イコライザー設定ガイド | ジャンルごとの最適な音質設定【リスニング用】
一般的なリスニング機器には「イコライザー」と呼ばれる音質調整機能が備わっており、正しく設定することで、キックやベースが持つ低音を強調したり、ボーカルを強調したりと、自分好みの音質にできる便利ツールです。
PCやスマホ、各種音楽プレイヤーに標準搭載されていることがほとんどなので、より良い音質を求めて自分でカスタマイズしたいという方も多いのではないでしょうか?
少し前に「Perfect」と呼ばれる最高の音質になるイコライザー設定なるものが流行りましたが、基本的には「最高のイコライザー設定」というようなものは無く、本来はスピーカーと音楽のジャンルに合わせて調節するのが正しい使い方です。
イコライザーとは?
イコライザーはオーディオの周波数ごとに音量を調整できるツールで、分かりやすいところでいうとiTunesやカーステレオに搭載されている音質調整機能もまったく同じような仕組みです。
ボリュームの上げ下げだと全体の音量感を調節することができますが、イコライザーを使用することでサウンドの特定の周波数をブーストしたり、カットしたりすることができるようになります。
例えば、ダンスミュージックではキックドラムが重要なので低域だけをブーストしたり、J-POPの歌モノだとボーカルがいる中高域をブーストすることで歌声がよりクリアに聴こえます。
イコライザー設定のコツ
イコライジングは特定の周波数範囲をブーストまたはカットすることで、リスニング環境に合わせて最適化するプロセスのことで、プロの音楽制作でも行われる重要な工程です。
音楽制作に使われるものと一般的なリスニング用のものとは基本的な仕組みは同じなので、イコライザーについて詳しく知りたい方はイコライザー(EQ)の使い方を徹底解説【DTM】をあわせてご覧ください。
通常は人間の可聴範囲の約20~20,000Hzまでの周波数の範囲で使用しますが、年齢やその他の要因によって範囲が狭くなることもあります。
さらに「音」の特性として、低い音ほど再生するのに多くの電力とより大きなスピーカーを必要とし、高い音は少ない電力と小さなスピーカーでも聴き取りやすいという傾向があります。
どれくらいの音量で再生するのかと、各楽器が配置されている周波数帯域も考慮しながらイコライジングを行うと、理想の音質を入手しやすくなります。
→【無料】PCで使えるイコライザーソフトウェアおすすめ5選
各周波数帯域の詳細
イコライザーの画面では左側が低音で、右側が高音の配置になっています。各周波数帯域の音の特性は以下の通りです。
- 20~60Hz:超低周波数。サブベース、キックドラムが占める音域で、低音再生能力の高い機器が必要。
- 60〜200Hz:低音域。ベースの低音部分やキックの胴鳴りが響いています。
- 200〜600Hz:低中域。ギターやピアノ等の低音部分がなっています。多くの楽器の低音域が集まるポイント。
- 600~3kHz:中域。ボーカル、ギター、ピアノ、シンセサイザー等。重要な楽器を配置する場所。
- 3kHz~8kHz:中高域。ギター、ストリングス、シンセサイザーの高音域が含まれます。大きすぎると耳に刺さる不快感。
- 8kHz~:高音域 : 若い人は最大20kHz辺りまで認識できます。シンバル系のシャリシャリしたエアー感。
→ミキシングで役立つ楽器ごとのEQポイント一覧表【DTM】
ジャンルごとの重要な楽器や、再生機器の特性なども考えながら調節するとオーディオ品質を格段に向上させることが可能です。
ここからはジャンルごとのおすすめ設定をご紹介。
※低音好きの方はこちら。
→イコライザーを使って重低音にする為のおすすめ設定【リスニング用】
迷ったらとりあえずコレ!
