【音声配信者向け】コンテンツの音質向上テクニック
2020年のYouTubeは企業やタレントも参入し、更に競争が激化すると言われています。
それに伴い、最近は動画の品質も格段に向上しており、内容が面白いのはもちろん、映像や編集技術でもテレビに匹敵するレベルの作品も多く出てきました。
筆者自身もYouTubeが好きでほぼ毎日のように見ているのですが、そこで一つ気になる点が
「音声品質が悪い」ということです。
せっかく内容や映像が素晴らしいのに、音声で損をしているYouTuberの方が非常に多い印象を受けます。
・声が聴きとれない
・効果音や音声が大きすぎる
・ノイズが入っている
最近会話のほとんどにテロップが入る動画が増えてきていますが、そもそも音声がはっきりとクリアに聴こえていれば、全会話にテロップを付ける必要はないはずです。
※本来テロップは動画内の重要な要素を強調する目的で使い、聞き取りにくい会話の補助目的で使うことはあまり望ましくないです。
テロップ編集の労力とコストを音声にまわすことで、より良い動画作りができると考えています。
テレビ業界でも必ず「音声さん」と呼ばれるプロが、長~いマイクを持ってロケに同行している光景は見たことがあるかと思いますが、タレントさんの胸元のピンマイクとガンマイク等の複数で音を拾って、肩から下げた「ミキサー」で常に音声を調整しながら収録しています。
もちろん持ち帰ってからもBGMや効果音付け、そこからMAと呼ばれる音声編集作業も行っています。
一方、YouTube業界ではまだそこまで音声に対して神経質になっているクリエイターの方は現状ほぼいないと思っています。
何度も言いますが、コンテンツとして音声は非常に重要な要素です。
音声へのこだわりが希薄な今だからこそ、音質クオリティを上げて他のYouTuberと差を付けるチャンスです!
それでは前置きが長くなりましたが、実際にYouTubeの音質向上の為にできるテクニックをいくつかご紹介していきます。
品質の良いマイクを使用する
単純なことですが、品質の良いマイクを使用して、録り音を良くすることが非常に重要です。
音声品質向上の70%ぐらいはこの「録り音のクオリティ」で決まるといっても過言ではありません。
このあとに紹介するいくつかのテクニックも、そもそもの元となる音声品質が悪いと改善しようにも限界があります。
野外で撮影するのか、部屋でカメラに向かって語り掛けるのか、撮影環境によって最適なマイクは変わるので、自分の撮影スタイルに合わせてマイクを選びましょう。
マイクの距離と収音レベル
色々なクリエイターの方を見ていて思うのは、マイクの距離が遠すぎるということです。
一眼にガンマイクを装着して撮影する場合や、スマホのマイクを使って収音する場合、屋内でカメラに向かってトークするぐらいの距離感ならそれほど問題ではないのですが、野外での複数人の撮影を見ていると、テロップがないと厳しいような場面は多いです。
マイクの距離が遠いことによるデメリットは
・環境音を拾ってしまう
・室内の場合、残響音も拾ってしまう
・会話が聞き取りにくい
・適正レベルでの収音が難しい
この中でも特に「収音レベルが下がる」ことは弊害が多いです。
このあとの音声編集の段階で小さすぎる音声信号を「適正なレベルまで上げる」という作業があるのですが、このときに環境音やノイズまでも一緒に持ち上がってしまうことになるので、なるべく余計な音を拾わないようにマイクと口の距離は近いほうが音質向上において有利です。
最近だと芸能人やテレビタレント出身の配信者の方は胸にしっかり「ピンマイク」を装着しています。
良いピンマイクを用意するのはなかなか予算的にも難しいかとは思いますが、(テレビで使っているピンマイクは8万円ぐらいします。。。)高級なマイクで遠くから収音するぐらいなら、安いピンマイクを使用して近くで収音したほうがまだマシです。
ブログやAmazonでYouTuber向きのピンマイクを色々調べてみたのですが、安価でスマホに繋いで録音もできる「RODE ロード SmartLav+」がオススメです。
とくにトークで勝負しているYouTuberの方は、この機会に導入を考えてみてはいかがでしょうか?
