アコースティックギターを上手にミックスする為の5つのヒント【DTM】
多くの楽曲に伴奏楽器として使用されることが多いアコースティックギター。
ミュージシャンや音楽クリエイターにとって、初めに経験する楽器としても人気が高く、アコースティックギターの正しいミキシング方法を学ぶことは重要です。
しかし、ボーカルやピアノと同じように人が演奏する楽器なので、音の立ち上がりや音量感にばらつきが出やすい楽器なので、ミックスの難易度は高めです。
そこで今回は、アコースティックギターを上手にミックスする方法について解説します。
1. 音量バランスをとる
ミックスにおいて音量の調節は基本中の基本ですが、もっとも重要な作業です。
アコースティック1本での弾き語りなのか、バンドアンサンブルなのかで最適な音量バランスというのは変わってきますが、好きな楽曲を聴き込んで、最適な音量感を耳に覚え込ませるということです。
実際にフェーダーを動かすときには目当ての楽曲をイメージしながら、フェーダーを一度最大にまで持ち上げて、ゆっくり下げながら。一度ゼロにしてゆっくり上げながらと2回行い、両方でしっくりくるポイントを探すのがコツです。
場合によってはボリュームオートメーションを書いて、セクションごとに音量が変化するようにすると、ワンランク上のギタートラックが手に入ります。
→ミキシングの3大要素【音量・定位・音質】について
2. EQで音質を整える
EQ(イコライザー)と呼ばれる任意の周波数帯域をブースト、カットしてトーン変化させるエフェクトを使って、アコースティックギターの音質を整えます。
アンサンブルの場合、アコースティックギターの100Hz周辺以下のローエンドはカットした方が良い結果を得られやすいです。
ハイパスフィルターの使い方のコツとして、フィルターをゆっくり左右に動かしながら、ギターがスッキリと抜けてくるポイントを耳を使って確認します。
バンドアンサンブルの場合は必須のテクニックですが、アコギ1本での弾き語りスタイルでも、100Hz以下にはエアコンなどの環境ノイズ、足でリズムを取る音、ストリングスノイズのような、ギターにとって不要な低音が多く含まれています。
ソロの場合は80Hzぐらいからハイパスを使ってギターがスッキリするポイントを探してみましょう。
耳障りな音をカットする
アコースティックギターを録音した場合、不要な強調された高周波やサウンドに部屋の共鳴が乗ってしまう可能性があります。
これらの耳ざわりになり得る不要な共鳴音を見つける方法として、Q幅を狭めたトークンのピークをスウィープさせて探す方法があります。
耳に刺さるようなポイントが見つかったら、そのままカット方向へ下げます。
→EQ(イコライザー)を使って不要な音をカットしよう
3. コンプレッサーで圧縮
コンプレッサーで飛び出した部分を圧縮することで、トラック全体の音量感を均一化し、ミックス内で安定させることができます。
ただし、ジャンルによっては自然なアナログ感が必要とされる場合もあるので、すべてのアコースティックギターを圧縮してしまうのはおすすめしません。
リズムギターのような伴奏的なポジションのギターに対して圧縮をかけるのが最も効果的です。
以下は実際にコンプレッサーで圧縮する場合のヒントです。
- ピッキングの音を残し、パーカッシブなサウンドが欲しい場合はアタックタイムを遅め(30ms~)に設定。
- 次の音に被らないようにリリースタイムを50~150msの間で調節します。
- より自然なトーンにする為にレシオは3:1か4:1ぐらいでゲインリダクション-2~-3dB推奨。
4. パンニング
センターのメインボーカルにスペースを与える為に、ギターを左右にパンニングするというテクニックが使われます。
ギタートラック2本を左右に振る場合には、必ず2テイク録音することを忘れないでください。
1つのギタートラックをコピーして左右に振っても、相殺し合ってセンターになっていまいます。
もし、手元にギタートラックが1本しかない場合には、コピーして片方のトラックのピッチを少しズラすか、タイミングを少し後ろにズラす(20~30ms)ことで対応できます。
5. 空間系、モジュレーションを追加
リバーブのような空間を演出するエフェクトを使用して、大きな舞台で演奏しているかのような壮大さを付与することができます。
空間演出の為に使う以外にも、リバーブは楽器をミックス内に馴染ませる効果があるので、耳では聴こえないぐらいの微量のリバーブを加えて、統一感を出す目的でも使用します。
→クリアで立体感のあるミックスの為の5つのリバーブテクニック
モジュレーション
コーラスのような微妙なピッチの揺れを与えるモジュレーションエフェクトも効果的です。
ギター演奏をバックで馴染ませたり、スカスカで音の隙間を埋めたいような状況では役に立ちますが、モジュレーションを加えるとギターのシャープさが無くなり、音像がぼやけます。
カッティングのようなエッジ感が必要な場合や、ギターがメインとなるようなジャンルでは逆効果になってしまうこともあるので気を付けましょう。
まとめ
アコースティックギターを上手にミックスする為の5つのヒントについて解説しました。
- 音量バランスを取る
- EQで音質を整える
- コンプレッサーで圧縮
- パンニング
- 空間系、モジュレーションを追加
アコースティックギターをミックスする際の基本的な5つの工程となります。
演奏スタイルやジャンルによっても求められるギタートーンは大きく変わるので、目的のトーンに近づける為にも、普段から音楽をよく聴いて研究することは大切です。
以上、「アコースティックギターを上手にミックスする為の5つのヒント【DTM】」でした。