DTM初心者が一曲完成させる為の7つの作曲手順
巣ごもりの中、パソコン一台で作曲から配信までできるということでDTM(デスクトップミュージック)が改めて注目を集めています。
プロのクリエイターの利用にとどまらず、趣味で曲を作る人やアマチュアバンドにも、作曲においてDTMは無くてはならないツールとして利用されています。
そこで今回は、これからDTMを始める方に向けて、とりあえず一曲完成させる為の作曲手順についてお話します。
音楽を作るために必要なこと
一昔前までは作曲をするには音階やコードを覚えたりする必要がありましたが、DTMを利用するのであればそこまで重要ではありません。
最近のDAW(作曲ソフト)にはコード打ち込みやスケール表示機能のような優れた作曲サポート機能が付いているので、実際は音楽理論を学ぶよりもDAWやシンセサイザー等のソフトウェアの使い方をマスターしたほうが有利だったりもします。
とはいえ、頭に音楽理論が入っていれば作曲効率が上がったり、ひらめきやアイディアの引き出しが増えることは間違いないので覚えておいても損はないです。
1. 参考にする楽曲を見つける
ここから実際に作曲をする流れを解説していきます。
これからDTMを始めるという初心者の方は、まずは人気の楽曲や自分の好きな曲を参考にして、まねをしながら作ることをオススメします。
「え?それってパクりじゃないの?」と思われるかもしれませんが、プロの作曲家の方達も「リファレンスをとる」といって、完成系のイメージに近い既存の楽曲を参考にしながら作曲することはよくあります。
正直、作曲初心者の方が感覚だけで音楽を一曲作り上げるというのは非常にハードルが高い作業です。
いきなりオリジナル楽曲を作り始めたものはいいものの、上手く作ることができなくて「自分には音楽のセンスがないのかな・・・」と落ち込む方がいますが、当然のことなので安心してください。
2. アイディアを収集する
リファレンスといっても、各要素のすべてを真似することは著作権の違反にあたる可能性があります。
オリジナル曲を作成するための第一歩はアイディアの収集です。メロディーやリズムパターンを思いついたら、すぐに録音したり、メモを取る癖をつけましょう。また、インスピレーションを得るために既存の音楽を聴いたり、自然や日常の音に耳を傾けることもおすすめです。
作曲のアイデアを収集するためには、常にクリエイティブな状態にあることが重要です。以下の方法を試してみてください。
- 音楽を聴く
様々なジャンルやアーティストの音楽を聴くことで、新しい音楽アイディアやインスピレーションを得ることができます。自分の好みや興味のある音楽から始め、異なるスタイルやアプローチにも耳を傾けましょう。 - メロディの録音
頭に浮かんだメロディーやリフを録音しておくと、後で参考にすることができます。スマートフォンのボイスレコーダーやDTMソフトウェアの録音機能を使用して、即座にアイディアを保存しておきましょう。 - 周囲の音に意識を向ける
自然の音、街の喧騒、家電の音など、日常生活の中にはアイディアが無限に眠っています。周りの環境音に耳を傾け、それらを音楽に組み込むアイディアを見つけることができます。 - ジャミングや即興演奏
楽器を演奏できる場合は、他のミュージシャンと一緒にジャムセッションを行うことで新たなアイディアが生まれるかもしれません。即興演奏を通じて創造的な音楽ヒントを見つけましょう。 - ループやサンプルを使用する
DTMソフトウェアやサンプルパックには、即戦力となるループ素材やサンプル音源が豊富に用意されています。これらを軸に作曲アイディアを生み出すことができます。
アイディアの収集は創造性を引き出すプロセスなので、常に新しいアプローチや異なる視点からアイディアを見つけることを続けてください。
→個人ミュージシャンが自分で音楽をリリースするまでの流れ【作曲アイディア編】
3. コードを進行を調べる
参考にする楽曲が決まったら、その曲のコード進行を調べます。
邦楽ならU-FRETで調べればほとんどの曲は出てくるのでオススメです。過去にコード進行の王道パターン5選【派生コードも紹介】という記事も書いたので、こちらも参考にしてみてください。
もちろん進行にアレンジを加えてもいいですが、分からない方はもろパクりしてしまっても特に問題はありません。※コード進行自体には著作権はありません。
コードの構成音が分からない場合は「〇〇コード 音階」とかでググれば出てくるので、それを見ながら打ち込んでいくか、DAWごとのコードスタンプ機能を使えば簡単に打ち込むことが可能です。
