【超簡単!】エレキギターバッキングのミックス方法
エレクトリックギターは楽曲制作において一般的に広く使用されているため、エレキギターを上手くミキシングできるというのは非常に重要なスキルの一つです。
ロック、ポップス、EDMのどのジャンルを作成する場合でも、エレキギターがアレンジとして使用していることも多くあるので、正しい基礎的なミックス方法を学ぶだけでも最終的な音源クオリティのアップに繋がります。
そこで今回は、基礎的なエレキギターのバッキングトラックのミキシング方法についてご紹介します。
1. 2テイク録音
まずは同じバッキングトラックを2テイク録音します。
よりミックス全体で分離感を出したい場合には、音質を多少変えて(片方はローミッドが豊富な音質、もう片方はハイミッド寄りといったような感じで)録音することで、ギター2本の住み分けと、音の干渉によるフランジャーのような「シュワーン」とした感じを軽減することができます。
→エレキギターミキシング上達の5つのテクニック
2. パンを左右に振る
2本のギタートラックの片方を左90、もう片方を右90くらいにパンニングします。
こうすることで音像が横に広がり、ステレオ空間の中を広く使ったバッキングトラックを入手することができます。→ミキシングの3大要素【音量・定位・音質】について
※片方をコピペして反対側に振っても、センターに配置されたモノラルサウンドになるので注意です。もしバッキングデータが1つしか手元にない場合は、タイミングを少しズラすか、どちらかのピッチを微妙にズラす事でもステレオ効果を演出できますが、2テイク録ったほうがクオリティは高いです。
音像を最大まで広げる為に左右100に振るエンジニアの方も多いとは思いますが、イヤホンやヘッドホンで聴いたときに「片耳モノラルサウンド」といって自然界には存在しない不自然なサウンドになるので(実世界では右から音が鳴っていたとしても、左耳にも多少音が入ってきます。)よりリアルなミックスにしたい場合は100より少し戻した数値をおすすめします。
3. バストラックにまとめる
2本を一つのミキサートラックにまとめます。
バストラックを活用することで、まとめて処理することができるようになり、個別に処理するよりもエフェクトインサートの数が減ることによるCPUの節約効果と、サウンドに統一感が生まれます。
左右に違う音質のバッキングトラックを録音している場合には、個別に処理した方が良い場合もあるので、状況に合わせて処理方法を変更します。
4. EQを使ってローカット
エレキギターの場合、100Hz以下に不要な低音が含まれているのでEQ(イコライザー)を仕様してカットします。→EQ(イコライザー)を使って不要な音をカットしよう
100Hz周辺で左右に動かしていると急にスッキリするポイントがあるので、耳を使って必ず確認するようにします。
ギターを単体のみで使用するような状況では必ず行うべき処理ではないですが、バンドアンサンブルのような他の楽器も重なってくる場合は必須の工程となります。
5. コンプで圧縮
通常、コンプレッサーは音のダイナミクス(大きい音と小さい音の差)を埋める目的で使用されますが、今回はバストラックに適用することで2本のギターを「接着」させる目的で使います。
こうすることで一本のギターが左右で鳴っているような、 まとまりのあるサウンドに仕上げることができます。 →コンプレッサーの基本的な使い方
バッキングトラックにディストーションギターを使用する場合は、歪み自体が強いコンプレッションによるものなので、軽く「ならす」程度の圧縮で十分です。
6. 音質を整える
状況に応じてEQを使ってさらにサウンドを整えます。
- ボーカルがいる場合は300~2kHz周辺をカットすることで、歌の為のスペースを確保します。
- バンドアンサンブルの場合、3~5kHz辺りはギターが独占できる音域なので、他の楽器への干渉を最小限にしてブーストできます。
- 歪みギターは2~4kHz辺りに耳に突き刺さるような高音が出ていることが多いのでノッチ処理するとスッキリします。
これらは必ず必要というわけではないので、他の楽器とのバランスを考えて適切な処理を施しましょう。
7. うっすらリバーブ
最後にうっすらリバーブをかけます。
空間反響の無い音は先述の「片耳モノラルサウンド」と同じく、自然界に存在しない音なので少し不自然に聴こえてしまいます。
手前に張り付くようなバッキングトラックが欲しい場合や、バンドアンサンブルに混ざっている場合はそこまで気にしなくても問題ないです。
→ギターリバーブで壮大なミックスを手に入れる方法
まとめ
エレキギターによるバッキングトラックのミックス方法についてお話しました。
- 2テイク録音
- パンを左右に振る
- バストラックにまとめる
- EQを使ってローカット
- コンプで圧縮
- 音質を整える
- うっすらリバーブ
以上の7つの工程です。
今回の内容は基礎的なミキシングテクニックなので、エンジニアによってさらに独自のミキシング技術やより高度な処理方法を実践していることが多いです。
例えばコンプレッサーで圧縮するのもマルチバンドコンプを使ってより精密に処理したり、ギターの圧縮に特化している1176のモデリングコンプを使用したりと様々です。
目的のジャンルや目指したいサウンドを考慮して、プロの音源を参考にしながら最適なミックスを施しましょう。
以上、「【超簡単!】エレキギターバッキングのミックス方法」でした。
※YouTubeで動画を使って解説しています。