【簡単MIX】歌ってみた動画を自分でミックスする方法
「歌ってみた動画を作りたいけど、音が良くなくて困っている」という人は多いのではないでしょうか?
ミックス作業といえば、少し前まではプロフェッショナルな技術が必要でしたが、最近ではパソコンやスマホで使える便利なソフトが増えたこともあり、誰でも簡単にミックスが行えるようになりました。
そこで、今回は歌ってみた動画を簡単にミックスする方法についてご紹介します。
1. カラオケ音源を用意する
まずミックス作業に入る前に、歌いたい楽曲のボーカルの入っていないインストデータを用意する必要があります。
最近はAI技術を利用した「ボーカルリムーバー」と呼ばれるウェブサービスを利用することで、無料で素早くボーカルだけを抽出することができるのでおすすめです。
伴奏と歌が混ざっている状態でミックスするのは難しいので、必ずボーカル抜きのカラオケ音源を用意するようにしましょう。
2. 良いテイクを繋げる
「歌ってみた」を作るときに重要なのは、実際にオケと歌声を重ね合わせる作業よりも、良い歌声の録音と正しいボーカル処理にかかっています。
ボーカルミックスで良く使われる手法として「コンピング」と呼ばれるテクニックがあります。コンピングとは複数のテイクの中から最高の部分を切り取り、それらをつなぎ合わせて1つの「完璧なテイク」を作成するプロセスのことです。
サビの前半は最高のテイクだったのに、後半でタイミングがずれた箇所があったりと、その度に頭から録り直すのは中々の時間と労力を消耗します。
コンピングはボーカルトラックを編集するときに最も効果を発揮するテクニックなので、是非習得しましょう。
3. ノイズを消す
ボーカルトラックはノイズが入りやすいので、必ずチェックして問題点があれば取り除きましょう。
→自宅で音楽制作する時のノイズ対策について
編集ポイントでクリックノイズと呼ばれる「プツッ」という瞬間的な電子音が発生することがあります。クリックノイズの除去には、問題の箇所を切り取るか、クリップ間に短いクロスフェードを追加する方法があります。
環境音によるバックグラウンドノイズがある場合は、市販のノイズ除去ソフトで簡単に消すことができます。
呼吸音であるブレスをカットする人もいますが、歌声の感情を消してしまう可能性もあるので、ブレスを除去するかどうかは慎重に判断しましょう。
4. 外れた音程を修正する
次に外れた音程の修正を行います。
あまりに大きく外れた音は録音しなおすことをおすすめしますが、微妙なズレであればピッチ補正ソフトを使うことで、簡単に修正することができます。
有名所のソフトだとMelodyneが人気で、こういったツールを使用することで音程の修正はもちろん、タイミングや細かいニュアンスの修正もできるので、余裕があれば導入を検討してみるのもありです。
5. 伴奏とボーカルのバランスを取る
歌声データの修正をしたら、ミキサーのフェーダーを上げ下げして伴奏トラックとボーカルトラックの音量バランスを取っていきましょう。
※この後の工程でまた音量バランスを整えることになるので、この段階ではざっくりとバランスを取ります。
実際にカバーする楽曲を聞きながら同じような音量バランスになるように、フェーダーを動かしながら調節していくのですが、この時にマスターボリュームが-3~6dBの間に収まるようにしておきましょう。
この時点で0dBに達していると、ミックス作業でブーストが必要な時にクリッピング(限界を超えてノイズが発生)する可能性があるので、しっかりとヘッドルーム(余白)を残しておく必要があります。
6. 音量感を整える
歌声にはAメロの落ち着いたささやき声から、サビの張り上げる声まで抑揚が広く、その為ボーカルトラックは他の楽器に比べてダイナミックレンジ(音量の差)が広いのが特徴です。
優れたボーカルにする為には一貫性のある音量感が必要です。ささやき声でも、叫ぶような声でも、すべての歌声をわかりやすく、はっきり聞き取れる必要があります。
