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EQ(イコライザー)プラグインの間違った5つの使い方

EQの間違った使い方

EQ(イコライザー)プラグインの間違った5つの使い方

EQ(イコライザー)プラグインは、音楽制作やオーディオ編集において非常に役立つツールですが、誤った使い方をすると、音質が劣化したり、目的とは違ったサウンドになってしまう可能性があります。

今回は、EQプラグインの間違った使い方について探求していきます。

イコライザーとは?

EQとはオーディオソースの周波数ごとの音量を調整できるツールで、音を平均化する為に使うことを目的としたエフェクトです。

ボリュームフェーダーでは全体の音量を調節することができますがEQを使用すると、そのサウンドの特定の周波数をブーストしたり、カットしたりすることができます。

イコライザー

このように特定の周波数をカットしたり、他の周波数をブーストしたりすることで、トラックごとのトーンを調整し、楽器の音質を変えることができます。

EQを使って楽器のサウンドを大きく変えることはおすすめしません。例えばエレキギターの音がスカスカに聴こえてしまう時には、EQでローミッドをブーストするよりも、アンプ側でローミッドを足し、再び録音するほうが遥かに音質は良くなります。

レコーディング段階で必要なトーンを決定しておき、EQを使用する場合は微量の修正を加える程度にしておきましょう。

周波数スペクトルについて学ぶ

EQの使い方を実際に学ぶ前に、周波数スペクトルについて学ぶ必要があります。

周波数スペクトルとはオーディオ信号の成分を解析し、目視できるように波長の順番に並べたものです。一般的には人間の可聴範囲である低音側は20Hz、高音側は20kHzに設定されていることが多いです。

イコライザー

年齢を重ねるにつれて高音域の可聴範囲は下がっていき、目安として10代で18kHz、20代で16kHz、30代で15kHzくらいにまで下がります。実際には聴こえていなくても、全体でみると何かしらの影響は受けているので(圧迫感や空気感)可聴範囲外だからといって無視することはできません。

低域側はライブハウスやクラブのような大規模なサウンドシステムを使用している場合は、20Hzの超低域でも再生することができますが、一般的なリスニング機器ではほとんど再生できない帯域です。

周波数スペクトル全体を次の5つの帯域に分けることができます。

  • 超低音域(20~60Hz)
    60Hz未満の超低音域は大型スピーカーやサブウーファー、高品質なヘッドホンが必須となる帯域です。ズンズンと胸に響くような感触。
  • 低音域(60~200Hz)
    低音域は一般的なリスニング機器であってもほとんどが再生されます。キック、ベース以外にも様々な楽器の低音部分が重なり合います。
  • 低中音域(200~600Hz)
    ローミッドと呼ばれる帯域で、様々な楽器の「芯」が集まる場所なので重要です。ギター、ボーカル、シンセサイザーといった主役級の楽器がひしめき合います。
  • 中音域(600Hz〜3kHz)
    中音域の中でも特に1.5k~3kHz付近は人間が最も聴き取りやすい「スウィートスポット」です。1番聴いてほしいリード楽器をここに配置すると前面に出てきます。
  • 高中音域(3~8kHz)
    煌びやかさが出ますが、耳に突き刺さるような攻撃的な音域でもあるので注意が必要です。ボーカルやギターの高音。
  • 高音域(8kHz~)
    シャキシャキした帯域。特に12kHz以上はエアー感を持たせるのに重要です。シンバルやシンセサイザーの帯域。

以上がざっくりとした周波数スペクトルの概要になります

それでは、ここから間違ったEQの使い方について解説していきます。

1. 過度な周波数カット

EQ

過度な周波数カットは、EQを使う際によく見られる誤った使い方の一つです。

周波数カットは、特定の周波数範囲の音量を下げる効果を持ちます。しかし、過度なカットは音楽のバランスを損ない、望まないサウンドになることがあります。

過度な周波数カットの問題点はいくつかあります。まず、楽曲全体の自然さやトーンバランスが崩れることがあり、特定の周波数帯域を極端にカットしてしまうと、楽曲の奥行きや存在感が失われてしまいます。

さらに、周波数カットはトラックの相互関係にも影響を及ぼします。例えば、ボーカルの周波数範囲を大幅にカットすることで、他の楽器とのバランスが悪くなり、ミックス全体が不自然に聞こえる可能性があります。

