【YouTuber向け】動画の音声を劇的に向上させるワザ
YouTubeで動画を公開する際、映像のクオリティはもちろん重要ですが、音声の質も同じくらい重要です。クリアでバランスの良い音声は、視聴者にとってより快適な視聴体験を提供することができます。
しかし、高価なプロ機材を用意するのは難しいし、編集技術に自信がない場合には、動画の音声を劇的に向上させる方法が知りたいと思う人も多いでしょう。
この記事では、マイクの選び方、環境整備、エフェクトのかけ方など、動画の音声を向上させるための具体的なテクニックをいくつかご紹介します
これらの方法を使うことで、誰でも簡単に、プロのような音声を手軽に作り出すことができます。ぜひ参考にして、より魅力的なYouTube動画を制作しましょう。
音声品質を向上させることの重要性
動画の音声品質は、視聴体験に大きな影響を与えます。視聴者が快適に動画を楽しめるようにすることで、視聴者はより長く動画を見続けることができ、より多くの視聴回数や再生時間を獲得することに繋がります。
テレビ業界でも必ず「音声さん」と呼ばれるプロフェッショナルが、長いマイクを持ってロケに同行している光景は見たことがあるかと思いますが、タレントさんの胸元のピンマイクとガンマイク等の複数で音を拾って、肩から下げた「ミキサー」で常に音声を調整しながら収録しています。
動画の音声品質は、視聴者にとって非常に重要な要素であり、制作者にとっても動画に対する本気度や信頼性を高めるために欠かせない要素の一つなのです。
音声品質を向上させる3つの要素
クリアでバランスの良い音声は、視聴者にとってより楽しい視聴体験を提供し、チャンネルの成長にもつながります。
これから動画作りを始める初心者の方にも取り入れやすい、音声品質向上の為の要素は以下の3つです。
- マイクの選び方
マイクの種類や性能によって音質が大きく変わるため、高品質なマイクを選ぶことが重要です。指向性や感度などを考慮し、使用目的に合わせたマイクを選びましょう。 - 録音環境の整備
音響環境が悪いと、音声にノイズやエコーが乗り、聞きづらい音声になってしまいます。録音前に、周囲の騒音を遮断するための防音対策や、反響音を抑えるための吸音材の設置など、環境整備を行いましょう。 - オーディオ編集ソフトの使用
オーディオ編集ソフトを使って、音声のレベル調整や、ノイズ除去、イコライジングなどの加工を行うことで、よりクリアな音声に仕上げることができます。
どれも導入の為のコストが低く、音声に大きく影響する要素です。
この3つの要素を重点的に改善する為に、具体的な方法について解説していきます。
品質の良いマイクを使用する
単純なことですが、品質の良いマイクを使用して、録り音を良くすることが非常に重要です。音声品質向上の70%ぐらいはこの「録り音のクオリティ」で決まるといっても過言ではありません。
マイクの性能によって、音声のレンジや指向性、感度などが変化します。例えば、指向性のあるダイナミックマイクを使用することで、周囲の騒音を軽減しながら、クリアな音声を収録することができます。
一方で、室内のような比較的静かな環境であれば、コンデンサーマイクを使用することで、音声のレンジを広げ、より豊かな音色を録音することができます。
野外で撮影するのか、部屋でカメラに向かって語り掛けるのか、撮影環境によって最適なマイクは変わるので、自分の撮影スタイルに合わせてマイクを選びましょう。
→動画制作向けの高品質ショットガンマイクおすすめ5選
マイクの距離と収音レベル
撮影するにあたって、音源からのマイクの距離と収音レベルの調整は非常に重要です。
まず、マイクの距離についてです。マイクからの距離が近すぎると、口元の息や口の動きの音、口笛の音などが録音され、音声品質が劣化します。
一方、マイクからの距離が遠すぎると、音声が遠くなってしまい、周囲の騒音が録音される可能性もあります。適切な距離は、一般的には10cm~30cm程度が推奨されています。また、口の向きや角度にも注意することで、よりクリアな音声を収録することができます。
次に、マイクの感度や環境音量などに合わせて、収音レベルを調整する必要があります。収音レベルが低すぎると、音声が小さく聞こえたり、後の編集の段階で音声レベルを上げたときに、ノイズや歪みが混入する可能性があります。
一方、収音レベルが高すぎると、音声が歪んで聞こえたり、周囲の騒音も録音されてしまうことがあります。適切な収音レベルは、マイクの感度に合わせて調整し、常に一定のレベルで収録するように心がけましょう。
マイクの距離が遠い場合のデメリット
スマホ撮影や一眼のみで撮影する場合のデメリットは、マイクの距離が遠すぎるということです。
マイクの距離が遠いことによるデメリットは以下の通りです。
・環境音を拾ってしまう
・室内の場合、反響音も拾ってしまう
・会話が聞き取りにくい
・適正レベルでの収音が難しい
この中でも特に「収音レベルが下がる」ことは弊害が多いです。
→【iPhone】スマホ録音の音質を向上させる5つのテクニック
このあとの音声編集の段階で小さすぎる音声信号を「適正なレベルまで上げる」という作業があるのですが、このときに環境音やノイズまでも一緒に持ち上がってしまうことになるので、なるべく余計な音を拾わないようにマイクと口の距離は近いほうが音質向上において有利です。
芸能人やテレビタレント出身の配信者の方は胸にしっかり「ピンマイク」を装着しているかと思います。
一定のクオリティが保証されるピンマイクは予算がかかりますが「もっと音声にこだわりたい!」という配信者の方であれば導入を検討してみることをおすすめします。
複数のマイクを使う
