
サウンドに差をつけろ!プロが教えるシンセテクニック10選【DTM】
シンセサイザーを使ってサウンドを作る時に「プロと比べて音が弱々しい感じがする…」「音圧がもっと欲しい…」と思うことも多いですよね?実際にはどうやれば理想のサウンドを作れるのかよく分からない…といった方も多いかと思います。
シンセサイザーに搭載された膨大な量のサウンドライブラリから曲を作る場合、楽曲に合った最適なサウンドを選んだり、もしくはゼロから作成することもあるかもしれません。
今回は楽曲に合ったサウンドを選択したり、ミキシング時に大幅な修正をする必要がないような、バランスのとれた強力なシンセサウンドを作成する為のいくつかのテクニックをご紹介します。
1. オシレーターを使いこなす

シンセサイザーには、音を生成するために使用される「オシレーター」と呼ばれる、音作りにおいて一番重要な部分があります。このオシレーターによって、サイン波、矩形波、三角波、ノコギリ波など、様々な音波形を生成することが可能で、使う波形によって音色が大きく異なる為、それぞれの波形の特徴やサウンド傾向を知っておくことで音作りに役立てることができます。
オシレーターには1つだけではなく、複数のオシレーターを使用することも多いです。複数のオシレーターを使って音を重ね合わせることで、より幅広いサウンドを作り出すことができます。
また、オシレーターには、ピッチ、音量、発音のタイミングなどを調整することができるパラメータが搭載されており、これらのパラメータを調整することで、より豊かなオリジナルサウンドを作り出すことができます。
2. 音を複数重ねる(レイヤー)

先ほどもお伝えしたように、シンセサウンドを扱う場合には、単一の波形を使うよりもいくつかの波形を重ねて使用することが一般的です。
しかし、何も考えずにそのままサウンドを重ねると位相の問題が生じたり、パッチ同士が重なったときにフィルタリング効果が発生してミックスの奥に引っ込んでしまう可能性があります。
このような位相のトラブルは、品質の悪いサウンドを生み出すだけでなく、音源をモノラルデバイスでリスニングした時に、ミックスが完全に崩壊してしまう原因にもなるので注意が必要です。
3. 違う楽器を重ねる

使用する波形やシンセサウンドが決定したら、次は新しい異なる要素を追加してサウンドを装飾することができます。最高のシンセサウンドを作るのは、一般的なボーカル、リズムギター、、リードギター、ベース、ドラムといった各要素を混ぜ合わせて、大きな一つの音の塊を生み出すことと同じです。
シンセの場合でも、それぞれの異なる要素の周波数帯の中で、最も「良く鳴る」ポイントを見つけることが重要です。違う質感のサウンドを重ねる場合は、音量、音域、リズム、音色、ステレオ幅など、様々な領域を使って互いに競合しないように住み分けする必要があります。
4. コードボイシングを考える

コードボイシングとは、コードの各音の積み上げ方のことです。ボイシングアレンジを行うことで、特定の音域に音を配置することができたり、同じコードでも違ったトーンのサウンドにすることができます。
コードトーンをどの高さに配置するかは、一般的には低音域にルート音、中音域に3度、5度、高音域に7度を配置すると、安定した響きになります。場合によってはこの音の並びを転回させたりと、意図的に音域をずらすことで、独特な雰囲気を作り出すことができます。
また、シンセコード作成時のテクニック【EDM】でも紹介したように、シンプルなトライアドコードであっても、コード内の音を転回させることで、楽器が担当する音域幅の上がり下がりを防ぐことができます。
5. モジュレーションで揺らす

