バッキングギター 5つのミキシングテクニック
ロック調の楽曲において欠かせないパート「バッキングギター」
バッキングギターは数ある楽器の中でも周波数レンジがとても広く、カバーできる音域が広い反面、しっかり音処理しないと他の楽器に被ったり、最悪の場合ギターがうるさすぎてボーカルが聴こえないということも。
花形ポジションと思われがちですが、バッキングの場合リズムやコード弾きを担当しているので、本来ベースと同じく縁の下の力持ち的ポジションということを意識してミキシングすることが重要になってきます。
では、ミキシングの際に使えるテクニックを5つご紹介致します。
1. 録り音にこだわる
ミキシングテクニックに関係ないように思いますが、ギターミキシングにおいて一番大事な部分でもあります。
録り音のクオリティがギターミックスの70〜80%を占めていると言っても過言ではないです。
マイク録りの場合はチューニングや音作りはもちろん、部屋の環境やアンプの置き場所、マイキングにもしっかりこだわりましょう。
ライン録りしてPC内で音を作る場合、マイク録りよりは修正がききますが、ドライ音の適切な録音レベルやノイズ処理などに気をつけて、なるべく最高品質の録り音を目指すように心がけましょう。
オーディオインターフェイスやシールドでも音質は変わるので、初心者セットについてくるような安価な製品を使っている場合は、レコーディング向きとは言えないので、最低限のクオリティの製品に買い替えることをオススメします。
2. 左右に定位させる
バッキングギターのミキシングテクニックとしてよく使われるのがこの手法です。
同じフレーズを2回録音して、それぞれを左右に大きく振る事で音像が広がり「音の壁」ができます。
2テイク弾くのが重要で、1回弾いたものをコピーして左右に振ってもセンターに定位されるので注意してください。
もしバッキングデータが1つしかない場合は、タイミングを少しズラすか、どちらかのピッチを微妙にズラす事でも代用可能ですが、2テイク録ったほうがクオリティは高いです。
3. ローをカットする
ギター単体の場合は低音をしっかり出したほうがカッコ良く聴こえるのですが、バンドアンサンブルの場合は違います。
イコライザーを使用して不要な低音をカットする事で、ベースとの音被りを避け、音の解像度を向上させます。
ジャンルにもよりますが、低音はベースにまかせてしっかり住み分けをしたほうが結果的に良くなりやすいです。
ギターにとっておいしい低音は150Hz〜250Hzぐらいまでの間なので、100Hz以下はばっさりローカットしてしまっても問題無いです。
ギターにとって必要のない低音をカットする事で、抜けを良くし、ミックス全体が濁るのを防ぎます。
4. コンプで圧縮する
バッキングギターといえど、カッティングやブリッジミュート等、奏法によってダイナミクスにばらつきが出てしまいます。
バッキング(伴奏)の名の通り、なるべく他の楽器よりも一歩後ろに安定して定位させたいので、音量を均一化する為にコンプレッサーをかけましょう。
音量にばらつきがある場合、急に前に飛び出てきたりと、前後にふらふらしやすいのでアタックを早めにしたコンプをかけることで安定させる事が可能です。
具体的な設定値はこんな感じで、参考程度に。
・RATIO > 4:1
・ATTACK > 早め
・RELEASE > 遅め
・GAIN REDUCTION > 3~5dB
歪みを深くかけている場合は、歪み自体がコンプの役割を果たしているので波形を見ながら圧縮が必要かどうか判断しましょう。
5. ボーカルの帯域を空ける
ギターの周波数帯域はボーカルの周波数帯域ともろ被りなので、イコライザーを使用してボーカルのためにスペースを空けます。
人により声は様々なので一概にはいえませんが、男性ボーカルの場合「200Hz〜2kHz」辺り、女性ボーカルの場合「300Hz〜4kHz」の間のどこかに声の芯があると思うので、そこをEQで削ります。
オートメーションを書いて「Aメロ、Bメロ、サビ」のセクションごとに削る周波数を移動させるテクニックもありますが、かなりシビアなので、ギターの中域を削るいわゆる「ドンシャリサウンド」でも十分効果は期待できます。
ただ中音域はギターにとってもおいしい帯域なので削りすぎには注意してください。
以上、バッキングギター 5つのミキシングテクニックでした。
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