打ち込みに使用する楽器ですが、どのDAWにもピアノ音源はもとから付属しているので、はじめはピアノを使って打ち込んでいってみましょう。
→ピアノ打ち込みをよりリアルに近づける方法【DTM】
もちろん楽器が弾ける方は伴奏楽器をライン入力で録音する形でもOKです。
4. メロディーを作る
コードを作ったら次にメロディーを作ります。メロディーまでもろパクりすると著作権にひっかかるので、必ずオリジナルで作りましょう。
メロディーの作り方【音を外さない方法】でも説明しましたが、はじめはコードに含まれている音を使ってメロディーを打ち込んでいけば、かなり安定したメロディーになります。
理論的に作るのもいいですが、出来ればコードを流しながら鼻歌で感覚的に作っていく方法がおすすめです。
マイクを持っている場合はオーディオインターフェイスを経由して直接DAWに歌声を取り込んでしまえば、それだけでも立派な作曲です。
メロディーの打ち込みに使う楽器は幅広いですが、はじめはシンセサイザー、ピアノ辺りがおすすめです。
5. ベースを加える
コードとメロディーで楽曲のイメージが出来上がったら、コードの下にベースを加えることで低音部分を強化します。
ベースを加えるだけで楽曲全体の安定感がかなり向上するので、必ずベーストラックは作るようにしましょう。
作り方は簡単で、コードを打ち込んだときの一番下の音をコピーしてそのまま使います。
ベースに使用する楽器はエレキベースかシンセサイザーがおすすめです。
→打ち込みで使えるベースアレンジのコツ
6. リズムトラックを作る
ドラム音源を使ってリズムトラックを作っていきましょう。
リズム作成に使用する音源は、一般的には音源サンプルや、ドラムマシンを利用することが多いです。
リズムパターンにも一定のセオリーみたいなものがありますが、これもはじめは参考音源を聴きながら同じように打ち込んでいくと良いです。
→【DTM】ドラムの打ち込みテクニック(初心者向けガイド)
基本的なリズムパターンはジャンルによって異なりますが、一般的にはキック(バスドラム)、スネア、タム、ハット、シンバルで構成されており、キックとスネア、ハットの3点で基本的なビートは作られます。
なかなか始めのうちは、ドラムを耳で聴いて打ち込んでいくのは難しいかと思うので、音源サンプルのループ素材を使うのもアリです。
「Loopmasters」のようなループ素材に特化したサンプル販売サイトもあるので、打ち込む作業が大変だと思ったら利用してみましょう。
7. ミックス&マスタリングをする
ミキシング
音楽制作のプロセスでは、作曲から始まり、編曲、ミックス、マスタリングという流れが一般的です。ミックス工程は現在の音楽制作では必ず行われる工程の一つです
音楽制作におけるミキシングとは、異なるオーディオトラックを最終的にステレオ、またはマルチチャンネルミックスとして一つにまとめる工程のことを指します。
ミキシングの目的は、ボーカル、ドラム、ギター、ベース、その他の楽器など、楽曲を構成するさまざまな要素の音量、音質のバランスをとり、まとまりのあるダイナミックなサウンドを作り出すことです。
マスタリング
マスタリングは、ミキシング作業の後に行う、プロダクションにおける最終工程のことで、イコライジング、コンプレッション、リミッティング等のマスタリング用プラグインを使ってオーディオバランスを最適化します。
音質や音圧を調整して、すべての再生機器やメディアフォーマットでなるべく同じようなバランスで再生されるようステレオミックスを最適化することで、アーティストとリスナーとの音楽的なギャップを埋めることを目的としています。
まとめ
DTMを使って一曲完成させる為の作曲手順についてお話しました。
- 参考にする楽曲を見つける
- アイディアを収集する
- コード進行を調べる
- メロディーを作る
- ベースを加える
- リズムを作る
- ミックス&マスタリングをする
プロデューサーによってはリズムから作ったりする方もいるので、順番に特に決まりはないのですが、初心者の方はコードとメロディーから取り掛かったほうが楽曲全体をイメージしやすくなります。
初心者の方が作曲する上で気を付けることとしては、いきなりオリジナリティを出そうとしないということです。
作りたいジャンルの楽曲を参考にしながら何曲か作っていくうちに、自然と作曲に必要なセオリーのようなものが身についていくので、それからオリジナリティを出していくほうが効率的かと思います。
以上、「DTM初心者が一曲完成させる為に必要な7つの作曲手順」でした。
※YouTubeでも実際にDTMを使いながら解説しています。