ほとんどのシンセサイザーには、モジュレーションと呼ばれる変調機能が搭載されています。モジュレーションを使うことで、LFO (低周波オシレーター)、エンベロープ、ステップシーケンサーなど、さまざまな方法でサウンドのパラメーターを変更することが可能になり、シンセサイザーのサウンドを強化する上で、重要な要素の一つです。
モジュレーションを正しく使いこなすことができれば、ビブラート、トレモロ効果、ワウ等、より多彩なサウンドを作ることができます。
6. フィルターで強調する
フィルターによる効果は、簡単にいうと特定の音域をカットして、音色を変化させる装置のことで、高音域成分をおさえるフィルターのほかに、低音域成分をおさえて高音を強調するフィルターや、中域だけを出力するフィルターまで色んなタイプがあります。
仕組み的には一般的なEQに備わっているフィルター効果と同じですが、カットオフしたあとにレゾナンスでカット周波数付近を強調する度合いを設定することで、特徴的なサウンドを生成します。

場合によっては複数のフィルターを使って、さまざまなルーティングオプションを利用することもできます。
フィルターパラメーターに対してモジュレーションを使って自動調整できるようにすることが一般的であり、2つを組み合わせることで様々なサウンドバリエーションを作成することができます。
7. ノイズを付与する

デジタルシンセサイザーだけで音作りしたときに、アナログ楽器と比べてぽっかりと隙間が空いているような寂しさや、冷たさを感じることがよくあります。
これはアナログ機器で生成されるノイズや複雑な倍音が関係しており、デジタルシンセサイザーの場合は綺麗すぎるがゆえに、ノイズのまったく無い音や倍音が機械的で整い過ぎているため、不自然さを感じてしまうことが原因です。
これを補うためにサブオシレーター、ノイズ、サチュレーションといった様々なパラメーターやエフェクトを使って、意図的に汚したり、倍音を付与するといったことが非常に効果的です。
8. デチューンで広げる

"デチューン"とはシンセサイザーが持っている機能の一つで、複数のオシレーターの音程をわずかにずらす事でサウンドに独特のうねりと厚みを追加する方法です。
例えば、同じ「ド」の音でも、わずかに高いドと、わずかに低いドを重ねることで、音が複雑に重なり合うことで、まるで合唱のように豊かなハーモニーが生まれます。
機械ならではの完全一致したピッチ感を回避することで、より現実世界のような複雑な音の絡まりを再現し、幅や音圧のあるサウンドを作ることができます。
9. エフェクトで装飾する

ほとんどのシンセサイザーソフトには、ある程度のオンボードエフェクトが搭載されています。製品によってエフェクトの種類は異なりますが、EQ、コンプ、リバーブ、ディレイといった基本的なエフェクトは備わっているはずです。
プロジェクト全体のサウンドの一貫性を保つために、まずはシンセサイザーに搭載されているエフェクトを使うようにして、外部エフェクトにできるだけ依存しないサウンドを作成することをおすすめします。
なるべく外部エフェクトの数を減らすことで、CPUの節約にもつながるので、パワーの弱いコンピューターを使っている場合にもおすすめです。
10. オートメーションを書く

オートメーションを使うことでシンセサイザーの様々なパラメーターを自動的に変化させることができます。
効果的にはモジュレーションと似ていますが、よりオリジナルの変化を加えることが可能なので、音量、音程、パン、LFO、フィルターなど、アイディア次第で無限のサウンドメイクができるようになります。
シンセ内のパラメーター以外にも、出力した音に対してオートメーションを書くことも、サウンドを強化する為に必須のテクニックの一つです。
まとめ
サウンドを強化する為のシンセサイザーテクニックは以下の通りです。
- オシレーターを使いこなす
- 音を複数重ねる(レイヤー)
- 違う楽器を重ねる
- コードボイシングを考える
- モジュレーションで揺らす
- フィルターで強調する
- ノイズを付与する
- デチューンで広げる
- エフェクトで装飾する
- オートメーションを書く
これらのテクニックを使うことで、DTMを使ってより強力なシンセサイザーサウンドを作ることが可能になります。シンセサイザーの搭載されているパラメーターや機能を理解して、正しく活用することができれば、オリジナルのシンセサイザーサウンドが作ることができるようになります。
複数のテクニックを組み合わせることで、より高度なサウンドを生み出すことも出来るので、まずは色々と試行錯誤しながらオリジナリティ溢れるサウンドを見つけてみましょう。
以上、「サウンドに差をつけろ!プロが教えるシンセテクニック10選【DTM】」でした。
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