クリアで立体感のあるミックスの為の5つのリバーブテクニックについて
ミキシングにおいてリバーブの使い方を正しく学ぶことは重要です。
空間系のエフェクトはサウンドに立体感を与え、新しい音場空間を生み出すことができます。
使うだけで楽曲に壮大な雰囲気が出る便利なエフェクトですが、使い方を間違えるとサウンド全体のマスキングや濁りの原因にもなります。
今回はよりクリアで立体感のあるミックスを実現する為の、リバーブテクニックをご紹介します。
リバーブ信号のイコライジング
ミックスをクリアにする最も簡単で効果的な方法として、リバーブプラグインの後にEQを挿すというテクニックがあります。
これはAbbey Road Reverb Trick (アビーロードのトリック)とも呼ばれフィルターを使って高音と低音をカットする方法です。
フルレンジのリバーブ信号は単純に楽器を2つ重ねた状態と同じなので、ミックス内の多くの空間を消費することになります。
これを避ける為にも低域の500~600Hzから高域5kHz~7kHzぐらいをカットすることでリバーブによる不要なマスキングを避けることができ、クリアなリバーブ効果をもたらします。
ボーカルトラックに複数のリバーブを使用する
ボーカルトラックに複数のリバーブを使用し、オートメーションを使ってセッションごとに必要に応じてミックスする数を変更します。
非常に有名なテクニックでほとんどのエンジニアやサウンドプロデューサーがこのテクニックを使用しています。
複数のリバーブを使用することで、1つのリバーブだけ使うよりもユニークで面白い効果を得ることができます。
例えばAメロとBメロにはプレートリバーブのみを使用し、サビの部分ではロングテールのホールリバーブと、短めのルームリバーブも追加することで、より壮大で大きなボーカル音像を生み出すことが可能となります。
他にも周波数帯ごとにリバーブの種類を変えたりと、バリーエーションは様々なので、リバーブの種類とその効果についてを参考に色々なリバーブの組み合わせを試してみてください。
モノリバーブを左右に振る
もうひとつの素晴らしいリバーブテクニックは、リバーブ信号をモノラルで左右に振り分けることです。
通常リバーブ信号はステレオで使用しますが、これをモノラルに信号にし、送信先の楽器の反対側へ定位させます。
主にエレキギターのようなダブルトラックで使用する楽器に対して効果的で、左に振ったギターのリバーブ信号のみを右に振り、右に振ったギターのリバーブを左に振り分けることで、より空間を広く利用できます。
リバーブにコンプレッションをかける
これはサイドチェインを利用したテクニックです。
サイドチェインを利用してボーカルトラックのリバーブにコンプレッサーを使うことで、ボーカリストが歌っている間はリバーブ効果を下げ、不必要にドライ信号を濁らすことを防ぎます。
ボーカルが歌い終わるリリース部分になるとリバーブ効果が上昇し、空いた空間を埋めることができます。
ディケイタイムをBPMに合わせる
「ディケイ」とは残響音のテール部分の長さを調節するパラメーターのことです。
特にドラム等のリズム楽器のディケイタイムを楽曲のテンポに合わせて調整することは重要で、【やってはいけない】リバーブエフェクトの5つの間違った使い方でも説明したように、リバーブが足りなかったり、次の音へのリバーブ被りを避けることで、よりクリアなミックスになります。
ディケイタイムの計り方
実際のディケイタイムの計算方法なのですが、通常ディケイタイムは秒/ms単位で測定されるので、60,000をBPMの値で割って4分音符を見つけることで調節ができます。
例えば60,000を100 BPMで割ると600msとなります。これを半分の300msだと8分音符の値になります。16分音符は150ms。
これに従ってディケイタイムを調整することで、楽曲のテンポに合わせたリバーブテールを作成することができます。
以上、クリアで立体感のあるミックスの為の5つのリバーブテクニックについてでした。