ピアノ打ち込みをよりリアルに近づける方法【DTM】
今回は打ち込みのバーチャルピアノ、ピアノ音源サンプルをよりリアルな質感に近づける方法についてお話します。
ピアノは周波数レンジが非常に広い楽器で、音質に癖が無く伴奏から旋律まで幅広く対応できることから、どのジャンルにも使用されています。
ピアノのミキシングはDTMやエンジニアにとって、最も重要なスキルの一つとも言われており、ミキシングの基礎を学ぶのにも適しています。
今回ご紹介する内容を取り入れることで、目の前でピアニストが演奏しているようなリアルな質感に近づけることが可能となります。
ヒューマナイズ
まずピアノフレーズを打ち込んだら、ヒューマナイズ(人間化)します。
デジタルのバーチャルピアノの場合、ピアニストが演奏するよりもまったく狂いのない正確な演奏が表現できますが、実際には人間の演奏というのは音量感やタイミングが微妙にズレていて、そこが生演奏の「温かさ」を感じる部分でもあります。
ベロシティの設定
ベロシティを設定することでノートの強弱をつけます。
演奏の強弱を細かくつけることでより、プロの演奏家のようなニュアンスが再現できますが、かなりの作業時間を費やすことになるので、ピアノソロのインストでもない限りはランダマイズ機能で一気に設定しまうことをオススメします。
※以下、具体的な操作方法はFL Studioの場合で説明しています。
これだけでも機械っぽい冷たい感じが消えます。
ストラム機能
続いてストラム機能を使い、ジャストで打ち込まれていたノートを微妙にずらします。
※ピアノ音源はFL Studio標準の「FL Keys」を無加工で使用しています。
EQ
バーチャルピアノに対してよりリアルなサウンドを追求するために、EQを使って音質を整える必要があります。
EQ(イコライザー)を使って不要な音をカットしよう
ピアノのEQは様々なやり方があり、一概には言えませんが一般的なEQの方法をご紹介します。
・150~250Hz付近をピークフィルターで2~3dB程カットします
ここは色々な楽器が集まる場所で、濁りの原因になりやすいです。
・2~4kHz付近を3~4dB程ブーストします。
これはピアノの種類や他の楽器との兼ね合いでも変わりますが、一番綺麗にピアノを聴き取れる周波数帯域です。
・6kHz~ハイシェルフでブーストします。
クリアで輝きのあるピアノサウンドになります。
スプリットEQ
ピアノフレーズにもよりますが、一般的にはピアノは左手でベースラインの低音、右手でコードやメロディの高音部分という具合に分けて弾きます。
ピアノロール上でも低音部分と高音部分に分けて、それぞれにEQをかけることでより細かい音作りが可能となります。
2つのトラックに分けて、それぞれにEQをかけます。
このテクニックはピアノに限らず、周波数レンジの広い楽器の場合はスプリットEQやマルチバンドコンプで周波数ごとに分けて処理したほうが良い結果が得られやすいです。
リバーブ
自然界では残響音(音の跳ね返り)の無い音というのは存在しません。
音の本体と共に壁や天井に跳ね返った音も一緒に聴いています。
バーチャルピアノ音源の無反響の音というのは不自然に聴こえてしまうので、リバーブエフェクトは必須です。
クリアで立体感のあるミックスの為の5つのリバーブテクニック
トラックごとにリバーブを挿し込むのではなく、AUXセンドでリバーブトラックに送ります。
リバーブ信号に対してもEQを使ってフィルター処理しましょう。
まとめ
ここまでピアノ打ち込みをよりリアルにする方法について解説してきました。
最終的な仕上がりがこちら。
ピアノ単体だともう少し200Hzを戻したほうが良かったりと、他の楽器との混ざり具合によってミックスも変わるので、状況に応じて変化させましょう。
今回はフリーのピアノ音源を使用したのでベタ打ち感が凄いですが、もう少しグレードの高い製品だと加工しなくても元からヒューマナイズや、エフェクトがかかっていたりと便利な機能も搭載されています。
SYNTHOGY Ivory II Grand Pianos
以上、ピアノ打ち込みをよりリアルに近づける方法【DTM】でした。