リードギターの表現力を上げる!空間系エフェクトで壮大なサウンドにする7つの方法
1960年代の初め頃に「スプリングリバーブ」がギターアンプに搭載されて以来、リバーブはギタートーンに欠かせないエフェクトとして重要視されてきました。その壮大かつ魅惑的な響きは、ギタリストのみならず、エンジニアやプロデューサーにとっても音楽制作に欠かせないツールとして広く活用されています。
特にリードギターやギターソロ時においては、ディレイやリバーブの空間系エフェクトを使ってサウンドに奥行きや壮大さを付与することは重要です。さみしい音になりがちなハイフレットの単音フレーズであっても、反響音を上手く利用することで、肉厚でジューシーなトーンを入手することができます。
そこで今回は、ギターミックスにおいて、リバーブを最大限に活用するためのいくつかのテクニックをご紹介します。
1. 空間系は後ろの方に配置する
リバーブやディレイといった空間系エフェクトは、音に広がりや奥行きを与える効果があり、エフェクトチェーンの後ろに配置することで、より自然な響きを演出できます。例えば、歪みエフェクトの前にリバーブをかけると、歪み成分も一緒にリバーブがかかってしまい、不自然な広がりになる可能性があります。
アンプの歪みを利用している場合は、なるべくセンド&リターン端子を使ってプリアンプ部分をパスすることで、歪みの後ろに空間系エフェクトを配置することができます。
2. ハイパスフィルターで低音をカットする
空間系エフェクトを適用するときには、200Hz辺りからハイパスフィルターをかけて余計な低音をカットすることが大切です。そのままにしていると残響によるモワモワっとした低音が残ってしまい、濁ったようなサウンドになりがちです。
また、原音の輪郭をキープしたいときには1k〜4kHzからローパスフィルターをかけて、ギターのジャキ!っとしたサウンドが抜けるようにすると効果的です。
3. 原音に被らないように処理する
空間エフェクトによる残響が原音に被らないようにする為に、ディレイをピンポンディレイのような左右に広がるものにしたり、リバーブのプリディレイを長めにとって(100ms程度)遅れて残響が付いてくる感じにすると効果的です。
あえて一歩後ろに引いたようなポジションにしたい場合はいいですが、ギターソロのようなしっかりとセンターの前面で鳴らしたい場合は、なるべく原音に残響音が被らないように処理することを意識してみましょう。
4. ディケイタイムに注意する
リバーブパラメーターの中でもDecay(ディケイ)は最も重要です。ディケイはリバーブエフェクトでシミュレートされている「空間サイズ」を決定するパラメーターで、リバーブ音がどれくらいの時間をかけて消えていくかを決定します。
設定値はリバーブを使用する目的や、曲の種類、テンポによって異なるので一概にはいえませんが、注意すべきことは長いリバーブテールが重なり合って、ミックスが濁ってしまうことです。
特にバンドサウンドのようなアンサンブルをミキシングする場合、一度にたくさんのリバーブを使うこともあるので、それぞれのリバーブテールがどれだけ重なっているかに注意する必要があります。
→クリアで立体感のあるミックスの為の5つのリバーブテクニック
5. 残響音にエフェクトを適用する
もしDAWを使った音楽制作の場合は、リバーブ信号をAUXチャンネルに送ることでリバーブ音のみに対してエフェクトをかけることができます。
リバーブの後に挿入するエフェクトとしてEQ、コンプレッション、サチュレーション、さらにモジュレーションなどを使用することで、さらに残響音に対してキャラクターを付与することができます。
ギターを何本か重ねて録音する場合にも、まとめてAUXチャンネルに送ることでCPU負荷を軽くしたり、同じ場所でレコーディングしたような効果が期待でき、空間表現に統一性を持たせることができます。
→リバーブの種類とその効果について
6. 付点8分ディレイ
ディレイタイムを「付点8分音符」に設定することで、残響音に独特のリズム感と浮遊感を与えることができます。付点8分音符は4分音符の3/4の長さの音符で、ディレイタイムを楽曲のテンポの付点8分音符に設定することで、原音とディレイ音が絶妙なタイミングで重なり合い、独特なリズム感が生まれます。
この付点8分ディレイの設定は、もともとは人気バンド「U2」が使用したことで有名になり、特にクリーンのアルペジオやバッキングで効果を発揮します。付点8分音符のディレイは、曲のテンポによってディレイタイムが変わりますが、一般的には300ms〜500ms程度の範囲で設定されます。
7. ショートディレイによるダブリング効果
ショートディレイによるダブリング効果は、短いディレイタイム(20〜50ms程度)に設定することで音が重なりあうように聞こえ、あたかも同じフレーズを2回演奏しているかのような厚みと広がりをサウンドに与えるテクニックです。
ディレイタイムを短くすることで、原音とディレイ音が一体となり、2つの音が同時に鳴っているような錯覚をを与えることができ「ハース効果」を使って左右に広がる音像を生み出すこともできます。ディレイレベルを原音より少し下げ、フィードバックを1回だけ返るように設定することで、より自然なダブリング効果が得られます。
まとめ
リードギターに空間系エフェクトを使用する際の7つのテクニックをご紹介しました。
- 空間系は後ろの方に配置する
- ハイパスフィルターで低音をカットする
- 原音に被らないように処理する
- ディケイタイムに注意する
- 残響音にエフェクトを適用する
- 付点8分ディレイ
- ショートディレイによるダブリング効果
空間系エフェクトは、使い方次第でギターサウンドをより魅力的なトーンにすることができますが、間違った使い方をすると「濁り」の原因にもなるので注意が必要です。
空間系エフェクトは奥が深く、今回ご紹介したテクニック以外にも様々な活用方法があります。基礎的なサウンドメイクから始めて、慣れてきたら自分だけの音作りを楽しんでみてください。
以上、「リードギターの表現力を上げる!空間系エフェクトで壮大なサウンドにする7つの方法」でした。
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