音量感を整えるのには通常、ボリュームオートメーションやコンプレッサープラグインによる圧縮効果を組み合わせで行われます。
圧縮し過ぎても本来の持ち味が失われることもあるので、少し高度なミックステクニックにはなりますがボーカルコンプレッサーのかけ方【DTM】を参考にしながら適用してみてください。
7. 音質を整える
音量感が定まったら、次に音質を整えていきます。
音質を整えるのには、通常EQ(イコライザー)と呼ばれるツールをしてします。※コンプレッサーの前にやるのか後にやるのかは議論が絶えませんが、それぞれで違った質感になるので最適な方を選びましょう。
→イコライザーが先?コンプレッサーが先?順番によるサウンドの違い
使い方としては、基本的には80Hz以下の不要な帯域をカットしたり、部分的に共鳴する音を見つけてカットすることでスッキリとした歌声になります。
EQもコンプレッサーと同じように、かけすぎると音がこもったりして本来のサウンドを損なってしまう可能性があるので、EQの仕組みについて学んでから行うことをおすすめします。
→イコライザー(EQ)の使い方を徹底解説【DTM】
8. 歯擦音を除去する
歯擦音とは、「さしすせそ」の発声によって発生する「シュー」というノイズのことです。普段の日常的な会話では気にはなりませんが、マイク録音された歌声の場合、耳障りなノイズとなります。
歯擦音の除去には「ディエッサー」と呼ばれるツールを使うことが多く、耳障りな音が発生したときにだけ自動的に音を抑えてくれる便利なエフェクトです。
メインボーカル単体だとそれほど気にならなくても、ボーカルを重ねている場合や、ハモりを入れる場合は目立ってしまう可能性があるので注意しましょう。
→ボーカルトラックを重ねて、より豊かなサウンドにする7つの方法
9. 空間演出を加える
リバーブやディレイエフェクトを使って残響音を付加することで、部屋やホールで歌っているかのような立体感を演出できます。
また、歌の馴染みが悪くて「浮いて聞こえる」ような場合には、適度に空間系エフェクトを使用することで、伴奏との馴染みを良くする効果もあります。
とはいえ、最近はリバーブをかけないはっきりとした音像の歌声が流行っていることもあるので、どのようなサウンドにしたいかで空間系エフェクトを使うかどうかを判断しましょう。
10. マスタリング
ミックス作業が終わって、最後にもう一度音量を整えたらマスタリングと呼ばれる作業を施して、トラック全体にまとまりを出しましょう。
カバー動画のように、既存楽曲を使う場合はすでにマスタリングされている音源を使うことになるので、あとから被せた自分の歌声をオケと馴染ませる目的で行います。
リミッターを使って信号が0dBのピークを超えないように設置するだけでも大きな効果があります。
→リミッタープラグインの使い方【完全ガイド】
最後に書き出しをして、イヤホンやスピーカーなど色んな再生デバイスでチェックしてみて、問題がなければ完了です。
まとめ
歌ってみた動画を自分でミックスする方法についてご紹介しました。
- カラオケ音源を用意する
- 良いテイクを繋げる
- ノイズを消す
- 外れた音程を修正する
- 伴奏とボーカルのバランスを取る
- 音量感を整える
- 音質を整える
- 歯擦音を除去する
- 空間演出を加える
- マスタリング
すべての工程を行うにはDAWと呼ばれる作曲ソフトが必要ですが、無料ソフトでも十分ミックスできますし、スマホの作曲アプリだけで作る人も増えてきました。
今回はミックスに関してのみ触れましたが、まずは綺麗にボーカル録音することと、ハモりやコーラスのような複数の声を重ね合わせることも重要です。
これからボーカルカバーを始めようと思っている方や、歌い手のMIX師として活動したいという方は参考にしてみてください。
以上、「【簡単MIX】歌ってみた動画を自分でミックスする方法」でした。