぎないようにアタックタイムの設定に注意しながら処理していきます。
今回コンプの設定は
・RATIO 5:0
・ATTACK 5.00ms
・RELEASE 50.00ms
・Gain Reduction -4.5db
それぞれのプラグインの詳しい使い方に関してはこちらの記事を合わせてご覧ください。
・EQ(イコライザー)を使って不要な音をカットしよう
・コンプレッサーの基本的な使い方
4.トランジェントプロセッサーでアタックの調節
次に、必要に応じてトランジェントプロセッサーという、音の出始めと終わりを調節できるプラグインで加工していきます。
更にアタック感が増します。
5.サチュレーション
サチュレーションとは歪みによってトラックに倍音を付加するエフェクトです。
今回は「Wave Shaper」を使って、スネアに倍音を付加します。
スネアにサチュレーションを付与することで、パンチと太さを加えることができます。
やりすぎると音の芯が無くなって弱々しいスネアサウンドになってしまうので、かけすぎには注意しましょう。
Wave Shaper以外にも強力なサチュレーションプラグインはたくさんあります。スネア以外の多くのトラックにサチュレーションを使う場面は多いので、一つでも優良な製品を持っていると様々な場面で役立ちます。ちなみに予算が限られている方は、先ほど使ったFL Studio標準のコンプレッサーにもサチュレーション機能が付いているので、そちらでも構いません。
6.リバーブ
リバーブは空間による反響音をトラックに付与するエフェクトのことで、コンサートホールのような壮大なサウンドにすることも可能になります。
スネアに関しては、割と深めにかけても問題ないです。
特に海外のアーティストは意識的に深めにかけてるイメージです。
・DecayとWet量に注意しながら、次のスネアに残響音が被らないように設定してください。
・ローカットを400Hz以下でかけて、胴鳴りの部分にはかからないようにしています。
※胴鳴りの部分にかけてはいけないということではないです。意図的になら問題ありません。
まとめ
どうですか?
サウンドに埋もれず抜けてきそうな音になったんじゃないでしょうか。
みなさんも色んな音を重ねてみて、自分だけのオリジナルスネアにチャレンジしてみてください。
動画でも今回の内容の説明をしているのでもっと詳しく知りたい方は、是非ご覧ください。