コード進行の王道パターン5選【派生コードも紹介】
いざ作曲を始めようと思ってもコード進行が分からなかったり、楽曲のイメージに合ったコード進行の作り方が分からなかったりすることってありますよね。
自分でゼロからコード進行を考えるのもいいですが、まだ作曲に慣れていない初心者の頃は、人気の楽曲や作りたいイメージに近い楽曲のコード進行を参考にしながら作るのがおすすめです。
そこで今回は邦楽のヒットソングによく使われている王道パターンのコード進行を5つご紹介します。
コード進行を決めるコツ
コード進行とは、音楽で使用される2つ以上のコードの流れのことで、邦楽の多くはセクションごとにコードの順番を変えて楽曲の展開をアレンジすることが一般的です。
曲のストーリーをリスナーに伝える為に大きな役割を果たし、どのコードをどういった順番で配置するかでハッピーな楽しい雰囲気にしたり、反対にダークで悲しげな空気感を漂わせることも可能になります。
作りたい楽曲イメージに合うコード進行がバッチリ決まれば、コードの流れに基づいてリードメロディやベースラインなど、トラックに必要な他の要素も簡単に思いつくようになります。
作りたい音楽ジャンルによっては、単純で繰り返されることの多い予測可能なコード進行や、複雑で少し不安定なものまで様々なので、あらかじめ作りたい音楽の既存曲を聴いて、どのようなタイプの進行が使用されているかを確認しておくことも重要です。
ディグリーネーム
音楽のキーに関係なくコード進行を理解する為に「ディグリーネーム」と呼ばれる度数表記を用いることが一般的です。
ローマ数字を使って表記することで、どのキーで各種コードがどのように機能するかを把握しやすいので、覚えておくと非常に便利です。
※ディグリーネームについては【主要三和音】ケーデンスについて | 作曲に役立つ音楽理論の記事内でも触れているので合わせてご覧ください。
前置きが長くなりましたが、ここから王道コード進行を5つご紹介していきます。
1. Ⅳ→Ⅴ→Ⅲ→Ⅵ進行(F→G→Em→Am)
世界中で多くのヒットソングに使われているコード進行で、別名「王道進行」とも呼ばれるほどです。
音楽をやっていない人でも非常に聴きなれた耳馴染みの良いコード進行なので、アーティストもここぞという時にはよく使うイメージがあります。
どんな楽曲にも合う抜群の安定感が得られるので、これから始める方もとりあえずこの「王道進行」で一曲作ってみてはいかがでしょうか。
Ⅳ→Ⅴ→Ⅲ→Ⅵ進行を使ったヒットソング
Ⅵm→Ⅳ→Ⅴ→Ⅰ進行(Am→F→G→C)
少し懐かしさも感じるコード進行で、1990年代、2000年代のJ-POP全盛期と呼ばれた時代に多く使われた進行です。
当時人気の作曲家である小室哲哉さんがよく使っていたので「小室進行」と呼ばれていますが、最近だと米津玄師さんがよく使っているので「米津進行」に改名してもいいんじゃないかと思っています。
少しダンス要素の強いエレクトロ系ミュージックとの相性が良く、少し切ないメロディーによく合うのでエモい楽曲を作りたいときに使ってみてはいかがでしょうか。
→EDMでよく使われているコード進行5選
Ⅵm→Ⅳ→Ⅴ→Ⅰ進行を使ったヒットソング
3. Ⅳ→Ⅰ→Ⅴ→Ⅵm進行(F→C→G→Am)
洋楽によく使われているコード進行で、最近だとK-POPにもよく使用されている印象があります。
何回も繰り返しループさせても自然な響きが得られるコード進行なので、1曲通してこのコード進行だけという楽曲も非常にたくさんあります。
昔はパンクロック系アーティストがよく使用していたことから「POP PUNKコード」とも呼ばれています。
Ⅳ→Ⅰ→Ⅴ→Ⅵm進行を使ったヒットソング
4. I→V→VIm→IIIm→IV→I→IV→V進行(C→G→Am→Em→F→C→F→G)
結婚式でお馴染みクラシック曲、パッヘルベルの「カノン」に使われているコード進行です。
「このコード進行を使えば売れる!」とまで言われ、300年以上愛され続けてきた魔法のコード進行です。
ヒットソングの中でも長年愛され続ける国民的な名曲に多く使われているイメージがあります。
カノン進行にはヒットソングを生み出す為のヒントが多く詰まっているので、興味がある方は一度カノンについて勉強してみるのもありです。
→カノン進行とは?【ヒットソングを生み出す魔法のコード進行】
I→V→VIm→IIIm→IV→I→IV→V進行を使ったヒットソング
5. Ⅰ→Ⅴ→Ⅵm→Ⅳ進行(C→G→Am→F)
ビートルズの「Let it be」で使われているコード進行なので「Let it be進行」とも呼ばれていて、哀愁漂う響きが特徴的なので日本だと別名「感動コード」とも呼ばれていたりもします。
カノン進行と同じC→G→Amの流れで始まるので、長年愛される伝説的な名曲に使われている印象です。
特に洋楽のヒットソングに多く使われているので、洋楽を意識した感じの音楽を作りたい場合に使ってみてはいかがでしょうか。
→これを使えば名曲に!人気のコード進行5選
Ⅰ→Ⅴ→Ⅵm→Ⅳ進行を使ったヒットソング
【オマケ】王道コード進行の派生進行
以上の5つのコード進行は名曲を生む素晴らしい進行であることは間違いないのですが、非常に多くの楽曲に使われているので、人によっては「ありきたり」と感じてしまうかもしれません。
そこで、ここからはそんな王道パターンを少しだけアレンジした派生進行パターンをいくつかご紹介します。
Ⅳ→Ⅴ→Ⅰ→Ⅰ7進行(F→G→C→C7)
最初に紹介した王道進行の最後をドミナントセブンスにしたパターンです。
次に続く感じが強くなるので、繰り返し使うよりも1周目はこのパターンで2周目は王道進行に戻すと自然な流れになります。
Ⅵm→Ⅳ→Ⅰ→Ⅴ進行(Am→F→C→G)
小室進行のⅥm→Ⅳ→Ⅴ→Ⅰのパターンの最後を入れ替えた進行です。
強進行が続くF→G→Cのパターンを崩すことで「ありきたり」感が少し薄れます。
Ⅰ→Ⅴ→Ⅱ→Ⅲm進行(C→G→D→Em)
Let It Be進行の後半部分を変化させたパターンです。
ダイアトニック内のDマイナーがDメジャーとして登場していることで、独特の浮遊感が生まれています。
まとめ
コード進行の王道パターンとそこから派生する形をいくつかご紹介しました。
コード進行の使い方になれてきたらコード進行の基礎であるケーデンスについて勉強したり、ダイアトニックコードの仕組みを理解することで、楽曲に合わせたオリジナリティのあるコード進行を作ることもできるので、興味のある方は調べてみてください。
以上、「コード進行の王道パターン5選【派生コードも紹介】」でした。