実はあの曲もこの曲も!?ヒットソングの定番「王道進行」を徹底解説!
コード進行は音楽の流れと楽曲のイメージを決定するために欠かせない重要な要素の一つです。コードとは、複数の音を同時に鳴らした和音のこと。例えば、「ド」「ミ」「ソ」の3音を同時に鳴らすと、Cコードと呼ばれる和音になります。音楽では、このコードを次々と変化させて進行させることで、音楽に流れと雰囲気を与えています。
中でも、J-POP、洋楽、クラシックなど、様々なジャンルの楽曲で頻繁に用いられている「王道進行」と呼ばれるコード進行は、日本人の耳にも馴染みの良い進行で、現在でも様々なヒットソングに頻繁に使用されています。
そこで今回は「王道進行」の作り方や、その特徴についてご紹介します。
王道進行とは?
王道進行(または小悪魔コード進行)は、J-POPなどによく使用されることが多い「IV–V–Ⅲ–Ⅵ」で表されるコード進行のことです。
日本人が好みな「叙情的」や「切ない」雰囲気の曲調を生み出すことができ、スピッツの「ロビンソン」、Mr.Childrenの「HANABI」等、数々の日本のヒットソングにも使用されていることもあり、J-POPを制作する人ならば必ず押さえておきたいコード進行の一つです。
コード進行の王道パターンに含まれ、小室進行やカノン進行と並んで世界的にも人気のあるコード進行として広く浸透しています。
王道進行の作り方
王道進行はディグリーネームでいうと「IV–V–Ⅲ–Ⅵ」になり、キーCメジャーだと「F-G-Em-Am」となるコード進行のことです。
4コードからなるシンプルなコード進行です。王道進行は「循環コード」の一種で、ループさせて繰り返し使うことができる便利なコードでもあります。
ダイアトニックコードのサブドミナント(Ⅳ)からスタートするコード進行で、明るい和音(V)から暗い和音(Ⅲm)へ移行する瞬間に感じる、独特のエモーショナルな感じが特徴的です。
王道なPOPな感じは表現しつつ、切なさを織り交ぜたいときには非常に効果を発揮するコード進行で、80年代に流行したユーロビートの影響が大きいとされています。
アレンジをして使う
シンプルな王道進行(F-G-Em-Am)では、ありきたりなサウンドと感じてしまうこともあるので、少しアレンジして使うとより実践的です。
F-G-Em-Amの基本形に7度を足すだけでも雰囲気をガラっと変えることができます。
さらに9thや13th、11thといった緊張感のある音を足したり、add9やsusu4に変えたりすると、さらに個性的なサウンドにすることができます。
さらに切なさを表現したいなら、ノンダイアトニックな7thコードを挿入するセカンダリードミナントや、同じ機能の和音に置き換える代理コードを使うのもおすすめです。
なぜ王道進行を使うと名曲になりやすいのか?
王道進行に限らず、心動かすコード進行は緊張と緩和を巧みに利用することで、聴く人の感情を揺さぶります。
- サブドミナントコード (IV): トニックコードとは異なる安定感を持つコード。
- ドミナントコード (V): トニックコード (I) に対して緊張感を与えるコード。
- トニック代理 (Ⅲm、Ⅵm): ドミナントコードの緊張感を和らげ、安心感を与えるコード。
これらのコードが順番に進むことで、期待感 → 緊張感 → 解放感 → 安心感という感情の波が生まれます。特に王道進行では、タメにタメてからトニックに落ち着くことでドラマチックな効果を与え、聴く人を惹きつけるのです。
音楽プロデューサーの亀田誠治氏は、王道進行について「明るい和音が続くと思わせて暗い和音に繋がる"迫ってきたと思ったら突き離される、答えが出ない情景を作り出すコード"と表現しています。」
王道進行を使った楽曲
ここから、王道進行が使われている人気楽曲をいくつかご紹介します。
スピッツ - ロビンソン
Mr.Children - HANABI
Official髭男dism - subtitle
あいみょん - 君はロックを聴かない
HoneyWorks - 可愛くてごめん feat. ちゅーたん(CV:早見沙織)
まとめ
王道進行は、ポップス、ロック、ダンスミュージックなど幅広いジャンルでよく使用されていおり、「小悪魔コード」や「4536進行」とも呼ばれるコード進行です。
このコード進行を使用することで、メロディーラインも自然と日本人の耳馴染みの良いメロディーになりやすいので、ここぞという場面で使用してみてはいかがでしょうか。
以上、「王道進行とは?J-POPやアニソンで欠かせない魔法のコード進行」でした。