DTM

レコーディング&ミックス時に役立つ8つのヒント

レコーディング&ミックス時に役立つ8つのヒント

レコーディングとミックスの品質を上げることで楽曲の魅力を最大限に引き立てることができます。しかし、初めてレコーディングを行う方や、ミックス作業が慣れていない方にとっては戸惑ってしまうことも多いかと思います。

そこで今回は、DTM(デスクトップミュージック)初心者の方やクリエイターの方に向けて、レコーディングやミックスに関するいくつかのヒントをご紹介します。

1. 録音レベルに注意する

レコーディングは音のクオリティを左右する最初の工程であり、録音の良し悪しは最終的な音源品質に大きく影響します。楽器を録音する際には、SN比の高い音で収音することが重要となります。

SN比とは信号(Signal)とノイズ(Noise)の比を表すもので、SN比が高いということは入力される音声に対してノイズが少ないということです。デジタルのDAW環境ではノイズを意識することはほとんどないかもしれませんが、録音する楽器の種類や録音機器によってはどうしてもノイズが避けられない場合もあります。

SN比=音声信号とノイズの比率

例えばエレキギターを録音する時にはノイズが入りがちですが、ギターの音を小音量で録音して、あとで音量を上げようとするとノイズまで一緒に持ち上がってしまうことになります。しかし、楽器の音量をできるだけ大きく録音しておくことで、相対的にノイズの割合が小さくなるのでSN比が高い良質なサウンドでレコーディングすることができます。

大きな音で収音するメリットは他にもあります。例えば、マイクプリアンプ等を使っている場合、大きな音にするほど機材の個性が出やすくなるので、よりキャラクターの強いサウンドになる傾向があります。

録音時の音声品質を上げることで、ミキシングやマスタリングでの工程も少なくて済むので、まずは録り音にこだわることが重要となります。

2. 重要度の高い順にミックスする

重要度の高い順にミックスする

ミキシングではジャンルごとに重要度の高い楽器から始めることで、全体のバランスを見失うことなくミックスを進めやすくなります。

また、すべての楽器を聴いてもらおうとフェーダーを均等にしてしまうと、メリハリのないトラックになってしまう可能性があるので、セクションごとに何を一番聴いてもらいたいかを選択して、他の楽器は思い切ってフェーダーを下げるという判断も必要になります。

例えば、歌モノであればもちろんボーカル、ダンスミュージックであればキックから、ヒップホップであれば808ベースからからスタートします。そして重要な楽器をミックスし終わったら、なるべく後になって微調整したりしないように固定することが重要です。

3. 音源ソフトウェアはバウンスしておく

バウンスとは、ソフトウェアシンセを鳴らす為のMIDIトラックデータや、音声トラックにエフェクトを掛けたりしたものをオーディオデータとして書き出す事をいいます。

DAW内の音源ソフトウェアを使って制作する方にとっては、録音の工程は関係ないように思えますが、音源ソフトも完成した時点でオーディオ化して書き出しておくことをおすすめします。

ミックス中はプラグインや音源をたくさん立ち上げることになるので、コンピューターに大きな負担がかかり、そのまま作業を続けているとノイズの原因にもなるので、あらかじめバウンスしておきましょう。

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4. ミックスは引き算で考える

曲を制作しているときに、どんどんアイデアを詰め込んでしまって、気が付いたら膨大なトラック数になっていた…。これはクリエイターならよくあることです。しかし、実際には音数が増えるほどミックスが複雑になり、最終的にはマスタリングで理想的な音圧感を得ようとする場合に非常に苦労することになります。

良いミックスに仕上げるには、できる限り音数を減らすことです。つまり、トラック数を少なくするという意識が大切になってきます。思いついたアイディアをすべて活かそうとしたり、すべての楽器をメインとして鳴らすことは難しいです。

さらに、音量に関しても、フェーダーは基本的にマイナス方向に使用する方が最終的に良い結果が得られやすいので、ミックス全体で「引き算」の意識がとても重要になります。

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5. 本当にエフェクトが必要かを判断する

EQやコンプ、サチュレーション等、たくさんのプラグインエフェクトを使ってミックス作業を進めることになるかと思いますが、まずは本当にそのエフェクト処理が必要かどうか?を見極めることがとても大切になります。

