ミキシングの3大要素【音量・定位・音質】について
↑今回の内容の音声配信です。
自分の部屋で簡単に作曲ができるようになって、個人でもミキシングをする機会が増えてきました。
少し前は作曲編曲をしてからミックス&マスタリングはプロに任せるといった流れが主流でしたが、すべての工程を同時進行で進めるのが普通になります。
DAW(作曲ソフト)の進化でやりやすくはなったものの、やはりある程度の知識や経験が必要なこともあり、自作曲の仕上がりに満足いかないクリエイターの方も多いのではないでしょうか?
そこで最低限これさえ意識していれば大きくミックスが崩れることはないというような、ミキシングの基礎である3つの要素
- 音量
- 定位
- 音質
について解説します。
音量
音量はミキサーのフェーダーで調節します。
ミックス全体でどの音を目立たせて、どの音を引っ込めるか決めます。
わかりやすいところだと、ボーカルやギターソロのような主役はほかのトラックよりも大きめに設定し、伴奏ピアノやPAD系のサウンドは後ろに引っ込めるといった具合です。
すべての楽器を聴かせようとすべてのボリュームを均等に上げることはしないことです。
必ず前後の立体的な空間をイメージしてどの音を一番聴いてほしいかを常に意識しながらバランスをとることが重要になります。
音のダイナミクス
音量バランスはセクションごとに常に変化します。
ピアノやドラムのような生楽器を人が演奏する場合には、音量は常に一定ではありませんし、楽器の重ねる数によってもマスターボリュームは常に変化しています。
このように生まれたトラック内の小さい音と大きい音の差を「ダイナミクス」といい、ミキシングにおいて非常に重要な概念なので覚えておきましょう。
例えばAメロでささやくような歌声とサビの大きく張り上げた歌声がトラック内に存在する場合は、コンプレッサー等を使って最大音量を圧縮することで、サビが終わってAメロに戻った瞬間に声が全然聴こえないというようなことが起きないようにします。
→コンプレッサーの基本的な使い方
トランジェント
もうひとつトランジェントと呼ばれる音量概念も存在します。
これは音の立ち上がり部分(アタック)と継続音(サスティーン)部分を調節することで、音の存在感を決めます。
例えばドラムのような単発楽器の場合は音の立ち上がり(アタック)部分に多くのエネルギーが集まります。
特にこのような場合にはトランジェントを調節することによる効果は非常に大きくなります。
一般的にはトランジェントシェイパーと呼ばれるプラグインソフトを使って調節します。
定位
定位(PAN)はステレオにおける音の配置のことで、これを調整することをパンニングと言います。
空間の広がりや音のマスキングを回避したりとパンニングすることで色々な効果が得られます。
基本的なセオリーは大体決まっており、センターにはキックやスネア、ボーカル、ベース等の重要な役割を担う楽器を配置し、それ以外の伴奏楽器や金物系はなるべくセンターに被らないように左右に広げます。
リバーブやディレイのいわゆる空間系と呼ばれるエフェクトを使用することで、更に高度な空間演出が可能となります。
その中でもショートディレイを利用した「ハース効果」と呼ばれるテクニックは非常に効果が高く、ステレオ音像を左右に広く使うためには欠かせません。
音質
音質は単純にサウンド自体の音の良し悪しもありますが、高音よりや低音よりといった周波数バランスによる聴こえ方の違いも含みます。
音の良し悪しに関してはこのブログ内でもよく言っていますが、そもそもの音源サンプルのクオリティであったり、ギターの録音品質、高品質なシンセサイザー等、そもそもの音が良くないといくらミックスで修正したところで限度があります。
ミックスでどうにかしようとは考えずに、良いサンプルを使うことや品質の高い音源ソフトはミックスの最終の仕上がりに大きく影響します。
もとの音が良いとミックスで細かく修正する必要もなく、そのまま使えたりもするので、作業時間の大幅な短縮にもなります。
周波数バランス
一つの楽器の音をみても、低音寄りの音、中域が豊富な音、高音寄りの音とその音色は様々です。
音の特性をみて、低音から高音までをパズルのようにバランスよくミックス内に散りばめていくイメージで、最終的な仕上がりを決めていきます。
具体的にはEQ(イコライザー)やサチュレーションと呼ばれる倍音を付加する装置をつかって、周波数特性をコントロールすることができます。
→EQ(イコライザー)を使って不要な音をカットしよう
→歪み(オーバードライブ、ディストーション)が音楽に与える効果
まとめ
このように音量・定位・音質の3つの要素を意識しながらミキシングを行うことで、初心者でも大きく崩れたミックスになることは少なくなるかと思います。
ミキシングは単一のトラックではなくミックス全体に配置された楽器の関係性を考えながら適切に修正していく作業です。
なぜ音量を上げるのか、なぜセンターに配置するのか、なぜ低音をカットするのかを常に考えながら他の楽器のおいしい部分を潰さないように、適切にトラック内にすべての楽器を配置しましょう。
以上、【ミキシングの3大要素】これさえ意識していれば大丈夫!でした。