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DTM

808ベースのミキシングテクニック【Hip-hop, Trap】

2019年11月30日

Roland TR-808の画像

808ベースのミキシングテクニックについて

現在のHip-Hop,Trapミュージック制作に欠かせないのが、この808(エイト・オー・エイト)と呼ばれるRoland社のTR-808から生成させるベースサウンド。

1983年に1万2千台しか製造されず、当時の価格で15万円で販売されていた製品であるにも関わらず、2020年になろうとしている現在、世界の音楽シーンを担う音源サンプルとして世界中で使われています。

808ベースの概要

808のベース音は、正弦波発振器によって作られ、深みのあるパワフルな低周波音を発生させることができます。通常は、このベース音をフィルターやエンベロープジェネレーターで処理することで、独特のキャラクターを持たせて利用されています。

サウンドの特徴としては、パンチの効いた低音と、長い減衰時間によるサスティーン、そして地鳴りのようなローエンドを併せ持った独特なサウンドを鳴らすことができます。

808ベースは、今ではヒップホップ、電子ミュージックにおける象徴的なサウンドとなり、多くのプロデューサーやアーティストが、パワフルで印象的なベースラインを作り出すために使用しています。

もしTR-808が生まれなければ今の音楽シーンが無かったと思うと日本の技術力はさすがといったところでしょうか。それでは、続いて808ベースのミキシングについて解説していきます。

※わかりやすいよう音声も一緒に貼っていますが、サブベースと呼ばれる非常に低い音域を使っているため、スマホのスピーカーや安価なイヤホンでは上手く再生されませんのでご注意ください。


良質な808ベースサンプルを入手

808波形の画像

実際に楽曲制作で使う場合は808ベースをシミュレートした音源サンプルを使うことが多いです。808ベースに限らず、ミックスにおいてまずは良質な音源を入手することが最も重要で、最終的な音源クオリティや製作時間に大きな影響を与えます。

現在アレンジを加えられた様々な種類の808サンプルがネットに出回っていてますが、その中から良質なサンプルを見つけ出し使用することが重要となってきます。

個人的にはオリジナルのRoland TR-808の音源も含まれている、こちらのWave Alchemyの「808 Drums」というサンプルパックがおすすめです。その他Hiphop製作に必要な音源も豊富に含まれています。

808ベース

高品質なサンプルパックメーカーおすすめ13選【DTM】

808のピッチ修正

808ベースは長く伸びるテールが特徴的で、音程感が出やすいので気を付けましょう。その為、プロジェクトのキーや、他の楽器に合わせたり、状況に応じて808のピッチ修正が必要になります。

あまり大きく修正すると波形が崩れてしまうので、耳で判断して使えないと思ったら諦めて違うサンプルを探すことをおすすめします。

FL Studioの場合は「Edison」を使ってサンプルのピッチ確認ができます。

ピッチ確認の画像

確認の方法がわからない場合はスペアナを使用して周波数を見て確認する方法もあります。

スペクトラムアナライザの画像

サンプルのピッチ修正のやり方はソフトウェアごとに異なるので、それぞれご利用のDAWのやり方に従ってください。ちなみにFL Studioの場合はサンプラーの「Pitch」から変更できます。


楽曲キーの選定

みなさんは楽曲のキーを決めるときにどうやって決めますか?

ほとんどの場合ボーカルの最高音やおいしい音域に合わせて選ぶと思いますが、Hip-hopやTrapといったジャンルでは曲中の最低音である「808」に合わせて選定することが多いです。

※状況によって他のパートに合わせる場合もあります。

クラブやフェスのような大音量で鳴らした場合に、一番綺麗に響く帯域が「F=44Hz辺り」だとされています。これ以上低い音域だと、家庭リスニング環境だとまったく聴き取れなかったり、アンサンブルの響きが濁る可能性があります。


ゴリゴリのトラップミュージックじゃない限り、FGぐらいを目安にキー設定するのが無難でしょう。

ピアノロールで打ち込む

それでは、実際にピアノロールを使って打ち込んでいきたいと思います。

ピアノロールの画像


808ベースがミックスの中にうまく収まっていることを確認しながら、ピアノロールで打ち込む際には、エンベロープに注意して打ち込むようにしましょう。

エンベロープの画像

これをしないとワンノートごとにサンプルの頭から最後まですべて再生されるので、テール部分が次の音に被るような形で再生されてしまいます。

他の楽器と被る場合には、EQを使って不要な帯域をカットしておきましょう。

808にキックをレイヤーする

キックレイヤーの画像

808ベースはほとんどが低音成分で、アンサンブルに混ざるとパンチが足りないのでキックドラムを重ねて使うことが多いです。

※サンプルの中には、もとからキックを重ねてあるものも多いので注意してください。


重ねるキックサンプルもこだわった方がいいのですが、今回はFL STUDIO標準のキックサンプルをレイヤーします。

FL STUDIO 搭載のCB KICKを使用します。

なるべくキックも808に合わせるか5度上の音程になるように調節すると、綺麗に重ね合わせることができるので、濁っていたり少しこもった感じがする場合は試してみてください。

今回は少しテールが長いので、キック終わりに上手く808が重なるようにEdisonを使ってカットしました。

サイドチェインによるダッキング

次にサイドチェインを使ってキックが踏まれた瞬間に808側の音量が下げるように設定します。

  1. 808とレイヤーしたキックをミキサーに挿し込みます
  2. レイヤーキック側のトラックを選択状態にします
  3. 808のトラックの一番下の部分を右クリック
  4. Sidechain to this trackを選択
サイドチェインの画像

これでキックが808にサイドチェインされました。

続いて808側に「Fruity Limitter」のプラグインを挿し込み、エフェクト内部の「SIDECHAIN」部分を右クリックして「Kick」を選択します。

サイドチェインの画像

リミッターの設定値は、大体1/3~1/2くらいダッキングする感じで合わせています。


こんな感じでキックと808に一体感が生まれます。

サチュレーションでパンチを加える

サチュレーション

808ベースにサチュレーションやディストーションを加え、倍音を付与することで、ミックスの中でより存在感のあるサウンドにすることができます。

激しいコンプレッション効果もあるので、より図太い、深みのあるサウンドに仕上げることができます。さらにパンチが欲しい場合や、ミックスの中で埋もれているなと感じたときに試してみてください。

まとめ

基本的な808ミキシングについては以上となります。

あとはお好みに合わせて、コンプでパツパツにしたり、ディストーションをかけて更に太くしたりして加工してもいいですが、あまりやりすぎると良くないので、ほどほどに。

Hip-hopにとって心臓となる一番大切な部分なので、たっぷり時間をかけて調整することをおすすめします。

更に詳しく知りたい方は動画でも解説しているので、合わせてご覧ください。



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