自分でドラムレコーディングする為の5つのステップ
自分でドラムレコーディングすることはギターやベースと比べて非常にハードルが高いですが、生演奏のダイナミックな演奏とアナログ感溢れるドラムサウンドは手間をかける価値があります。
自宅で録音するのはスペースや騒音の問題があるのであまり現実的ではありませんが、リハーサルスタジオ等の環境を利用すればアコースティックドラムの録音も可能です。
今回はドラムのセルフレコーディングする際のマイクやセットアップの方法について解説します。
機材を用意する
ドラムレコーディングを始める前に、録音準備を整える必要があります。
レコーディングに必要な録音機材の用意、マイクの配置、ドラムセットの調整、そして録音環境の整備などが含まれます。録音機材には、オーディオインターフェース、マイク、マイクスタンド、ヘッドフォン、そしてDAWソフトウェアが必要です。
ドラムキット全体をキャプチャするにはキット構成にもよりますが大体5~8本のマイクが必要です。追加してオーディオ変換する為の8つのプリアンプを備えたインターフェイスも必要になります。
ドラム用レコーディングマイクのおすすめ5選でも紹介しましたが、改めて各キットに最適なマイクをいくつかピックアップします。
スネアドラム
ダイナミックマイクの「Shure SM57」がよく使用されます。
低価格帯で耐久性にも優れており、高音のキャプチャ能力に優れているので「スコーン!」と抜けの良いパンチのあるスネアが入手できます。
キックドラム
低音の収音に優れた「AKG D112 MkII」がおすすめです。
優れたローエンドの再生能力と高いSPL耐性設計で、マイクの形状もキックドラムに対して理想的なポジションに配置しやすくなっています。
タム
業界標準のタム用ダイナミック マイク「Sennheiser MD 421」が使用されています。
スネアで紹介した「SM57」でも代用できるので、予算を抑えたい方はこちらを使用しましょう。
ハイハット
ボーカル用途使用されることも多い「Shure SM7B」ですが、ハイハットのキャプチャ用マイクとしても優秀です。
高音ブーストと低音カットの2つのEQスイッチがあるので、突き刺さるような激しい高音でも上手く収音することができます。
オーバーヘッド
オーバーヘッドに使用するマイクはラージダイヤフラムタイプであれば広く対応できます。
「Samson C02」のような2本セットになったマイクであれば最適です。
各キットに対して上記のマイクをセットアップできれば最適ですが、使用する本数を減らしてもドラムサウンドのキャプチャは可能なので、予算を考慮して準備しましょう。
オーディオインターフェイス
ドラムサウンドをデジタル変換する為のオーディオインターフェイスを用意します。マルチマイクで録音する場合には、入出力の多いオーディオインターフェイスが必要になります。
「TASCAM / US-16×08」や「FOCUSRITE / Scarlett 18i20」のような多入力の製品に、必要に応じて別途でマイクプリアンプを繋げるというのが一般的です。
TASCAMはライン入力のヘッドルームが20dBに設定されているので、パーカッシブな瞬間的な高レベル入力にも対応できます。
ドラムレコーディングの手順
続いて、実際にレコーディングする際の進め方について解説します。
1. ドラムチューニング
まずはドラムをチューニングします。高価なセットで叩いてもチューニングが悪いと真価が発揮できません。
ジャンルやプレイ環境に合わせて、音程、好みの音・切れの良い音が再現できるまで時間をかけてしっかりチューニングする事が重要です。
優れたドラムセット、プレイヤー、エンジニアが揃ったとしても、ミックスの中で弱々しく響いたドラムサウンドを修正することはできません。時間をかけてドラムセットを調整することができれば時間をかけずに最高のサウンドを手に入れることができます。
2. キックマイクをセット
シングル キックマイクを使用する場合、バスドラムのすぐ外側にマイクを配置するとよりいっそうインパクトのある音が得られやすいです。
強烈な低音と中音域のビータークリックのちょうど良いバランスが得られるポイントを探して微調整します。
バスドラムの内部の空気が開口部から噴出するため、角度によってはウインドノイズの問題が発生するので、マイクをアウターシェルから数インチ離して置くという選択もあります。
距離の調整によって低域全体の周波数特性が変動し、近接効果による迫力ある重低音も得られます。
いずれもどのようなサウンドが必要かによって調整しましょう。
3. スネアマイクをセット
スネア サウンドは、キット全体の雰囲気、さらには曲のトーンを決定する重要な要素です。
上面のリム付近に1本だけ設置する方法が最も簡単で、リムからドラムの中心を狙うと最もアタック音の強い音、下の方を狙うと低域が強調されたサウンドが得られます。
好みのトーンが得られるまで微調整を繰り返しましょう。
ジャズやフォークなどのジャンルでは無指向性マイクロホンをスネアとハイハットの間に設置する方法もあります。
残りのキットにセット
キックとスネアが完了したら、基本は同じなので残りのキットにもセットしましょう。タムにもスネアと同じようにセッティング可能ですが、タムはジャンルによって役割が変化します。
ポップスやロックの場合、近接設置してタムの音を明確に収音する傾向があり、ジャズではタムにマイキングせず、オーバーヘッドマイクでピックアップします。
4. DAWの設定
マイクからオーディオインターフェイスを経由してPCに取り込みます。
音を取り込んだらDAW上でそれぞれのトラックに当てていきます。ドラムを取り込むだけなら無料のDAWでも十分対応可能なので、PCにインストールしておきましょう。
無料のフリー作曲ソフト(DAW)おすすめ7選【DTM】
入力音量が大きすぎてクリップしないように音量バランスを整えたり、実際に収音した音声を聴きながらマイクをさらに微調整していきます。
5. 録音を編集する
録音してソフトへの取り込みが完了したら、録音したトラックを編集する必要があります。
これには、ミキシング、エフェクトの追加、そして波形編集などが含まれます。フェーダーによる音量調節から、EQ、コンプを使って適切な音質に整える作業です。
→キックドラムにパンチを加える音作り【ミキシングテクニック】
→スネアの抜ける音作り【EDM】
→ハイハットの5つのミキシングテクニック
それぞれのドラムキットの編集が完了したら、完成したトラックをエクスポートして、必要に応じてマスタリングを行います。
まとめ
自分でドラムレコーディングする為の5つのステップについてお話しました。
ドラムをセルフ録音するのは他の楽器に比べて大変な作業ですが、打ち込みドラムが主流になった今こそ人間味のある温かみのあるドラムトラックは貴重です。
レンタルスタジオを利用すると、マイクやオーディオインターフェイスを貸し出ししてくれる所も多いので、音源をノートPCに取り込んで、あとは自宅でじっくりミックス作業をするといった形もありです。
以上、「自分でドラムレコーディングする為の5つのステップ」でした。