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個人ミュージシャンが自分で音楽をリリースするまでの流れ【アレンジメント編】

2022年4月2日

アレンジメント

個人ミュージシャンが自分で音楽をリリースするまでの流れ【アレンジメント編】

個人ミュージシャンが自分で楽曲を作成する為の準備、アイディアを練り、最終的には音源をリリースするまでの流れをご紹介しています。

これまで

個人ミュージシャンが自分で音楽をリリースするまでの流れ【作曲準備編】
個人ミュージシャンが自分で音楽をリリースするまでの流れ【作曲アイディア編】

とやってきたので、初めての方は以前の記事からご覧ください。

作曲と編曲の違い

作曲と編曲の違い

これまで作曲についてご紹介してきましたが、多くのトラックメーカーをつまずかせるのは、作曲の次のステップにあたる「編曲」です。

現代のDTMのような環境では作曲と編曲を同時進行で行うクリエイターも多いことから、作曲と編曲の違いについてはあまり意識していない人も多いかと思います。

編曲を簡単に説明すると、色々な方法で生み出した作曲アイディア(主にメロディー)に対して、コードやリズムといった要素を追加して、音楽の良さをさらに引き出せるようにトラック全体を華やかに彩るために様々なアレンジメントを施す工程です。

アレンジプロセスはより深い音楽的知識が必要となり、最近ではDAWの中でシンセサイザーやサンプル音源といった音色の選択やサウンドメイクも含まれるので、ソフトウェアを使いこなすスキルも求められます。

音楽を組み立てる

アレンジメントの最初のステップは、音楽に何が欠けているか、どれくらいトラックを追加する必要があるか等、広い視点でプロジェクト全体を判断することです。

サビに向かって盛り上がるような流れになっているか。コード楽器の音域は適切か。シンセパッドでバックアップする必要があるか。ベースラインはギターやシンセの邪魔になっていないか。等、様々な要素をみながら音楽を組み立てていく必要があります。

特定のサウンドが十分に機能していないと感じる場合には、削除、トラックの入れ替え、再レコーディングする必要があるかもしれません。

トラック全体の構成を考える

Aメロ、Bメロ、サビという全体の流れに、緊張と緩和、静けさと盛り上がりの要素を追加して、トラック全体のストーリを演出することも編曲に含まれます。

リスナーの感情を揺さぶる為には、トラック全体のサウンドダイナミクスが常に変化し続けている必要があります。ジャンルにもよりますが、分かりやすいところでいうとEDMのビルドとドロップ部分のような、セクションごとに役割を考えてギャップ演出することが大切です。

抑揚の無いトラックにならないように、通常は楽器の足し引き、ボリュームオートメーションによる自動化(音量の変化)、またはトランジションエフェクトと呼ばれるセクション間が綺麗になるように設計されたエフェクトを使って演出します。

実践で役立つアレンジメントテクニック

ここからは実際によく使われている、実践で役立つアレンジメントテクニックについていくつかご紹介します。

1. 楽器ごとの担当音域を決める

実際に編曲工程に移るときには、各トラックごとに担当する音域を把握して、適切に配置することで解像度の高い音源が入手できます。

主要楽器の周波数分布

とくにギター、キーボードといった音域の広い楽器では、しっかりと音域ごとに住み分けを行わないと「マスキング」と呼ばれる音の干渉が発生する可能性があるので注意しましょう。

2. ループ&ミュート

海外のメインストリームのポップス系やヒップホップ音楽ではループ&ミュートによるアレンジテクニックが頻繁に使われています。

メインセクションのすべての楽器がなっている状態を基準として、他のセクションでは特定の楽器をミュートすることでトラック全体の緩急をつけます。

ループ&ミュート

例えば、サビ終わりのタイミングでキックとベースの低音楽器をミュートすることで変化を加えたり、一番盛り上げたいポイントまではシンセコードをミュートしておいて、一気に開放するといったアレンジ方法です。

セクションごとに新しいパートを追加しなくていいので、制作スピードが格段に向上するのも「ループ&ミュート」のメリットです。

3. コードボイシング

コードボイシングとは和音の音配置のことで、メロディーに対してコードをつけるときに、楽器ごとの帯域を考えながら適切にボイシングを変化させることで、より効果的にトラックを鳴らすことができます。

シンセコード作成時のテクニック【EDM】でもご紹介しましたが、シンプルなトライアドコードであっても音を転回させることで、楽器が担当する音域幅の上がり下がりを防ぐことができます。

こうすることで常に一定の音域を埋めることが可能になり、コードチェンジで急に低音がスカスカになる。といったトラブルも防ぐことができます。

実際にはトライアドは音域が狭いのでそこまで影響しないですが、音域の広いオープンボイシングを使っている時には重要な要素となります。

「ルート音はベースにまかせるから削除する」といったアイディアもときには有効です。

4. オートメーション

オートメーション

パラメーターのオートメーション(自動化)はDAWの進化によってもたらされた現代の音楽プロデューサーにとっては最も革新的なアレンジメント&ミックステクニックの1つと言えます。

DAW内のほぼすべてのパラメーターを自動で変化させることができるので、アイディア次第では無限の可能性を秘めているアレンジ手法です。

音量、EQフィルター、空間系エフェクトをオートメーションすることで、明らかにトラック全体の品質は向上し、またリスニング中には気付かないようなごく僅かな変化でも大きな効果が得られます。

代表的なところでいうとEDMでよく使用されるサイドチェインによるコンプレッサーのダッキング効果や、リバーブとディレイのミックスレベルの自動化があります。

ミキシングを自動化する5つのオートメーションテクニック【DTM】

5. 実際に演奏する

ギター

最近のデジタル環境に慣れているクリエイターにとって、最も効果的なアレンジメント方法は「トラックを生演奏する」ことです。

ドラムトラックでもコードトラックでもピアノロールでの打ち込みをやめて、トラックレコーディングを使って手動で打ち込んだり、実際に楽器を演奏して録音することで、生のアナログ感が生まれます。

生演奏によるわずかにずれたタイム感や、自然なベロシティ(音の強弱)が演出できることで、デジタルでは表現できない「人間らしさ」を感じることができ、人の心に響きやすいです。

楽器が得意でない場合には、打ちこみのギターにピッキングによるブラッシングをレイヤーすることで生っぽさを演出することもできます。

ピアノ打ち込みをよりリアルに近づける方法【DTM】
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まとめ

今回は編曲についてお話しました。

編曲には音楽知識とソフトウェアを使いこなすスキルが必要なので、作曲よりも専門的な内容になりますが、クリエイティブな作業が好きな人にとってはとても楽しいプロセスです。

作曲段階で生まれた音楽要素を、より完璧なトラックに仕上げる為に楽曲全体の構成や、楽器が綺麗に鳴るように組み上げる必要があります。

音楽制作全体で最も時間を必要とする工程なので、今回の内容を参考にしながらたっぷりと時間をかけて、最高のアレンジメントを組み込んでみてください。

以上、「個人ミュージシャンが自分で音楽をリリースするまでの流れ【アレンジメント編】」でした。
次→個人ミュージシャンが自分で音楽をリリースするまでの流れ【ミックス&マスタリング編】


編曲アレンジに悩んだ時に役立つ9つのヒント

音楽制作に役立つ10のミックスヒント【DTM】


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