【脱初心者】エレキギターの音作りの極意とは
ギタリストは演奏スキルはもちろんのこと、サウンドメイクのスキルも非常に重要です。
技術が無くても出音が綺麗なら上手く聴こえるし、逆にいくら速弾きのようなテクニカルな演奏でも音がペラペラだとあまり響いてこないものです。
今回は「【脱初心者】エレキギターの音作りの極意」と題しまして、ワンランク上のサウンドメイクについてお話ししていきたいと思います。
良い音とは?
まず、ギターにおける「良い音」とは?
「そんなの好みじゃね?」
確かにテレキャスターみたいな乾いた音だったり、最近のDjent系のデジタルくさい音が好きだったりと色々人によって好みはあるとは思いますが
音の質はまったく違いますが、この音を「悪い音」と感じる人はおそらくいないと思います。
要するにここで大切なのは好みではなく、どうすれば音楽的に「良い音」になるのかということなのですが。それには
・ピッチの正確さ
・周波数帯域
・倍音の豊富さ
・サスティンの長さ
・コードの解像度
これらの要素が非常に重要になってきます。
チューニングは完璧?
「いや、チューニングぐらいギタリストなら誰でも出来るだろ!」
失礼致しました。確かに基礎中の基礎ですが、ここが意外と出来てないギタリストも多いので確認です。
・上下に5セント以上ズレていないか
・ピッキング直後の弦の振れ幅が大きい時にチューニングを合わせていないか
・オクターブチューニング
・弦を押さえる時にベンドしてないか
・1曲弾き終わるごとにチューニングの確認
ギターというのは音程に弱い楽器です。
「演奏してると音程がズレてくる」というのは楽器にとってはかなりの弱点なので、ここは弦楽器の宿命だと思ってしっかりとチェックしましょう。
歪ませ過ぎない
歪みエフェクトは音の解像度や、サスティン、倍音が深く関わってくるので重要です。
『ギターにディストーションをかけるとサウンドに倍音が付加されます。
音に迫力が出るし、ピッキングニュアンスもごまかしが効いて上手くなったような気がします。そして、歪ませ過ぎると「音の芯」がなくなります。』
これはギタリストだとよく言われることなのですが、では具体的に「音の芯がなくなる」とはどういう状態のことで、「芯のある音」とはどんな音なのかを知る必要があります。
実際に音の波形を見てみましょう。
わかりやすいように極端にやりましたが、
同じセッティングのギターで上の画像が「歪みをあまり付けずに弾いた音」です。
聴覚的には迫力の無い音ですが、音の芯である「基音」がしっかりと出ているのが分かります。
次に下の画像ですが、「GAIN全開オラオラサウンド」です。
音量も上がって、倍音が豊富で迫力はあるのですが「基音」が聴こえない状態です。
倍音のほうが膨れ上がり、輪郭が潰れてピッキングニュアンスも無くなっているので、歪ませすぎです。
ここで気を付けるのが、上の画像がロックにとって「良い音」かと言われればそうでもないところです。
GAIN上げ過ぎも良くないですが、歪みが少ないと音の解像度は上がりますが、サスティンと倍音がなくなります。
ここのバランスの見極めがギタリストの腕の見せ所でもあります。
アンプのつまみの特性を理解する
アンプのつまみなのですが
・Treble→高音
・Mid→中音
・Bass→低音
具体的にどれぐらいつまみを回せば、どの周波数帯域がどれくらい変動するのか。これもしっかりと覚える必要があります。
もちろんアンプの種類によって様々で、キャビとの組み合わせやマイキングの位置によっても変わってきます。
DAW(作曲ソフト)に音を取り込んで、先ほどのスペクトラムアナライザを使って解析するのがいいのですが、
そこまでするのはちょっと・・・っていう人は、スマホアプリにもスペクトラムアナライザはあるのでそれを使って実際に測定するのが簡単です。
まず、ボリューム以外のつまみを0にします。
スマホをキャビのスピーカ部分に押し当てて、ギターを鳴らしてTrebleだけ上げたり、Middle、Bassだけ上げたりして周波数の変化を見ます。
慣れてくると耳で聴いてわかるようになってくるのですが、慣れるまでは毎回スペクトラムアナライザを使う癖をつけたほうがいいと思います。
初めのうちは極端に飛び出た音や足りない部分がないかをチェックするだけでも「良い音」に近づけます。
アンサンブルの音の混ざりを意識する
これはバンドでギターを弾く場合の話にはなるのですが、ここを理解するにはそれなりの経験と良い耳が必要になってきます。
具体的には他の楽器との音被りを避けたり、ボーカルのために帯域を空けたりする作業になるのですが、慣れるまではここでもスペクトラムアナライザの使用をおすすめします。
ここで全部を詳しく説明は出来ないのですが例えばボーカルの為に帯域を空ける場合、
まずボーカルの声をスペクトラムアナライザーで測定します。(サビの部分を実際に歌ってもらいましょう)
人によって声は様々なので一概には言えませんが、大体500Hz〜1.5kHzの間に声が突出した部分があると思います。
EQがあればピンポイントでカット出来るのですが、そうじゃなければMiddleを削りましょう。これが俗にいう「ドンシャリサウンド」です。
ドンシャリもしっかりと理に適ったサウンドなんですね。
この500Hz〜1.5kHzはギターにとっても美味しい帯域なので削りすぎには注意です。
同じような容量でベースの帯域も空けると音が棲み分けされて極上のアンサンブルになります。ベースの為に低音をカットするのでギター単体だとペラペラになりますが大丈夫です。ベースを信じて思い切って削りましょう。
まとめ
「良い音」はギタリストにとって永遠のテーマであり、奥が深いです。
今回の内容を毎回実践するのはなかなか大変ですが、意識するだけでも確実に良い音に近づけるはずです。
技術面の向上もいいですが、サウンドメイクもギターの楽しみのひとつですね♪
※実際の曲での具体的な音作り記事もあるのでご覧ください。
SiM – KiLiNG ME ギターの音作り
ONE OK ROCK – 完全感覚Dreamer ギターの音作り
WANIMA – ともに ギターの音作り