ミックス作業を多くこなしていると、思考停止して特に深く考えず"とりあえずエフェクトをかけてしまっている状態"になることがあります。例えば、キックであれば必ずEQでカットして、コンプで圧縮して、歪みを加えてパンチ感を追加…といった具合に、毎回同じような処理を施してしまっている方は注意が必要です。

音源ソースはもちろん、アレンジ、使用している楽器の種類、楽曲のキーなど、色々な要素が関係することでプロジェクトごとの最適なミックスは変化します。

キーが上がったことでベースの帯域が上がり、実はキックのEQカットの必要が無かった。ということもあるかもしれません。トラックごとにエフェクト処理が必要かどうかを判断することで、無駄な処理を無くし、最終的な音源品質を向上させることができます。

6. イコライザー(EQ)もマイナス方向に

イコライザー

音量と同じですが、EQによる処理でも基本的にはブースト方向よりもマイナス方向のイコライジングが重要となります。サウンドを良くしたい場合はなるべくEQをカット方向に使用することを意識して、ブーストは音を変えたいときに使用します。

イコライザー(EQ)を使って不要な共鳴音を処理する方法でもご紹介しましたが、トラックごとに数回のマイナス方向のEQの動きを試してください。最低限、サウンドのローエンドによるトラブルを除去するために、ほぼすべてのトラックに対してハイパスフィルターを適用する必要があります。

その他の一般的な問題点としては200〜400Hzのローミッド部分にはたくさんの楽器が集まりやすく、簡単に飽和してしまう可能性が高いです。

7. ナローバンドを減らし、ワイドにブースト

イコライザー

特定の周波数を修正するQ幅が狭く深いイコライジング(ナローバンド)を減らして、Q幅を広く浅く使うことで、EQで起こりやすい副作用的なトラブルを回避しやすくなります。

一般的にナローバンドを使う時には、特定の問題のある周波数を探している場面がほとんどです。つまり、綺麗な音源ソースであるという前提でいえば、深いカットが必要な場面はそれほど多く存在しないということになります。

ブーストするときはトーンを変更したい場面なので、ワイドな高シェルフブーストでエアー感や煌びやかさを追加したり、低シェルフブーストを使用してサウンドにボトムエンドを追加したりすることが多いです。

イコライザー(EQ)を上手にかける為の5つのミキシングヒント

8. デジタル楽器はサチュレーション

サチュレーション

シンセサイザーやデジタルインストゥルメントを使用する場合には、音が綺麗すぎるて冷たい印象になることがあるので、なるべくサチュレーション状態にして、あえて「汚す」ことで実機のアナログ感を表現することができます。

もちろんすべてに当てはまるわけではないですが、サチュレーションを使用することで、アナログ特有の暖かさ、聴覚上のラウドネスを追加し、最終的な仕上がりをよりプロフェッショナルなサウンドにする為に有効です。

プロの音源と比べて何か物足りなさを感じたり、音圧が足りないような感じがするときにはサチュレーションによる「飽和感」が足りていない可能性が高いです。

まとめ

レコーディング&ミックス時に役立つ8つのヒントをご紹介しました。

  1. 録音レベルに注意する
  2. 重要度の高い順にミックスする
  3. 音源ソフトウェアはバウンスしておく
  4. ミックスは引き算で考える
  5. 本当にエフェクトが必要かを判断する
  6. イコライザー(EQ)もマイナス方向に
  7. ナローバンドを減らし、ワイドにブースト
  8. デジタル楽器はサチュレーション

音楽制作において、レコーディングとミックスは楽曲の魅力を最大限に引き立てるための重要な工程です。初心者や未経験者にとって戸惑いがちな作業でもありますが、今回の8つのヒントを押さえることで品質を向上させることができます。

録音時にはSN比を高め、楽器ごとに重要度の高い順にミックスを進め、ミックスにおいては引き算の原則を守ることで大きなトラブルを回避し、よりプロフェッショナルなサウンドを実現し、楽曲制作のスキル向上に繋げることができます。

以上、「レコーディング&ミックス時に役立つ8つのヒント」でした。


ミックス品質をプロのようなサウンドにする為の5つのヒント【DTM】

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