個人クリエイターで複数のマイクを導入するのはややハードルが高いですが、音声ミックスすることを考えると、理想は複数のマイクを使って演者ごとで声を拾うことができればベストです。
グループで会話している状況で、重要な内容を喋っている方のボリュームを上げたり、面白いことを言ってる人の声をピックアップしたりと、メリットは多いです。
作業量は増えますが、それぞれの声に対して音声編集を加えれるようになるので、音声品質は格段に向上します。
録音環境の整備
音声品質を上げるためには、録音環境の整備も大切です。
動画の撮影を始める前に、まずは外部の騒音を遮断することが重要です。屋外であれば、車の走行音や人の声など、外部からのノイズが入ると、それが音声に混入してしまい、聞き取りにくくなってしまいます。
屋内環境だと、空調の音やPCの動作音などです。また、空調の風がマイクに当たることもノイズの要因となるので注意しましょう。
静かな環境での録音が難しい場合は、収音対象にマイクを近づけることで、相対的に外部の音を低減することができます。
また、反響音にも注意が必要です。壁や床、天井などに音が反射してしまい、エコーがかかったようになり音の輪郭がぼやけてしまいます。反響音が多すぎる場合、音声が不自然に聞こえたり、聞き取りにくくなってしまいます。
このような場合には、壁や天井に吸音材を貼ることで反響音を抑えることができます。
オーディオ編集ソフトによる音声編集
撮影が終わったら、続いて録音した動画の音声編集作業です。
まず、動画編集ソフトで直接音声を編集できるものもあれば、そうでない場合は、動画と音声を切り離し、音声のみをオーディオ編集ソフトで編集する形になります。
専用のオーディオ編集ソフトや、DAWと呼ばれる作曲ソフトで編集するのですが、会話やBGMとSEぐらいの音声編集なら無料のソフトでも十分対応できます。
→無料のフリー作曲ソフト(DAW)おすすめ16選【DTM】
ノイズ除去
まずは音声のノイズ除去を行います。ノイズゲート(一定レベル以下の音声信号をカット)を使用したり、最近のDAWだとAIでノイズを感知して自動で除去してくれる機能がついていたりと、非常に便利になっています。
筆者の場合はFL Studioというソフトの「Denoise」機能を使って除去しています。
ノイズを選択後、
Denoiseボタンを押すだけで、オーディオファイルすべてのノイズを自動的に除去してくれる優れものです。
ノイズ除去機能は、動画編集ソフトに付属していることも多いので、使用している編集ソフトをチェックしてみましょう。
ノーマライズ
ノーマライズとは音量の正規化のことで、小さすぎる音声信号を適正なレベルまで持ち上げてくれます。
ノイズ除去をしていないとノイズまで一緒に持ち上がってしまう為、しっかりとノイズを除去してから行いましょう。
先程のノイズ除去したオーディオファイルをノーマライズ機能を使って、適正ボリュームまで持ち上げます。
これでノイズ以外の音声のみが綺麗に持ち上がりました。スマホ等で遠い距離から収音した音声の場合、ノーマライズするだけでも、非常に聴きとりやすい音声になるかと思います。
イコライジング
イコライジングとは、EQ(イコライザー)と呼ばれる音声信号の周波数特性を変化させるエフェクトを使用して、必要のない無駄な音域をカットしたり、飛び出しすぎた音域を抑える目的で使用します。
イコライジング処理では、まず音声の周波数帯域を解析し、不要な周波数帯域や強調するべき周波数帯域を特定します。例えば、低音部分が強調されすぎている場合は、低音部分をカットすることでバランスを調整することができます。
具体的には、マイクや環境音による無駄な低音をカットしたり、部分的なノイズをカットすることで、クリアで聴き取りやすい音声にします。
※EQについて詳しく知りたい方はEQ(イコライザー)を使って不要な音をカットしようを合わせてご覧ください。
コンプレッション
コンプレッサーというエフェクトを使用して、音声の最大音量と最小音量のボリューム差をなるべく小さくして、視聴者が聴き取りやすいように圧縮する作業です。
小さな声を大きく、大きな声を小さくする重要な作業です。
テレビやラジオでは、ささやき声と大きな笑い声にそこまで大きな音量差を感じないのは、このコンプレッションのおかげです。
全員で笑う場面などで、急に飛び出した音量を抑えたりすることで、視聴者が不快に思わない程度に音量を自動的に調整することができます。
高品質なマイクやスマホのマイクには、もとから「音声圧縮機能」がついている製品が多く、ある程度ボリュームが均一化されるように設定されています
→コンプレッサーの基本的な使い方
ディエッサー処理
音声のみでマイクに向かって語り続けるトークメインの動画の場合、ディエッサー処理をすることで「さしすせそ」の歯擦音や不快なノイズを自動的に除去できます。
人の話し声には超高音の成分が多く含まれており、マイク録音だと目立ちすぎる場合があるのでしっかりと出過ぎた高音成分を抑えることが重要です。
まとめ
現在のYouTubeは、企業やタレントも参入し、競争が激化状態にあります。それに伴って、動画の品質も格段に向上しており、内容が面白いのはもちろん、映像や編集技術でもテレビに匹敵するレベルの作品も多く出てきました。
動画の音声品質を向上させることは、視聴者にとって非常に重要な要素の一つであり、音声品質が極端に低い場合には、制作者が手を抜いていると感じられ、視聴者の印象を悪くする可能性もあります。
音声が原因でマイナス印象にならないように、今回の内容を参考にして、より高品質な動画クリエイトを試してみてください。
以上、「【YouTuber向け】動画の音声を劇的に向上させるワザ」でした。