ジャズギターの音作りを学ぶ!基礎となる8つのポイント
ジャズにおけるエレキギターは、コードバッキングやソロやメロディー演奏を担当するパートで、バンドサウンドにおいて非常に重要な役割を果たします。とはいえ、ジャズギターを始めたばかりの初心者の方にとって、ジャンルに適したサウンドメイクが難しく「好きなギター音はイメージできるけど、その為に何をすれば良いのか分からない…」という悩みも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、初心者ギタリストでも分かりやすく、ジャズギターの音作りを基礎から学べる7つのポイントを紹介します。
1. 適切な機材を選ぶ
ジャズギターに適したサウンドを得る為には、まずはジャンルに合った適切な機材を選ぶことが重要となります。ジャズに使用されるエレキギターは、セミアコ、フルアコといった「箱モノ」と呼ばれるギターが使用されることが多いです。
箱モノギターの特徴は、ボディ内部の空洞によって生まれる豊かな倍音です。これによってアコースティックギターのような自然で温かみのある音色を鳴らすことができます。
アンプは、FenderのDeluxe ReverbやRolandのJC-120といった、クリーンで透明感のあるトーンを鳴らすものが採用され、エフェクターには僅かな歪みを加えるブースターやオーバードライブ、追加でリバーブ、ディレイの空間系が使用されることが多いです。
EQ等で音質をコントロールする前に、出音の段階からジャズに適した機材を使用することで、よりジャンルにマッチしたサウンドを鳴らすことができます。
2. ピックアップの選択
ピックアップの選択はギターのサウンドメイクにおいて主要な要素であり、ジャズの特有の甘くメロウなトーンを引き出すために適切なピックアップの選択が必要です。
ピックアップの代表的なタイプとしては"シングルコイル"と"ハムバッカー"タイプに分かれており、シングルコイルは明るく歯切れの良いサウンドが特徴で、ハムバッカーはやや低音寄りの太い音が特徴です。
ジャズギターではハムバッカータイプのピックアップが採用されていることが多いです。理由としては、ジャズでは通常のロックギターに比べて小さい音量で演奏されることもあり、ノイズやフィードバックの発生が特に目立ちます。ハムバッカーはシングルコイルに比べてノイズが少なく、フィードバックのリスクが低いこともあり採用されています。
ハムバッカーの持つウォームで太くて豊かなサウンドはジャズとの相性が良く。太いサウンドを持ちながらもクリーンなトーンを鳴らすのに適しています。
3. ギター本体のセッティング
ギター本体のセッティングは、基本的にはフロントピックアップを使うことが多く、トーンノブを少し絞ることで、さらに丸みのあるトーンを狙って微調節します。
トーンを極端に絞り過ぎるとモコモコとしたこもったサウンドになるので注意が必要です。セミアコの場合は大体7~8メモリ値くらいを目安に調節してみて、フルアコであればもう少し絞って心地良いポイントを探ってみましょう。
また、一人で演奏する場合は、丸みのあるトーンのほうが心地良く鳴らすことができますが、バンドとして演奏する場合には他の楽器に埋もれてしまうこともあるので、少しトーンを上げた方が抜けがよくなります。
4. EQをフラットな状態からはじめる
ジャズギター以外にも言えることですが、ギターの音作りを深く理解する為には、なるべくすべてをリセットしてゼロの状態から始めてみましょう。オーバードライブのかかった状態からスタートしたり、一度にさまざまな設定をいじりすぎると、サウンドの特性を把握しづらく、目当ての音に対して適切に調整することが難しくなります。
おすすめはアンプ等のすべてのつまみをフラットな状態から始めることです。(12時方向) こうすることで理想とするバッキングやリードトーンを作成ためのスタート地点として機能します。
EQの調整を行うときはなるべく一度に1つのつまみだけをコントロールして音の変化を感じ取とりながらつまみを調整するのがポイントです。
5. 適度なオーバードライブ
クリーントーンのイメージが強いジャズギターですが、弾き手によってはオーバードライブなどで適度にブーストさせたサウンドが使用されることもあります。
