ローエンドミックスの為の重要な5つのヒントについて
多くのミキシング処理の中でもローエンドの処理が一番難しく、楽曲の中でも土台となる部分なので非常に重要です。
邦楽だとあまり感じることはないかもしれませんが、海外では主流の音楽の多くが低音に比重をおいており、ローエンド処理の重要性はさらに高まってきています。
今回はそんなローエンド処理についての重要なヒントを5つご紹介します。
低音をモノラルセンターに配置する
高音域の周波数は非常に指向性が高いですが、低音域に指向性はほとんどありません。
キックやベースのような低音楽器は、どこで鳴っていようが音の定位を判断できないので基本的にはモノラルでセンターに配置します。
そうすることで両サイドにスペースを確保することができ、ミックスの幅が広がります。
マルチバンドコンプ等を使い、キックのアタック部分をワイドに、低音部分だけをモノラルセンターにするというテクニックもあります。
ハイパスフィルターをかける
EQ(イコライザー)を使って不要な音をカットしようでもお話したように、
ボーカルやピアノ、ギターのようなあまりローエンドに影響しない楽器でも、いくつも重なることで低音部分を濁らせる原因となります。
これらの楽器にもしっかりとハイパスフィルターを使い低音をカットすることで、ベースやキックの為のローエンドをクリアに保つことができます。
ハイパス処理する際はマスタートラックでまとめて修正するよりも、個別のトラックに適応するほうが綺麗に処理することができます。
低音再生能力の高いモニターを使う
当たり前のことですが、聴こえない音をミックス処理することはできません。
PCやMacの純正のスピーカーや、小さく安価なスピーカーを使用している場合は低音再生能力が低く、ローエンドの確認ができないことが多いです。
仮に再生できていたとしても、低音再生能力の低いスピーカーで聴こえている低音は、他の機器で再生したときに大きすぎる場合があります。
しっかりローエンド処理を行う為には、最低限のシステムと音量が必要なので、自宅でミックスを行っているDTMerの場合はあまり現実的ではありません。
このような場合は、サブウーファーやヘッドホンでのミックス(自宅でのミックス作業に最適なヘッドホン 5選)が有効ですが、その場合でもできる限り色々なモニター環境でミックスを確認することをオススメします。
スペクトラムアナライザーを使う
ローエンドを確認する方法として、スペクトラムアナライザーを使用するという手段があります。
スペクトラムアナライザーとは音の周波数帯域を目視できる装置のことで、ローエンドが再生されないモニター環境でもミックスが可能になります。
日本でも有名なDJの「banvox」はモニター環境が良くなかったので、ミックスの確認はほとんどスペクトラムアナライザーを使用していたという話もあります。
波形をみるだけで、クラブで流した時のローエンド感まで繊細にコントロールしていたようです。
最近では一般的なスピーカーではほとんど再生されないようなサブベースの領域の低音がトレンドでもあるので、スペクトラムアナライザーは必須のツールです。
アナログ音源には気を付ける
サンプル音源やシンセサイザーのベースを使用する場合は、同じようなミックス処理でも特に問題ないことが多いですが、ライン録音されたベースや、マイク録りしたキックは違います。
デジタル処理された安定感のある音源とは違い、人が演奏する楽器を録音した場合、ダイナミクスや周波数帯域もバラバラなので当然ミキシング処理の方法は大きく異なります。
コンプレッサーによる処理は必須で( コンプレッサーの基本的な使い方 )
サイドチェインやオートメーション処理といったそれなりの処理技術も必要になることもあるので、アナログ音源を扱う場合には、より注意が必要です。
以上、ローエンドミックスの為の重要な5つのヒントでした。