他の楽器とのバランスを保つために、必要最低限のカットに留めるよう心がけましょう。

EQハイパスフィルターの使い方と注意点

2. ブースト方向に使い過ぎる

EQ

過度な周波数ブーストは、EQの使用において慎重さが求められるポイントです。

過剰な周波数ブーストにはいくつかの問題が存在します。まず第一に、特定の周波数を極端に上げると、他の音や楽器とのバランスが崩れてしまい、自然な響きや聴き心地が損なわれる可能性があります。

さらに、過度なブーストは音の歪みやクリッピングを引き起こすことがあります。特に、マスタリングの段階で過剰なブーストを行うと、音質が劣化し、聴衆に不快な印象を与えることがあります。

適切な周波数ブーストを行うには、バランスを考慮することが重要です。特定の周波数範囲を強調する場合でも、全体の音楽に対して適度なブーストを行い、他の要素との調和を保つよう心がけましょう。

3. プリセットに依存しすぎる

EQプリセット

プリセットとは、あらかじめ設定されたEQパラメータをまとめたものです。プリセットを使うことで一般的な音楽ジャンルやスタイルに対して、あらかじめ決められたEQ設定を適用することができます。

プリセットを使うことで素早く目的のサウンドに辿り着くことができますが、しかし、プリセットへの過度な依存はいくつかの問題を引き起こす可能性があります。

まず第一に、プリセットはメーカーが推奨する一般的な設定であることがほとんどで、すべての音楽や楽器に対して最適なわけではありません。音楽の個性や楽器の特性に合わない場合、望ましくない結果をもたらすことがあります。その為、必ず自分の作成しているトラックや楽器の特性に合わせて微調整する必要があります。

EQは自分自身の耳や感覚に基づいて調整することで、独自のサウンドを生み出すことができます。プリセットに過度に頼らず、自分の耳と経験を活かして調節するようにしましょう。

イコライザー(EQ)を使って不要な音をカットしよう

4. 極端なスウィープEQ

スウィープEQテクニックは狭いQ幅でブーストし、不快な音が見つかるまで左右にスウィープする方法です。

不快な音が見つかったらそのポイントで止めてマイナス方向に下げる(3~6dB)ことで、共鳴音のみをピンポイントでカットすることができます。

飛び出した共鳴音をカットするのに便利なテクニックですが、極端に狭いQ幅で、最大までブーストしてスウィープする方も多いのではないでしょうか?

細くてブーストしすぎた状態だと、どの周波数帯域でも不快な音に聴こえるので、少し太めのQ幅で、3~6dBくらいのソフトなブースト幅で探してみましょう。

5. メーターに頼った設定

EQメーター

EQソフトのメーターや周波数スペクトルだけを見て、EQの設定を行うこと時には注意が必要です。

EQの各種メーターを確認しながら調整を行うことで、直感的で素早いイコライジングが可能ですが、視覚+耳で確認しながら調整することをおすすめします。

例えば、カットする時には「一番飛び出した周波数帯域に対して、1.4のQ幅で、大体-3dBくらいカットする。」といったような、毎回なんとなく決まったパラメーター値で使用してしまっている方も多いのではないでしょうか。

特に特定の楽器に対して、決まったEQ設定値を適用する方は多いとは思いますが、EQを使うときには、数値よりも、耳で聴きながら判断して調整することが重要です。

まとめ

EQ(イコライザー)プラグインの間違った5つの使い方は以下の通りです。

  1. 過度な周波数カット
  2. ブースト方向に使い過ぎる
  3. プリセットに依存しすぎる
  4. 極端なスウィープEQ
  5. メーターに頼った設定

EQ(イコライザー)プラグインは、音楽制作やオーディオ編集において非常に有用なツールですが、正しい使い方をしないと音質が悪化したり、意図しないサウンドになることがあります。

最近のEQプラグインはGUIが優れているので、視覚効果に頼りがちですが、耳で聴きながら最適なバランスになるように調整することが大切です。

以上、「EQ(イコライザー)プラグインの間違った5つの使い方」でした。


イコライザー(EQ)の使い方を徹底解説【DTM】

ハイスペックEQ(イコライザー)VSTプラグインおすすめ10選【DTM】

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