ジャンル関係なく、とりあえず手っ取り早く音質を向上させたい人の為の「迷ったらコレ!」な便利なイコライザー設定をいくつかご紹介します。
Perfect
2000年代にどんな楽曲でも簡単に高音質にしてくれるイコライザー設定として流行した「Perfect」設定です。
文字通りどんなジャンルでもパワフルにしてくれる万能設定として流行しました。
Eargasm Explosion
Perfectにさらにハイエンド部分にアレンジを加えた「Eargasm Explosion」も流行りました。
2016年頃にSNS上で音作りのプロが突如公開したイコライザー設定で、Eargasm Explosionとは「爆発しちゃうくらい耳がキモチイイ!」という意味合いになります。
低音ブースト
PerfectとEargasm Explosionは万能ではありますが、音楽ジャンルの移り変わりとリスニング機器の進化あって、どんどん音の重心が下がってきているので、現在のトレンド音楽に完全にマッチしてるとは言いにくいです。
最近では歌モノでもヒップホップ調のビートや、ダンスミュージックを取り入れた音楽が主流で、低音部分に多くのエネルギーが集中している為、低音ブーストが効果的です。
ジャンルごとの最適なイコライザー設定
ジャンルに合わせてさらに細かく音質調整したい方は以下の設定を参考にしてみてください。
ポップミュージックに最適なイコライザー設定
ポップミュージックは主にボーカルとミッドレンジのサウンドを重要視します。
最近の特に洋楽や韓国のPOPSではかなり低音域が出てきている印象なので、中域の周波数を何よりもブーストし、サブベースの低い部分も強調しています。
ロックミュージックに最適なイコライザー設定
ロックは高音域のエレキギターサウンドと、キック、ベースの低音域に重点を置いています。
「ドンシャリ」サウンドとも呼ばれるイコライジング設定で、激しめの楽曲との相性が良いのでメタルやダブステップのようなジャンルでも試してみてください。
EDMに最適なイコライザー設定
EDMを始めとするダンスミュージックはキックの低音とシンセサイザーの高音域を最も強調します。
EDMといっても幅広いですが、ボーカルが入っていないインスト楽曲の場合、500~1kHをもっと削ってもいいかもしれません。
HIPHOPに最適なイコライザー設定
HIPHOPでは「808ベース」と呼ばれるサブベースをメインとして扱う楽曲が多いので、超低音域をブーストすることをおすすめします。
ハイハットも他のジャンルと比べると非常に特徴的な為、4~8kHzをブーストするとビートのグルーヴ感が増してカッコよくなります。
アコースティックミュージックに最適なイコライザー設定
アコースティックの場合は単一の楽器で演奏されることも多いので、足りない音域を補うようなイメージでブーストします。
例えばアコースティックギター一本の場合でも、低音弦の低い音や、弦をかき鳴らした時のエッジ感をブーストすることでレンジの広い音質にすることができます。
ジャズに最適なイコライザー設定
使用楽器がロックと似ているので、同じような設定でも効果があります。
一番低い帯域はあまり出ていないので、やや下げ目にしたほうがスッキリするのでおすすめです。
クラシックに最適なイコライザー設定
クラシック音楽のサウンドはピアノ、バイオリン、アコースティックギター、その他のフルオーケストラ等の楽器を使用しています。
フラット気味の設定に、ブラス系やストリングス系のきらびやかな部分をブーストすることで、より象徴的なサウンドになります。
ラテンに最適なイコライザー設定
最近耳にする機会が増えたラテンミュージックに最適なイコライザー設定です。
低音と高音に楽器が集中しており、ボーカルはすでに強調されているので、フラットかややカット気味にすると良いバランスになります。
まとめ
ジャンルごとの最適な音質設定についてお話しました。
イコライザーはあくまで補助的に使用する為のツールであって、本質的に音を良くしたい場合は、スピーカーやイヤホン等の再生機器の品質を上げることのほうが重要です。
安価な再生機器でいくら周波数をブーストしても、耳障りな音質になったり、クリップノイズのような歪みの原因にもなります。
イコライザーは理想の音質に近づける為のツールとして、 お気に入りのジャンルに最適なイコライザー設定を楽しんでみてください。
以上、「イコライザー設定ガイド | ジャンルごとの最適な音質設定【リスニング用】」でした。