"歪み"は、ゲインコントロールを上げたときに、アンプやエフェクター内部の音量の限界を超えてトーンがクリッピングされていることにより発生します。
この圧縮されて歪んだギター信号は、リードトーンにサスティーンと倍音を付与する重要な要素となるので、目的のサウンドに合わせて適切に調整します。
単音弾きが多いリードトーンであれば、ドライブを加えることで伸びのある肉厚なサウンドになりますが、やりすぎるとギター本来のサウンドを損なう可能性があるので注意しましょう。
歪みが加わることでトーンが大きく変化するので、さらにEQと合わせて音作りする必要があります。
6. EQで音質を整える
ほとんどのアンプにはEQと呼ばれるトーンコントロールの為のつまみが備わっており、ギターの音作りを行うために重要なツールです。ギターアンプのトーンコントロールは少なくとも3つのEQがあります。
- TREBLE:アンプによって生成される高音域の量をコントロールします。高音が高いほど、音はシャープになります。
- MIDDLE:中音域の周波数を制御します。ギターにとって最もおいしい帯域なので、ギターソロのようなギターが注目を浴びるセクションではブーストすることで存在感が増します。
- BASS:低音域の量をコントロールします。低音が多いほどブーミーで太いサウンドになりますが、アンサンブルの中ではカットすることがほとんどです。
ジャズギターの音作りにおいてはMIDDLEのコントールが重要で、TREBLEとBASSとのバランスを見ながら中音域をしっかりと出すようにします。ボーカルがいる場合にMIDDLEを上げ過ぎるとボーカルの居場所を奪ってしまう可能性もあるので、他の楽器との兼ね合いも考慮してコントロールします。
オーバードライブを使用する時は、高音が強調されやすいので、耳障りな音が出過ぎないようにTREBLEつまみを普段よりもカット気味にしてバランスを取るようにしましょう。
7. ブースターペダルを使う
リードトーンで音を太くしたいけど、歪みは加えたくない!という時にはブースターペダルを使用することで、音質を変えることなく肉厚なサウンドを入手することができます。
リードギターやギターソロには中音域をブーストすることが多く、ブースターペダルを使うと中音域がグッと持ち上がり、チューブアンプをドライブさせたような独特な質感も得られるので非常におすすめです。
歪みを加えることなくギターの音量をすばやく上げることもできるので、ギターソロのような一部のセクションで目立つリードギターサウンドを必要としている場合に最適なツールです。
ブースターペダルの人気製品としてXotic EP BoosterやIbanez TS808が幅広く利用されている印象なので、気になる方はチェックしてみてください。
8. 空間系エフェクトをかける
良質なジャズギタートーン作成のために空間系エフェクトは重要な要素です。特にリバーブはアンプ本体にも組み込まれている場合がほとんどで、2~4メモリくらいで少な目にしてかけることが多いです。
足元でON/OFFをしたい場合や、モコモコした低音を処理したいけどローカットコントロールが付いていなかったりすることもあるので、1台は作り込みができるリバーブエフェクターがあれば便利です。
リードギターに最適な残響効果を付与することで、寂しくなりがちな単音フレーズでも、ホールで演奏しているかのような壮大さを加えることが可能です。
まとめ
リードギターの音作りに役立つ7つのヒントについてお話しました。
- 適切な機材を選ぶ
- ピックアップの選択
- ギター本体のセッティング
- EQをフラットな状態からはじめる
- 適度なオーバードライブ
- EQで音質を整える
- ブースターペダルを使う
- 空間系エフェクトをかける
ジャズの中でも演奏スタイルによって最適な音質というのは大きく変化します。特にバンドのようなアンサンブルの場合は、ギター単体で心地よく鳴る音がベストな音質とは限らないので、他の楽器との兼ね合いも見ながら慎重な音作りが必要になります。
以上、「ジャズギターの音作りを学ぶ!基礎となる8つのポイント」でした。