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曲の書き出し方:正しい設定方法と最適な音圧値について

daw 書き出し

曲の書き出し方:正しい設定方法と最適な音圧値について

DAWで作曲している場合、プロジェクトをまとめてデータとして書き出す「エクスポート」(またはバウンス)は、最終的な音楽品質を決定し、効果的に音楽データを活用するために不可欠な工程です。

例えば、友人からのフィードバックを求める為に、手軽にトラックを共有したいのか、ミックスが完全に終わり、プロのエンジニアにマスタリングを依頼する為なのか。または、自分でマスタリングまでして、ストリーミングサービスにアップロードするために曲をエクスポートしたいのかによって内容は異なります。

そこで今回は、DAWで一般的に使用される書き出し設定のやり方と、用途に合わせた最適な方法で音楽をエクスポートする方法をご紹介します。

書く出す部分を決める

曲を書き出すときの最初のステップは、オーディオデータのどの範囲をレンダリングするかを選択することです。

エクスポートしたトラックが、正しいタイミングでスタートして、最後は綺麗に終わるようにします。これを確認しないと、曲の一部が欠けてしまったり、曲の最後に無音が続いてしまったりする可能性があります。

書き出しオプション

一部のDAWソフトでは、エクスポートオプションを使用して、直接トラックの開始と終了を制御することができたり、書き出す範囲をループマーカーを使用して選択することで、レンダリングしたいセッションの部分のみを選択することもできます。

また、プロジェクトの複数のトラックを個別のオーディオファイルとしてレンダリングするオプションもあります。この方法は、トラックをリミックスしたい場合などで非常に便利です。

マスタリングエンジニアによっては、曲を単一のファイルではなく、個々のステムデータとして書き出しを希望される場合もあります。

オーディオのバウンスの最適な設定

オーディオ設定

正しいレンダリング設定は目的によって異なりますが、ほとんどの主要なDAWはオーディオ書き出しに関する共通の設定項目があります。

最終的に楽曲をエクスポートするときの設定項目は以下の通りです。

音声解像度

デジタルオーディオの品質にはサンプルレートビット深度の2つの要素があります。一般的には、プロジェクトのオーディオよりも低く設定することはほとんどありません。マスタリングや配信のためにオーディオをエクスポートする場合、業界標準として44.1kHzのサンプルレートが使用されています。

また、ビット深度はオーディオのダイナミックレンジを決定するため、作業しているオーディオに一致するより高い値(16、24、32ビットなど)を使用することが推奨されます。

ディザリング

実際に楽曲を書き出すときには、レンダリング中に生じるエラーを修正するための"ディザリング"が必要です。ディザリングとは、デジタル録音において少量のノイズを信号に加える技術です。主にオーディオをDAWから外部に書き出す際に適用され、クリーンアップを行います。

マスタリング用にトラックを準備する場合はディザリングを適用しないこともありますので、エンジニアに確認することをおすすめします。

ノーマライズ

オーディオのノーマライズは、トラックのレベルを最大限にまで引き上げるプロセスです。トラックが完全に完成した状態である場合やフィードバックや確認のために送信する場合は、ノーマライズは有効です。

ただし、マスタリングを行う場合は、デジタルオーディオのクリッピングや歪みが発生しないよう、エフェクトや処理を適用するための余裕(ヘッドルーム)を確保するために、ノーマライズは避けるべきです。

ファイル形式

エクスポートするファイルの形式を選択します。非圧縮形式である.wavやAIFFなどは互換性が高く、音楽をマスタリングしたり別のDAWに取り込んだりする際に品質を最大限に保つのに重要です。

ただし、データ容量が大きくなるため、確認のために簡易的に曲を送りたい場合は、より軽量のmp3といった圧縮形式が便利です。


これらの設定を考慮して、最適なオーディオバウンスを行いましょう。

トゥルーピーク値について

トゥルーピーク

トゥルーピークを正しく理解してトラックに適応しないと、音源の一部が削られたり、クリップノイズが乗る原因にもなります。

トゥルーピークとは、簡単にいうと曲がオーディオに変換されたときに発生するピークのことです。オーディオ再生中に音の波形が到達しうる最高レベルの大きさを表す値で、オーディオ録音を可能な限り高いクオリティを確保するために重要な要素です。

従来のオーディオの録音やミキシングでは、音の波形の平均的な大きさを時間的に推定するRMS(Root Mean Square)を使ってラウドネスを測定していました。しかし、RMS値は音の波形の真のピークレベルを正確に反映していないことが多く、再生時に音声の歪みを引き起こす可能性があります。

この問題を解決するために導入されたのが「トゥルーピークバリュー測定」です。これによって波形の実際の最大レベルを測定することができます。

トゥルーピークを回避する方法

トゥルーピークによるオーバーシュートを回避するのに有効な2つの方法は以下の通りです。

1. ヘッドルームを確保する

一番簡単な方法はマスタリングの最終段階で使用するリミッターやマキシマイザーのCeiling値を少し下げてヘッドルームを確保することです。

すべてのトゥルーピークを回避するのは難しいですが、WAVでストリーミング配信するという用途の場合、一般的には-0.5~2dBほどスペースを空けてやると無難です。

トゥルーピーク
2. トゥルーピークリミッターを使う

トゥルーピークを抑えてくれる機能を持ったリミッタープラグインを使うのも有効です。

多少の音質変化はありますが、色んなストリーミングサービスから配信したり、CDに焼いたりする予定がある場合には必須のプラグインです。

ストリーミング配信に適した設定

現在の各種音楽配信サービスにはラウドネスノーマライゼーションというシステムが組み込まれている為、正しい音圧に設定して(-14LUFSである場合が多い)書き出すことが非常に重要です。

音楽ストリーミングサービスごとの最適なLUFS目安はいくつ?

CDの時代は限界まで音圧を上げて、出来る限り大きな音量にすることが求められていましたが、ストリーミング配信サービスではどれだけ音量を上げても一定のレベルにまで自動的に下げられます。

同じ-14LUFSの音源

つまり、ストリーミング配信をメインで考えている場合は、リミッターやマキシマイザーでパツパツにまで圧縮された音源よりも、ダイナミクスを残した音源の方が有利となります。

マスタリング時の正しい音圧の設定方法については、別記事のマスタリングでの音圧の測り方について【LUFS】をご覧ください。

まとめ

曲の書き出しには、ファイル形式とビットレートの適切な選択が重要です。非圧縮形式の.wavや.aiffは高音質であり、マスタリングや別のDAWへの取り込みに適しています。

ストリーミングサービスにアップロードする場合は、配信サービスごとの正しい音圧値に設定することで、よりダイナミックな音源を届けることができます。

書き出しをするときには、ニーズに合わせて最適な設定を選び、トラック全体をより効果的に書き出しましょう。

以上、「曲の書き出し方:正しい設定方法と最適な音圧値について」でした。


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