ドラムトラックにコンプレッサーをかける方法:3つの異なる圧縮方法
ドラムトラックは音楽の中でも特に重要な役割を担うため、そのサウンドを最適化することは必須です。
特にドラムのような瞬間的なエネルギーを発するトラックには、コンプレッサーを使って正しく圧縮することで、トランジェント(音の立ち上がり)やダイナミクス(音の強弱)を調整し、より効果的なドラムサウンドを作り出すことができます。
そこで今回は、ドラムトラックにコンプレッサーをかける3つの方法についてご紹介します。
アタックとリリースによる調整
本記事では、コンプレッサーエフェクトにおける、アタックとリリースのパラメーターの役割と、それらがサウンドに与える影響について詳しく見ていきます。
→コンプレッサーのレシオ値を理解する【DTM】
各パラメーターについて簡単に説明すると
- アタック
コンプレッサーが圧縮されていない状態から完全に圧縮されるまでにかかる時間です。 - リリース
圧縮されたオーディオ信号が元に戻るまでにかかる時間です。
これら2つのパラメーターを正しく操作することで、ドラムトラックに含まれる多くの問題を解決することができます。
では、それぞれの役割について詳しく見ていきましょう。
アタックについて
繰り返しになりますが、コンプレッサーのアタックコントロールは圧縮されるまでの時間を調節するパラメーターです。
アタックの調節はコンプレッサーのパラメーターの中でも非常に重要で、使いこなすことで、トランジェントと呼ばれる音の立ち上がり部分を細かく加工することが可能になります。
例えば、キックドラムやスネアのような瞬発的なエネルギーを持つ楽器にコンプレッサーをかける場合、最も重要なアタック部分を潰さずに、モコっとした胴鳴り部分のみを潰すといったような使い方もできます。
また、バッキングギターやピアノ伴奏のような楽器は、アタックを潰してダイナミクスを均一になるようにすることで、トラック全体に馴染ませる効果が期待できます。
リリースについて
リリースは、圧縮された音がもとに戻るまでの時間を調節するパラメーターです。
サウンドのリリース部分の調整や、次の音のアタックにコンプレッションが被らないようにリリースタイムを調節することが重要です。
アタック同様にリリースタイムを調整することで、トランジェントコントロールすることが可能です。
リリースタイムの設定を間違えると、余分にコンプレッションがかかり、抑揚の無いダイナミクスを失ったサウンドになってしまいます。
3つの圧縮パターン
ここからは、アタックとリリースを使った3つの異なる圧縮パターンを適用します。
例としてキックドラムを使って、アタックとリリースパラメーターがどのようにサウンド形成に影響するのかを見ていきます。
1. 速いアタック&速いリリース
速いアタックを使用すると、コンプレッサーは音の立ち上がりにすばやく反応し、ゲインを素早く下げることができます。さらに、リリースタイムを速く設定することで、圧縮が素早くリセットされるため、ドラムヒットのテール部分に影響しません。
これにより、全体的にドラムのトランジエントを抑えることができ、トラック全体の不要なピークを減らすことができます。
2. 速いアタック&遅いリリース
非常にパンチの効いたテールの短いキック、またはパンチが少なくテールの長いキックの場合には、速いアタックと遅いリリースの組み合わせが上手く機能します。
速いアタックでトランジェントを素早く圧縮して、遅いリリースタイムでテール部分まで圧縮することができます。これによりドラムヒットの全体がより均一に圧縮されることを意味します。
※今回使用しているサンプルでは大きな違いは見られませんが、胴鳴りの長いキックや、サスティーン成分の多いスネアだと違いがよく分かるかと思います。
3. 遅いアタック&遅いリリース
遅いアタックと遅いリリースの組み合わせは、ドラムヒットにパンチを加えたい場合に最適な方法です。
アタックタイムを長くすることで、音の立ち上がり部分が圧縮を回避できるようになり、リリースタイムを遅くすることで、ドラムのテール部分が最後まで圧縮されたままになります。
その結果、トランジェントサウンドが大きくなり、サステインが少ないサウンドになる為、瞬間的なエネルギーの強いパンチのあるドラムサウンドを得ることができます。
まとめ
ドラムトラックにコンプレッサーをかける3つの異なる圧縮方法についてご紹介しました。
それぞれのコンプレッサーのパラメーターを正しく設定することで、効果的なドラムサウンドを作り出すことが可能です。 ドラムトラックを効果的に圧縮するためには、正しくコンプレッサーの効果を使いこなすことが、とても重要なポイントとなります。
その他、生ドラムを録音する場合は、録音時のマイクの選択や、エフェクターの適用などのテクニックも重要な要素となるので、様々な試行錯誤を繰り返しながら、自分好みのドラムサウンドを作り出してみてください。
以上、「ドラムトラックにコンプレッサーをかける方法:3つの異なる圧縮方法」でした。