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音圧競争「ラウドネス戦争」が音楽に与えた影響

ラウドネス戦争

音圧競争「ラウドネス戦争」が音楽に与えた影響

以前のレコードやCDの時代には音圧を限界まで高めた大音量の音楽が好まれており、プロデューサーやエンジニアの間では、どれだけ音圧を高められるかといった競争が存在しました。

音圧が重要視されていた時代に、どこまで聴覚的なボリュームを上げれるかといった、いわゆる「ラウドネス戦争」が音楽に与えた影響についてお話します。

ラウドネス戦争とは?

ラウドネス戦争は本質的には「大きい音の方が良い音に聴こえる」といった概念に基づいて、自分の音量を限界まで上げて、他の作品よりも優位に立とうとする競争のことです。

大きい音ほど人は「良い音」だと錯覚する現象を利用して、当時はCDやレコードに詰め込める限界まで音を圧縮して、聴覚的な音圧を上げることが求められていました。

音楽的な品質よりも音量を優先することで、楽器本来のサウンドを大きく損なったり、過度なリミッターやマキシマイザーで圧縮したことにより全体のダイナミクスは無くなり、抑揚のない「海苔波形」と呼ばれる現象が起こりました。

海苔波形

ラウドネス戦争の歴史

音楽の音量は昔に比べると確実に大きくなっています。80年代初頭から2000年代半ばまで、全体の音圧レベルは確実に上がってます。

現在で、は1970年代の音楽よりも5dBほど大きくなっており、具体的な数字で言うと、1980年代のロックミュージックの音圧レベルは約-17dBFS(0dBを超えるとクリップし始める)でした。CDが一般的に普及し始めるのは1980年代後半なので、まだラウドネス戦争になるような競争はありませんでした。

1995年にOasisの作品がこの頃の平均的な音圧値を大きく突破し、アルバムのほとんどの曲が-8dBFSくらいにまで上がり、音圧の高い音源に注目が集まります。

その頃から音圧がどんどん上がり、1999年にリリースされたRed Hot Chilli Peppersのアルバム「Californication」では、限界である0dBを超えてクリップしているのが目立ち始めます。


ラウドネス戦争の始まり

80年代のロックミュージックではエンジニアはCDのデジタル録音の0dBFSの上限に注意してミックスが行われていましたが、1990年代には音量の大きさが徐々に優先されるようになります。

エンジニアはさまざまな手法を使用して、自信の作品を他の人の作品よりも大きく聴こえるようにミックス、マスタリングを始めるようになります。1994年にリリースされたWaves社の「L1 Limiter」は音圧を上げるのに非常に効果的だったため、多くのエンジニアが採用し始めます。

L1 limiter
Waves L1 Limiter


ラジオやテレビ、CDなどの消費者向けのメディアもラウドネスを上げる大きな理由の一つとなり、音楽がローテーションされて流れる時に自分の作品が他よりも静かに聴こえてしまうことを多くのエンジニアは嫌がりました。

この頃から、マスタリング工程の一つとして「音圧を上げる」という作業が含まれるようになり、ダイナミクスや音質を犠牲にしてでも、音圧を上げることに注力されるようになります。


音圧を上げることによるデメリット

音圧

過度に圧縮された音楽は長時間リスニングしていると非常に疲れます。抑揚がなく、すべてが前面に飛び出したようなサウンドになり、特に人の耳が認識しやすい2kHz周辺に音が詰め込まれている為、耳に突き刺さるような攻撃的なサウンドになりやすいです。

本来レコーディング時に含まれる楽器本来の繊細なニュアンスはすべて犠牲になり、ドラムのような瞬間的な音よりも、持続性のある音のほうが音圧を稼ぐ為に有利な為、リズム楽器は奥に引っ込められ、グルーヴ感も失われていました。

さらには限界を超えてクリップノイズが発生し、歪んでしまっているような音源であっても「ロックはこういうもの」といった解釈でOKとされていたものも多くあります。


今の最適な音圧は?

音楽ストリーミングサービスごとの最適なLUFS目安はいくつ?でもお話したように、現在はほぼすべてのストリーミング配信サービスで「ラウドネスノーマライゼーション」と呼ばれる音量が正規化されるシステムが組み込まれています。

ラウドネスノーマライゼーションとはLUFS/LKFSという単位を基準に、ある一定値以上の音圧の高い音源は自動で音量を下げるシステムのことです。

つまり、音圧の高い音源を作っても、アップロードした時点でサービス側で-14.0LUFSまで自動的に下げられます。

音圧
両方同じ音圧

もちろん、音圧を上げる過程で失われたダイナミクスは回復しないので、トランジェント(音の立ち上がり)を多く残した音源のほうが有利だといえます。

とはいえ、ジャンルによってはリミッティングされた「圧迫感」のある音源が好まれることもあるので、質感を求めて圧縮されている音源もあります。


まとめ

最適な音量はプラットフォームごとに異なるので、マスタリングでの音圧の測り方について【LUFS】を参考にしながら、正しい音圧に設定することで、ダイナミクスを失うことなく品質の高い状態でアップロードすることができます。

ラウドネス戦争の概念自体はさまざまな場所で利用されており、例えばライブやクラブイベントの時にはメインアクトのときは他よりも音量を上げるといったことも行われています。

また、SoundCloudやBandcampのようにラウドネスノーマライゼーションが適用されずに、アップロードした音源そのままの音圧で再生されるプラットフォームもあるので、そういった環境では有効です。

現在は、活動環境やプラットフォームに合わせて音量を最適化することが重要だといえます

以上、「音圧競争「ラウドネス戦争」が音楽に与えた影響」でした。


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