サブベースとは?胸に響く迫力のある重低音サウンドの作り方
音楽を聴いている時に思わず体が揺れてしまうような、重くて深い音ってありますよね? 特にクラブやライブハウスで音楽を体感した時、その迫力に圧倒された経験がある人も多いんじゃないでしょうか?
胸に響くような地鳴りサウンドの正体は、今回紹介するサブベースです。人間の耳でギリギリ聞こえるか聞こえないかの低音が出力されており、これが音楽に深みと迫力を与えてくれています。
今回は、サブベースのサウンドの秘密や作り方について解説していきます。
サブベースとは?
可聴周波数スペクトル(人間が聞き取れるのは20Hz~20kHz)のうち、20Hz~60Hzという、最も低い帯域を占めるのがサブベースです。この帯域は人の耳では聞こえにくい音域なので、音を聴くというよりは、音を「感じる」ようなもので、ライブコンサートやクラブで胸に響き体中を振動させている正体こそ"サブベース"なのです。
音楽の土台を支えるとされる低音域には、通常は、キックドラムやベースなど「低音」と「サブベース」の2種類があります。どちらも低い周波数帯域のことを指しますが、その役割や特徴は大きく異なります。
60~250Hzの範囲にある「低音」は、人間が聴覚で捉えやすい周波数帯域で、楽曲に深みと豊かさを与えます。一方で、「サブベース」の帯域は、20Hz~60Hzのさらに低い周波数帯域で、低音再生能力の高いリスニング機器でなければ再生が難しい音域です。サブベースは楽曲にインパクトと重厚感をもたらします。
コンサートで体感する轟くような重低音は、まさにこの「サブベース」が生み出すものです。このように、「低音」と「サブベース」は、どちらも音楽の土台を支える重要な要素ですが、周波数帯域や音楽に与える影響において大きな違いがあります。
サブベースの種類
実際にトラックにサブベースを加えるとき、色んな種類のサブベースが存在します。
サイン波サブベース
サイン波サブベースは、そのシンプルさゆえに汎用性が高く、ミックスに深みを加えるのに最適です。アンビエントやR&Bなど、繊細さが求められる楽曲によく使われており、倍音が少ないので他の楽器とぶつかる心配も少ないです。
矩形波サブベース
矩形波サブベースは、サイン波よりも倍音成分が豊富で、ダブステップやDrum'n Bassのようなよりアグレッシブなジャンルによく合います。ハーモニクスが加わることで、特に音数の多いミックスでも耳で認知しやすくなり、存在感を発揮することができます。
808サブベース
「808」と呼ばれるサブベースは、ヒップホップ、トラップ、エレクトロミュージックでは定番のサウンドとして重宝されています。Rolandの「TR-808」リズムマシンに由来するキックドラムの音で、サイン波をベースに、徐々に減衰していくサウンドが特徴です。ディケイの変化やピッチドロップ、サチュレーションなどのエフェクトで自在に操ることができます。
808ベースのミキシングテクニック【Hip-hop, Trap】
サブベースのミキシング方法
先述したように、サブベースは音域が低すぎるので、一般的なリスニング機器ではほとんど聞き取れない可能性があります。そういった場合にサブベースに存在感を与えるため、サブベースを重ねて使う「レイヤー」テクニックが欠かせません。
しかし、超低音域であるローエンドミックスは、ミキシングの中でも難易度の高い部類に入り、上手に重ねないとミックス全体が濁ってしまったり、エネルギーが大きすぎて他の楽器に干渉することがよくあります。
オクターブずらして配置する
ベースをレイヤーする場合は、まずメインのベースに干渉しないような、補完的な音色のサブベースを選びましょう。通常はシンプルなサイン波などがよく使用されます。次に、オクターブを調整します。サブベースをメインベースより1オクターブ下に配置すると、メインとの音のぶつかりを軽減できます。
エフェクトで整える
レイヤーする場合は、EQによるイコライジングも非常に重要になります。ハイパスフィルターでメインベースの低域をカットして、サブベースの為のスペースを確保しましょう。次に、リミッターやコンプレッサーで音量のばらつきを抑え、サイドチェインコンプレッションでキックドラム等の他の低音楽器との住み分けを図るのも効果的です。
倍音を加える
再生環境によってはサブベースが聞こえにくい場合があるかもしれません。そんな時は、少しだけサチュレーションを加えたりして、サウンドに「倍音」を加えることで、ローミッド辺りが自然に持ち上がります。こうすることで、安価なスピーカーやイヤホンなどの低音再生能力が弱いシステムでも存在感が増します。
サブベースのキーを考える
実際に自分の楽曲にサブベースを取り入れるときには、適切な「キー」を選ぶことが重要です。サブベースの音域は非常に低いので、綺麗に鳴らすには特定の音域に収めるようにする必要があります。
一般的に、エレクトロやHIPHOP等のジャンルでは、サブベースが心地良く再生できるF(約43.65Hz)からA(約55Hz)の間が最適なキーとして決定されることが多いです。この範囲は、物理的な振動を感じさせるのに十分な低さを持ちつつ、ライブスピーカーやサウンドシステムで正しく再生可能な高さの為です。
さらに低い周波数で作られる場合もありますが、すべてのサブウーファーが正確に再生できるわけではないので、アーティストの意図した低域がリスナーに伝わらない可能性があります。
おすすめの「サブベース」プラグインソフト
プラグイン市場には、サブベース生成を得意とするプラグインも多く販売されています。慣れないうちは自分で作るよりもサブベースに特化したプラグインを使用することで簡単にローエンドを強化することが可能なのでおすすめです。
Bass Master
簡単な操作でスピーカーを揺るがすような重厚なサブベースが得られます。
このプラグインは完全に低音専用に設計されており、海外のプラグイン販売の最大手「Loopmasters」受賞歴のあるサウンドエンジンに基づいて構築されています。
Bass Masterは多くの音源ソースを備えており、 伝説的なハードウェアクラシックと最先端のシンセサイザーの両方から217の波形のセット(組み合わせは50,000通り以上)に及び、 あらゆるジャンルのパワフルなベーストーンに最適です。
Bass Master
808 Studio 2
808 Studio 2は、最先端の品質の808ベース用に設計されており、ヒップホップやトラップはもちろんのこと、強力なサブベースシンセを必要とするあらゆるジャンルに最適です。
サンプラー、ローパスを備えた2つの追加オシレーター、シーケンス機能、サチュレーション、コンプ、EQ、フィルター等の豊富なエフェクトを搭載。
出来ることが多いので他と比べると操作は複雑ですが、自分でサブベースサウンドを作り込みたいという方におすすめのプラグインです。
808 Studio 2
まとめ
サブベースは、トラックに深みと迫力を与える、まさに縁の下の力持ちとしての役割を担っています。20Hz~60Hzという低周波数帯域で、耳で聴くよりも、体で感じるような重低音が特徴です。
サブベースを効果的に使うには、レイヤーやEQなどのテクニックが重要で、適切なキーを選ぶことも大切です。特にFからAの間の周波数は、多くのシステムで再生可能なためおすすめです。
自分で作るのが難しいと感じたら、サブベース専用のプラグインソフトを使ってみるのも良いでしょう。これらのツールを活用すれば、誰でも簡単に迫力のあるサウンドを作ることができます。
以上、「サブベースとは?胸に響く迫力のある地鳴りサウンドの作り方」でした。
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