複数のマイクを使う
これは予算的にも中々難しいかとは思うのですが、音声ミックスすることを考えると、理想は複数のマイクを使って演者単位で声を拾うことです。
グループで会話している状況で、重要な内容を喋っている方のボリュームを上げたり、面白いことを言ってる人の声をピックアップしたりと、メリットは多いです。
作業量は増えますが、それぞれの声に対して音声編集を加えれるようになるので、音声品質は格段に向上します。
音声編集
いよいよ、録音した動画の音声編集作業です。
まず、動画編集ソフトで動画と音声を切り離します。
そして切り取った音声をDAWと呼ばれる作曲ソフトで編集するのですが、会話やBGMとSEぐらいの音声編集なら無料のソフトで十分です。
こちらの記事を参考にお好きな製品をダウンロードしてください。
※オススメはCakewalkです。
ノイズ除去
まずはノイズの除去をするのですが、ノイズゲート(一定レベル以下の音声信号をカット)を使用したり、最近のDAWだとAIでノイズを感知して自動で除去してくれる機能がついていたりと、非常に便利になっています。
筆者の場合はFL Studioというソフトの「Denoise」機能を使って除去しています。
ノイズを選択後、
Denoiseボタンを押すだけで、オーディオファイルすべてのノイズを自動的に除去してくれる優れものです。
ノーマライズ
ノーマライズとは音量の正規化のことで、小さすぎる音声信号を適正なレベルまで持ち上げてくれます。
ノイズ除去をしていないとノイズまで一緒に持ち上がってしまう為、しっかりとノイズを除去してから行いましょう。
先程のノイズ除去したオーディオファイルをノーマライズ機能を使って、適正ボリュームまで持ち上げます。
ノイズ以外の音声のみが綺麗に持ち上がりました。
スマホ等で収音した音声の場合、ノーマライズするだけでもかなり聴きとりやすい音声になるかと思います。
イコライジング
イコライジングとは、EQ(イコライザー)と呼ばれる音声信号の周波数特性を変化させる機器を使用して、必要のない無駄な音域をカットしたり、飛び出しすぎた音域を抑える目的で使用します。
具体的には、無駄な低音をカットしてクリアな音声にしたり、風切り音やエアコンの環境音もピンポイントでカットできます。
全員で笑う場面などで、急に飛び出した周波数を抑えたりして、視聴者が不快に思わない程度に音質を調整します。
結構マニアックな話にはなってしまいますが、EQについて更に詳しく知りたい方はEQ(イコライザー)を使って不要な音をカットしようで説明しているのでご覧ください。
コンプレッション
コンプレッサーという機器を使用して、音声の最大音量と最小音量のボリューム差をなるべく小さくして、視聴者が聴き取りやすいように圧縮する作業です。
小さな声を大きく、大きな声を小さくする重要な作業です。
テレビやラジオでは、ささやき声と大きな笑い声にそこまで大きな音量差を感じないのは、このコンプレッションのおかげです。
高品質なマイクやスマホのマイクには、もとから「音声圧縮機能」がついている製品が多く、ある程度ボリュームが均一化されるように設定されています
ディエッサー処理
もし教育やビジネス系のような、音声のみでマイクに向かって語り続けるトークメインの動画の場合、ディエッサー処理をすることで「さしすせそ」の歯擦音やノイズを自動的に除去できます。
人の話し声には超高音の成分が多く含まれており、マイク録音だと目立ちすぎる場合があるのでしっかりと出過ぎた高音成分を抑えることが重要です。
更に音質を求めるのであれば、トークの収音での理想はコンデンサーマイクにポップガードを付けるスタンスが一番綺麗に収音できます。
なかなか大掛かりな機材ですが、本気でトークで勝負したい!という方は導入を検討してみてはいかがでしょうか?
まとめ
途中にも紹介しましたが、テクニックよりもまず初めは「録り音のクオリティ」を上げることに注力するのが良いかと思います。
もちろん録音する機材も大事ですが、プロの芸人さんのようにハッキリと大きな声で話すことで、無駄なテロップや音声編集の作業時間も大幅に削減できます。
話す内容を台本にまとめたり、撮影前に軽い発声練習を行うことが大切です。
以上、【音声配信者向け】コンテンツの音質向上テクニック」でした。